Mi-12

アエロフロートのMi-12(1971年)

アエロフロートのMi-12(1971年)

ミル Mi-12NATOコードネーム:ホーマー、"Homer")は、ソビエト連邦で開発された世界最大のヘリコプターである。試作のみで量産は成されなかった。なお「Mi-12」という名称は一般的に使用されず、プロトタイプとしての名称である「V-12」と呼ばれる場合が多い。

概要

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Mi-12はM・L・ミーリ記念モスクワ・ヘリコプター工場(ミル)が製造した機体の中で、唯一テイルローターを装備しない機体として設計された。2つの主ローターを、サイド・バイ・サイド・ローター方式で装備しており、各主ローターは逆方向に回転する。各主ローターにはミル Mi-6から流用された双発エンジンがそれぞれ取り付けられており、エンジンは計4基となる。機体尾部には大型の垂直尾翼及び水平尾翼が装備されている。

本機は、ミサイルの主要部品を運ぶことのできる大型ヘリコプターの要求から開発が開始された[1]。 30,000 kgの重量物吊下を目標としたMi-12の試作機の製造は1965年に始まり、1968年7月10日に初飛行した。1969年2月の飛行試験では、試作機が31,030 kg のペイロードを2,951m (9,682 feet)の高度まで吊り上げた。また、1969年8月6日にはMi-12は44,205 kg (88,636 lb) の重量を2,255m (7,398 feet) の高度まで吊り上げ、世界記録を樹立している。

登録番号CCCP-21142 / H-833をつけたもう1機のMi-12が製造され、1971年ル・ブルジェ空港で開催されたパリ航空ショーを含むヨーロッパ中で披露された。しかし、Mi-12は設計要求に合致せず、2機を製造したのみで開発計画は中止された。

確認されている事故はテスト飛行中のハードランディングで、これにより前車輪が曲がった。修理後にテストが続けられた。

現存する1機はロシアモニノ空軍博物館に、もう1機はモスクワ近郊のリュベレツキー地区のパンキ=トミリノ(Panki-Tomilino)にあるミル ヘリコプター工場に保管されている[2]

なお、ソビエト連邦では本機と同様のサイド・バイ・サイド・ローター方式を採用したKa-22も開発されたが、こちらも4機が試作されたのみで量産されることは無かった。

運用

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  ソビエト連邦

ソ連空軍

性能・主要諸元

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  • 乗員:6名
  • 積載量:40,000 kg (88,000 lb)
  • 全長:37.00 m (121 ft 4 in)
  • 全高:12.50 m (41 ft 0 in)
  • 主回転翼直径:2x 35.00 m (114 ft 10 in)
  • 円板面積:1,924 m² (20,700 ft²)
  • 円板荷重:50 kg/m² (10 lb/ft²)
  • 空虚重量:69,100 kg (152,000 lb)
  • 全備重量:97,000 kg (213,400 lb)
  • 最大離陸重量:105,000 kg (231,000 lb)
  • 推力重量比:0.20 kW/kg (0.12 hp/lb)
  • 発動機:D-25VFターボシャフト エンジン×4、4,048kW(6,497shp)
  • 超過禁止速度:260 km/h (163 mph)
  • 航続距離:1,000 km (625 miles)
  • 巡航高度:3,500 m (11,480 ft)

関連項目

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  • Mi-26 - 世界最大の量産ヘリコプター
  • V-16 - 本機の大型化計画

出典

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  1. ^ Russian And Soviet Helicopters
  2. ^ Mi-12 airframe standing on the territory of Moscow helicopter plant at Google Maps

外部リンク

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