IUE: International Ultraviolet Explorer国際紫外線天文衛星[1])またはエクスプローラー57号 (Explorer 57) は主に紫外線電磁スペクトルの観測を目的とした宇宙望遠鏡NASAESA、およびイギリス科学研究評議会(Science Research Council - SRC)の共同ミッションであった。イギリスの科学者グループによって1964年前半に最初に提案され、1978年1月26日、NASAのデルタ2000によって打ち上げられた。当初、ミッション期間は3年とされていたが、最終的に18年近く使用され、1996年まで稼動した。稼動停止は経済的理由によるもので、衛星は当初の性能に近い状態で機能していた。

国際紫外線天文衛星
基本情報
NSSDC ID 1978-012A
所属 NASA
打上げ日時 1978年1月26日
ミッション期間 1996年9月30日
質量 672 kg
軌道 対地同期軌道
軌道高度 42,000 km 近地点、26,000 km 遠地点
軌道周期 24 時間
形式 リッチー・クレチアン式望遠鏡
観測波長 紫外線
口径 45 cm
焦点距離 f/15
観測装置
2つのエシェル分光器 115 - 198 nm and 180 - 320 nm
公式サイト

IUE

NASA IUE Archive
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IUEは、地上局からリアルタイムで紫外線スペクトルを観測することを可能とした最初の科学衛星であった[2]。1時間以内という素早い応答時間によって、観測対象をスケジュールする上でこの上ない柔軟性がもたらされた[2]。天文学者たちは、太陽系の天体からはるか遠方のクエーサーまで104,000回以上の観測を行った。IUEのデータから、恒星風の大規模研究、星間ダストの光吸収の正確な計測、当時の恒星進化論を覆す超新星SN 1987Aの計測など、重要な科学的成果が得られており、最も成果を上げた天文衛星ともされる[2]

プロジェクトの歴史

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IUE のコントロールシェルとディスプレイユニット。Steven F. Udvar-Hazy Centerに保存されている

1964年、イギリスの科学者グループが紫外線天文衛星のコンセプトをESAの前身機関である欧州宇宙研究機構 (ESRO) に提案した。しかし、この提案は当時のESROの技術力を超えていたため、Robert Wilson がNASAにコンセプトを提供した。NASAはこのアイディアを採用し、SAS-D (Small Astronomy Satellite-D)として発展させた。

SRC もこの計画に加わり、科学機器のソフトウェアと、スペクトルグラフのためのビジコンカメラを提供した。ESA はマドリッド近郊にある欧州宇宙天文学センターの地上局と太陽パネルを提供した。NASAは衛星の機体、望遠鏡、スペクトルグラフ、打ち上げ施設、ゴダード宇宙飛行センターの地上局を提供した。

観測時間は計画の貢献度によってNASA:2/3、ESA:1/6、SRC:1/6 と配分された。

科学的成果

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  • 木星オーロラの存在を最初に発見
  • 彗星の中の硫黄を初めて検知
  • 彗星の水損失の量的決定

など

脚注

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  1. ^ 国際紫外線天文衛星(IUE)”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2019年5月13日). 2021年9月19日閲覧。
  2. ^ a b c IUE”. ESA. 2021年9月19日閲覧。

参考文献

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