Google File System
Google File System(GFS、GoogleFS)は、Googleが自社のシステムのために開発した分散ファイルシステムである。大規模なデータセンターに特化した、効率的で信頼性の高いシステムとして設計されている[1]。2010年には後継のColossusというファイルシステムが利用されている[2]。
対応OS | Linux |
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種別 | 分散ファイルシステム |
ライセンス | プロプライエタリソフトウェア |
概要
編集Google File System(GFS)は、同社の主要なサービスである検索エンジンや各種サービスのデータストレージとして利用されている。創業者であるラリー・ペイジおよびサーゲイ・ブリンが同社の初期に開発したデータベースであるBigFilesから発展して生まれた[1]。通常のファイルシステムと似ており、データは64メガバイトにサイズを固定(チャンクと呼ばれる)して分割し保存される。ファイルに上書きをすることはほとんど無く、通常は追記と読み込みを中心に利用される。
オープンソースのHadoop Distributed File System(HDFS)は、GFSとほぼ同じ仕組みを採用している。
設計
編集Googleでは、一般的に利用されている安価な、いわゆるコモディティなパーソナルコンピュータの部品を利用して大規模なデータセンターを構築している。このため、個々のサーバーが故障してもデータが損失せず、また自動的に復旧できるシステムとして設計されている。実際にGFSは複数のサーバ(ノード)から構成される[3]。具体的には1台のMasterノードと複数台(10-1000台[4])のChunkサーバーである。
クライアントもしくはアプリケーションがGFS領域にデータを書き込むことを考える。データは前述の通りチャンクに分割される。Masterノードは、チャンクが生成された時、各チャンクに64 bitのユニークなIDを付ける[3]。その後、LinuxがインストールされたChunkノードはローカルディスクにチャンクを書き込む。この時、可用性確保のために複数の別々のChunkノードに、同じチャンクを書き込む。デフォルトでは3つのレプリカを作成する。
次に、データの読み出しを考える。Masterノードはアクセスに必要な全てのメタデータ情報をメモリ上に蓄えている[4]。例えば、「名前空間(ディレクトリ構造)」、「アクセス権限」、「原本ファイルとチャンクの対応表」、「チャンクが保存されているサーバの場所」等である。クライアントはまずMasterノードと通信し、チャンクのIDと場所を問い合わせる。続けてクライアントはChunkサーバーに直接アクセスし、チャンクを受け取る。最終的にデータを結合して元のファイルを復元する。
このように、メタデータがメモリにあるため高速な探索が可能であること、データの読み書きはクライアントとChunkサーバー間で直接行われておりキャッシュが介在しないこと、最終的なチャンク (データ) の記録にはLinuxのファイルシステムを利用していることが特徴と言える。
データの書き込みや読み出しはAPIを通して行われ[3]、標準的な"Write"、"Read"、"Open"、"Close"、"Delete"等の命令が揃えられている。ただし、POSIX準拠ではない。オブジェクトストレージとは異なりディレクトリ構造もある。
Masterノードはメタデータ保持以外にも、Chunkサーバーの状態を監視する役目もある。
関連事項
編集参照
編集- ^ a b 英語版Wikipediaより
- ^ “Colossus: Successor to the Google File System (GFS)”. 2018年1月1日閲覧。
- ^ a b c “The Google File System”. 2018年1月1日閲覧。
- ^ a b “GFS: The Google File System”. 2018年1月1日閲覧。