GZK限界
宇宙線のエネルギーがある値を超えると地球に届かなくなるという予想
GZK限界(ジーズィーケーげんかい:英語: Greisen–Zatsepin–Kuzmin limit、略称GZK limit)またはGZKカットオフ(ジーズィーケーカットオフ:GZK cutoff)[1]とは4×1019eV以上の高エネルギー宇宙線は宇宙背景放射のマイクロ波(光子)との相互作用によりエネルギーを失うため地球には届かないという予想である[2]。1966年に米国の Greisen、ソビエト連邦の Zatsepin と Kuzmin が提唱した。提唱者の名前の頭文字が呼称の由来である。
解説
編集予想とは 4×1019eV以上の宇宙線は1.5億光年程度の間に必ず4×1019eV以下になるというものである。しかし、オーマイゴッド粒子や1990年から1997年に東京大学宇宙線研究所が山梨県明野村に設置した明野広域空気シャワーアレイ(Akeno Giant Air Shower Array;AGASA)[3]での観測によりこの限界値を超えた高エネルギー宇宙線が観測され、飛来方向にはエネルギー源となる天体は発見されなかった[4]。AGASAの観測結果から高エネルギー宇宙線の到来頻度は 100km2 辺り1年間1個程度[5]。
この謎を解明するために2008年からユタ州に建設された観測施設によりテレスコープアレイ実験が行わている[6]。
脚注
編集- ^ “GZKカットオフ”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2019年5月13日). 2019年5月17日閲覧。
- ^ 﨏隆志、加速器実験から見える宇宙! 〜急がば回れ〜 2012年8月3日 第42回天文・天体物理若手 夏の学校 宇宙素粒子分科会資料 (PDF)
- ^ 研究の紹介 AGASA空気シャワーアレイ 東京大学宇宙線研究所 高エネルギー宇宙線研究部門
- ^ TA/AGASA (高エネルギー宇宙線研究部門)研究目的と装置 東京大学宇宙線研究所
- ^ 超高エネルギー宇宙線の起源は? (PDF) 日本物理学会誌 2016年4月 第71巻 第4号
- ^ 佐川宏行、テレスコープアレイ実験の概要 東京大学 宇宙線研究所 高エネルギー宇宙線研究部門
参考文献
編集- 桜井邦朋 編『高エネルギー宇宙物理学 - 宇宙の高エネルギー現象を探る』朝倉書店、1990年2月。ISBN 4-254-15011-3、ISBN-13:978-4-254-15011-7。