G線上のアリア
バッハ作曲、アウグスト・ウィルヘルミ編曲、の音楽の通称
「G線上のアリア」(ジーせんじょうのアリア、ゲーせんじょうのアリア[注 1]。独: Air auf der G-Saite,英: Air on the G String)は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが作曲した『管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068』の第2曲「エール (Air)」を、ドイツのヴァイオリニストであるアウグスト・ウィルヘルミがピアノ伴奏付きのヴァイオリン独奏のために編曲したものの通称。
「G線上のアリア」という通称は、ウィルヘルミが編曲に際してニ長調からハ長調への移調を行ったため、ヴァイオリンの4本ある弦のうち最低音の弦、G線のみで演奏できることに由来する。
2021年現在、通称の由来となった「ピアノ伴奏付きのヴァイオリン独奏版」に限らず、原曲である管弦楽版[1][2]、パイプオルガン版[3][4]などの様々な版(編曲)で、バッハ『管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068』の第2曲「エール」のみを、「G線上のアリア」と呼称して演奏・録音することが多い。
来歴
編集オリジナルの管弦楽組曲は、バッハにより彼のパトロンであるアンハルト=ケーテン侯レオポルトのために1717年から1723年の間に作曲されたと一般に信じられてきた。しかし、現存最古の楽譜は後年のバッハのライプツィヒ時代のものであり、現在は、ライプツィヒにおけるコレギウム・ムジクムの公演のために書かれたものであろうと考えられている[5]。
後年、この曲はG線のみで演奏することを目的につくられたという誤った説が広まった[6]。
脚注
編集注釈
編集- ^ 小学館『日本大百科全書』項目名においては原語(ドイツ語)読み「ゲー」を採用。ただし、アリアはイタリア語の発音から来ており、ドイツ語ならばアーリエとなる点に留意。
出典
編集- ^ “BACH Air on the G String | Singapore Symphony Orchestra at Berlin Philharmonie”. YouTube. シンガポール交響楽団 (2011年12月9日). 2021年12月9日閲覧。
- ^ “Johann Sebastian Bach: Air on the G String, Suite No. 3, BWV 1068”. YouTube. ノルウェー室内管弦楽団 (2020年3月18日). 2021年12月9日閲覧。
- ^ “JS BACH - AIR ON THE G STRING - WHITWORTH HALL ORGAN - THE UNIVERSITY OF MANCHESTER - JONATHAN SCOTT”. YouTube. Jonathan Scott, Pianist & Organist (2018年2月9日). 2021年12月9日閲覧。
- ^ “G線上のアリア(J.S.Bach)ヨハネス Studio P-150 (オルガニスト長井浩美さん)”. YouTube. 河合楽器製作所 (2020年12月14日). 2021年12月9日閲覧。
- ^ “Bach's orchestral suites (review)” (2013年). 9 September 2014閲覧。
- ^ Grove's Dictionary of Music and Musicians, 5th edition, 1954, Vol. IX, p. 298, Wilhelmj, August
関連項目
編集参考文献
編集- 三宅幸夫、1993、「げーせんじょうのありあ【G線上のアリア】」『日本大百科全書』小学館。
- Randel, Don Michael. The Harvard concise dictionary of music and musicians. Harvard University Press, 1999, ISBN 9780674000841, p. 14.