FaceApp
FaceApp(フェイスアップ[1])は、 ロシアのWireless Labが開発したiOSおよびAndroid 用のモバイルアプリケーション[2][3]。
開発元 | Wireless Lab |
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初版 | 2016年12月31日 |
対応OS | iOS, Android |
種別 | 写真 |
ライセンス | Freemium |
公式サイト | faceapp.com |
概要
編集FaceAppは、2017年1月にiOS、2017年2月にAndroidでリリースされた[4] [5]。顔の印象、メイク、笑顔、髪の色、ヘアスタイル、メガネ、年齢、あごひげを追加するエディターオプションなど、アップロードされた写真を編集する複数のオプションがある。 フィルター、レンズのぼかし、背景、オーバーレイ、タトゥー、ビネットもアプリの一部である[6]。
本アプリにおける外見上とは異なる性別に見える顔への編集機能は、 LGBTやトランスジェンダーのコミュニティから特に関心を集めており[7][8]、2021年に入ってからは深夜バラエティ番組などで本アプリが採り上げられて以降、日本でもこの機能を使って加工した写真をSNS上にアップして楽しむユーザーが増えている[9][10][11]。
批判
編集課金に関する批判
編集ダウンロード自体は無料のアプリであるが、試用期間である3日を過ぎると自動的に年額3200円の課金が発生する。課金されないようにするには、試用期間内に解約しなければならないことに批判の声があった[1]。
人種差別に関する批判
編集2017年4月、「HOT」というフィルタが追加された。これは被写体の外見を魅力的にするために、顔の肌の色を白っぽくするものであったが、黒人の肌の色を明るくしてヨーロッパ人のように見せる人種差別的な機能であると非難された。 この機能は、削除される前に「SPARK」に名前が変更された[12] [13][14]。創設者兼最高経営責任者のYaroslav Goncharovは「基礎部分のニューラルネットワークにおいて、トレーニングセットの偏りにより生じた不適切な副作用」として説明し 、「完全な修正」が行われていると発表した 。同年8月、FaceAppは「白人」、「黒人」、「アジア人」、「インド人」というフィルタを追加したことで再び非難された。 フィルターは即座に削除された[15] [16]。
利用規約に関する批判
編集2019年、FaceAppはユーザーデータのプライバシーに関してメディアとソーシャルメディアの両方で批判を集めた[17] [18] [19]。懸念事項の中には、FaceAppがユーザーの写真をサーバーに保存しているという疑惑や、利用規約でユーザーの似顔絵や写真を商業目的で使用することを許可しているという疑惑があった[20]。
利用規約の中で懸念があった部分は以下である[21][22]。
FaceAppに対し、お客様はユーザーコンテンツおよび、付随して提供した名前、ユーザー名、肖像を、現存並びに今後開発される全てのメディア形式およびチャンネルで使用、複製、変更、適応、公開、翻訳、派生物の作成、配布、出版を、世界的に永久的、非独占的、非取消、無償で付与することになります。 お客様が本サービス上、また本サービスを通じてユーザーコンテンツを投稿もしくはそのほかの方法で共有する場合、お客様のユーザーコンテンツ並びにユーザー名、位置情報、プロフィール写真などといった関連情報が一般に公開されることを理解するものとします。 ー Terms of Use (08/03/2017)[23] |
なお、上記の規約の該当部分は後に以下のように修正された。
Subject to this Agreement and the Privacy Policy, you retain all rights in and to your User Content, as between you and FaceApp. Further, FaceApp does not claim ownership of any User Content that you post on or through the Services. You grant FaceApp a nonexclusive, royalty-free, worldwide, fully paid license to use, reproduce, modify, adapt, create derivative works from, distribute, perform and display your User Content during the term of this Agreement solely to provide you with the Services.
ー Tearms of Use Agreement December 03, 2019[24] |
テクノロジー専門家のスティーブ・サマーティノは、FaceAppの顔データベースは、銀行情報などにアクセスできるデータとして使われることにもなりかねないとし[25]、同じくITセキュリティ専門家のアリエル・フューシュテッドも、フェイスブックなどから収集したデータベースと合わせるとさらに事態は悪くなると警告した[25]。
これに対し、同社の創設者であるYaroslav Goncharovは、ユーザーデータとアップロードされた画像はロシアに転送されず、代わりにGoogle Cloud PlatformとAmazon Web Servicesで実行されているサーバーで処理されていると述べた[26]。また、Yaroslav Goncharovは、ユーザーの写真は、複数のフィルターを適用する際、帯域幅を節約するためにサーバーにのみ保存され、アップロードされた直後に削除されていると述べた。
しかし米国上院議員のチャック・シューマーは、「収集されているデータの保護、そして、誰がそのデータにアクセスできるのかをユーザーは知らされているのかということに関して、大きな懸念を抱いている」と表明し、FBIによるアプリの調査を求めた[27][28]。
この質問に対し連邦捜査局 (FBI) は、「FaceAppのようなロシアで開発されたスマートフォン向けアプリケーションや類似の製品は、その製品が収集するデータ、プライバシーと利用規約に関する方針、ロシア国内のデータへのアクセスを許可するロシア政府が利用できる法的メカニズムに基づいて、防諜活動に対する潜在的な脅威と見なす」と表明した[29][30]。
関連項目
編集脚注
編集- ^ a b “「老け顔アプリ」を使う人に教えたい自撮り写真の3大リスク”. PRESIDENT Online (2020年7月7日). 2020年7月7日閲覧。
- ^ Stark (25 April 2017). “Introducing FaceApp: The Year Of The Weird Selfies”. Forbes. 13 June 2017閲覧。
- ^ Vincent (27 May 2019). “This app uses neural networks to put a smile on anybody's face”. The Verge. 13 June 2017閲覧。
- ^ Vincent (15 February 2017). “Android users can now harness the power of neural networks to alter faces”. The Verge. 13 June 2017閲覧。
- ^ Tan (15 February 2017). “Viral selfie-morphing FaceApp launches on Android after huge iOS success”. Mashable. 13 June 2017閲覧。
- ^ Karner (2019年7月18日). “Try out all of the different filters on FaceApp” (英語). Android Central. 2019年7月18日閲覧。
- ^ Cracker (5 May 2017). “The Magnetic and Emotionally Complex Power of FaceApp's Gender Filter”. Slate. 13 June 2017閲覧。
- ^ Manning (1 May 2017). “FaceApp's gender swap is playing mind games with trans users”. The Daily Dot. 13 June 2017閲覧。
- ^ “関ジャニ∞村上信五&マツコ「誰も傷つかないファンタジー!」と大絶賛する加工アプリの楽しみ方”. テレビドガッチ (2021年3月16日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “中年男性が”女性化”することで得た面白み、加工アプリにハマり「日常のちょっとした楽しみが増えた」”. ORICON NEWS (2021年5月1日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “「美人バイカーの正体は50歳のおじさん」─ある日本人男性に米紙が見出した“ネット時代のアイデンティティ””. クーリエ・ジャポン (2021年5月30日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ McGoogan (25 April 2017). “FaceApp: Viral selfie app in racism storm over 'hot mode' that lightens skin colour”. The Telegraph. 13 June 2017閲覧。
- ^ Cresci (25 April 2017). “FaceApp apologises for 'racist' filter that lightens users' skintone”. The Guardian. 13 June 2017閲覧。
- ^ “顔写真の差別的フィルタでまた物議、顔変換アプリ「FaceApp」が謝罪”. CNET Japan. 2020年6月19日閲覧。
- ^ Wattles, Jackie (August 9, 2017). “FaceApp removing 'ethnicity filters' after outrage”. CNNMoney August 10, 2017閲覧。
- ^ “FaceApp sparks racist backlash for 'black', 'white' and 'Asian' filters”. The Telegraph. (August 9, 2017) August 10, 2017閲覧。
- ^ “AI photo editor FaceApp goes viral again on iOS, raises questions about photo library access” (英語). TechCrunch. 2019年7月17日閲覧。
- ^ “The worrying thing that happens when you use the viral face aging app” (英語). The Independent (2019年7月17日). 2019年7月17日閲覧。
- ^ Biggs (2019年7月17日). “What's fact and what's fiction when it comes to FaceApp?” (英語). The Sydney Morning Herald. 2019年7月17日閲覧。
- ^ Carman (2019年7月17日). “FaceApp is back and so are privacy concerns” (英語). The Verge. 2020年2月8日閲覧。
- ^ Koetsier. “Viral App FaceApp Now Owns Access To More Than 150 Million People's Faces And Names” (英語). Forbes. 2019年7月18日閲覧。
- ^ “顔の性別や年齢を変えたりできるFaceAppのポリシーが怖い”. GIZMODO. 2020年6月19日閲覧。
- ^ “Terms of Use”. FaceApp. 2020年6月19日閲覧。
- ^ “Tearms of Use Agreement”. FaceApp. 2020年6月21日閲覧。
- ^ a b “人気爆発の老け顔アプリFaceApp──ロシアに流れる顔データベースの危うさ”. ニューズウィーク (2019年7月22日). 2020年6月19日閲覧。
- ^ “FaceApp responds to privacy concerns” (英語). TechCrunch. 2019年7月17日閲覧。
- ^ “US senator asks FBI to investigate FaceApp”. (18 July 2019) 18 July 2019閲覧。
- ^ “ロシア製アプリ「FaceApp」に懸念--米議員、FBIなどに調査を要請”. CNET Jpan. 2020年6月19日閲覧。
- ^ “ロシア製アプリ「フェイスアップ」、防諜の潜在的脅威=米FBI”. ロイター. 2020年6月20日閲覧。
- ^ “The FBI Investigated FaceApp. Here’s What It Found”. Forbes. (2019年12月3日)