ENDLESS RAIN
「ENDLESS RAIN」(エンドレス・レイン)は、X(後のX JAPAN)が1989年12月1日にリリースした4作目(メジャー2作目)のシングル。 X初のバラード曲である。
「ENDLESS RAIN」 | ||||||||
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X の シングル | ||||||||
初出アルバム『BLUE BLOOD』 | ||||||||
リリース | ||||||||
規格 | CD | |||||||
録音 |
Sony Shinanomachi Studio Sound City Studio Sony Roppongi Studio | |||||||
ジャンル | ロック・バラード | |||||||
時間 | ||||||||
レーベル | SIREN SONG | |||||||
プロデュース | X | |||||||
ゴールドディスク | ||||||||
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チャート最高順位 | ||||||||
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X シングル 年表 | ||||||||
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解説
編集前作「紅」に続き、メジャー・デビュー・アルバム『BLUE BLOOD』からのリカット・シングルで、X初のメジャーバラードである。初回限定盤はジャケットが横開きのブックレット形式になっており、歌詞とメンバーのプロフィールが掲載されている。
当時Xのディレクターを務めていたSonyMusicの津田直士は、デビュー当時からYOSHIKIの才能は世界中で100年聴かれる音楽を作れると信じてXのメンバーたちとアルバム制作をしていた[1]。津田は、YOSHIKIは作曲家自身の心の震えをメロディにして人を感動させるという選ばれた才能があるとYOSHIKI本人に日頃言い聞かせていた[1]。メジャーキー(長調)の美しいバラードの曲作りを津田からYOSHIKIに持ち掛けて誕生した曲が「ENDLESS RAIN」である[1]。YOSHIKIから新曲が出来たと聴かされたピアノ演奏に、津田は衝撃を受け、シンプルに展開するサビは「こんなにシンプルで人の心を打つメロディを生めるのは、ベートーベンやバッハ、チャイコフスキーと同じ領域」であり、大ヒットを確信した[2]。津田は、「YOSHIKIの心の震えや感情が、そのまま音になっている」から「ENDLESS RAIN」は感動的な名曲なのであると解説している[1]。
ギターソロは、HIDEが作曲した。後年、早くに他界したHIDEとTAIJIに捧げて演奏されることがあった[3]。
初期にNHKの番組でこの楽曲を披露する際、「眠りは麻薬」の「麻薬」の部分は放送禁止用語にあたるため、「眠りは深く」と歌われていた[注釈 1]。
ライブではほぼ必ず演奏され、ファンとの合唱が行われる。『ローリング・ストーン』誌によると、ライブにおける荘厳に訴えかけるバンドの叫びは、QUEENさながらの堂々たる煌びやかな長編であり、ガンズ・アンド・ローゼズの「November Rain」よりも純粋な詩である[4]。YOSHIKIは、ある時のライブの合い間に丁度ピアノが置いてあったのでチャイコフスキーを弾いて、Sony関係者たちからバラードが作れるのか問われたことがあった[4]。尖った髪のヘヴィメタドラマーのYOSHIKIはその時、作りたいわけではないけれど作ることはできると答えたという[4]。
2014年10月のX JAPANのマディソン・スクエア・ガーデン公演において、ダブルアンコール1曲目に「ENDLESS RAIN」を演奏した。2017年1月にYOSHIKIはカーネギー・ホールで単独公演を行い、最終曲は「ENDLESS RAIN」であった。これにより、YOSHIKIはアジア人として初めてロックとクラシックの二大殿堂公演を成し遂げた[5]。2017年3月のウェンブリー・アリーナにおけるX JAPANの公演で「ENDLESS RAIN」はダブルアンコール3曲目に演奏された[注釈 2]。2023年10月のYOSHIKI単独によるロイヤル・アルバート・ホール公演における最終曲は「ENDLESS RAIN」であった[注釈 3]。
2023年9月に公開された音楽ドキュメンタリー映画『YOSHIKI: UNDER THE SKY』のハイライトで世界中のファンがYOSHIKIのピアノ演奏に合わせて「ENDLESS RAIN」を合唱する[9]。
韓国のヒットチャート
編集第二次世界大戦後に建国された大韓民国(韓国)は、建国以来反日政策を掲げていた[10]。それに伴い韓国では日本大衆文化の流入制限がかけられていた[10]。
韓国で日本の大衆文化が依然として禁止されていた1990年前後、海賊版カセットテープ販売の露天商たちは「ギルボード・チャート」[注釈 4]と呼ばれる音楽の流行を生み出していた[11]。露天商たちは一般市民の要求に即座に反応して最も売れている人気曲をオーディオ機器から流し、「ENDLESS RAIN」を道端でしつこく流していた[11]。歩いていてもバスを待っていても街中で常に聴くことができた「ENDLESS RAIN」は、1990年代のギルボード・チャートを席巻していた[11]。
2011年に東日本大震災があって、被災した日本のために開発されたアプリ「LINE」の立ち上げに関わった韓国人ヤン・ソクホ(Yang Seokho、現・LINE上級執行役員)は、LINE開発以前の韓国在住当時からずっと「ENDLESS RAIN」が好きでよく聴いていたという[12]。
2022年現在においても1990年代当時の海賊版カセットテープがネット上で流通している。
映像外部リンク | |
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[#2023MAMA] YOSHIKI X TAEHYUN,HUENINGKAI X JAEHYUN X ANTON X HANYUJIN-Endless Rain | Mnet 231128 방송 - YouTube |
2023年11月にYOSHIKIはK-POP最大の授賞式Mnet Asian Music Awards(MAMA Awards)の「Favorite International Artist」を日本人として初めて受賞した[13]。この年の授賞式は日本で開催され、東京ドームのステージで5人の名だたるK-POPアーティストとYOSHIKIのコラボレーションによる「ENDLESS RAIN」が披露された[13]。TOMORROW X TOGETHERのテヒョンとヒュニンカイによるボーカル、RIIZEのアントンによるチェロ、BOYNEXTDOORのジェヒョンによる韓国語ラップ、ZEROBASEONEのハン・ユジンによるダンス、YOSHIKIによるピアノという構成であった[14]。最後はステージに合唱隊が登場し[15]、授賞式の全出演者と観客が大合唱で参加した[14]。授賞式のハイライトとなる「ENDLESS RAIN」は、MAMA Awardsの理念である国境、人種、世代を越える「Music MaKes ONE」が実現し、日韓の歴史に残る「日韓和解のドラマ」といえるコラボレーションであった[14]。
影響
編集ゆずの2004年の曲「栄光の架橋」は、「ENDLESS RAIN」や「Say Anything」の影響を受けている。ゆずは当初、路上でアコースティックギターを弾くような曲を作るつもりであったが、NHKから2004年アテネオリンピックテーマソングのオファーを受け、「ENDLESS RAIN」や「Say Anything」に影響を受けた壮大なバラードとして「栄光の架橋」が作曲された[16]。
収録曲
編集全編曲: X。 | ||||
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 時間 |
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1. | 「ENDLESS RAIN」 | YOSHIKI | YOSHIKI | |
2. | 「X (Live Version)」 | YOSHIKI | YOSHIKI | |
合計時間: |
パーソネル
編集
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松本元成 |
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グレムリン、宮島哲博、阿部充泰 |
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オオクボタカシ、フジシマ、山田直樹、中村昭子、 香椎茂樹、イ・チュンフィン、岩田光正 |
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斎藤ネコ |
収録アルバム
編集- #1
- BLUE BLOOD(スタジオアルバム、#6)
- X SINGLES(ベストアルバム、#3)
- B.O.X 〜Best of X〜(ベストアルバム、#6)
- BALLAD COLLECTION(ベストアルバム、#3)
- STAR BOX(ベストアルバム、#4)
- X JAPAN BEST 〜FAN'S SELECTION〜(ベストアルバム、#3)
- THE WORLD 〜X JAPAN 初の全世界ベスト〜(ベストアルバム、Disc1-#4)
- #2
- X SINGLES(ベストアルバム、#4)
カバー
編集- 日本のシンガーソングライター・アンジェラ・アキや、香港の歌手アーロン・クォック、韓国の歌手キム・ジョングクのコンサートでカバーされた。
- 2007年、ガンズ・アンド・ローゼズの来日公演にて、ギタリストのリチャード・フォータスが、ソロ・コーナーでサビを演奏した。
- 2008年、中村あゆみがアルバム『VOICE』でカバーした。
- 2020年の『第71回NHK紅白歌合戦』では、YOSHIKIのピアノと世界各国をリモートで中継する形でサラ・ブライトマン、QUEEN(ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー)、国内の複数の歌手[注釈 5]とのコラボレーションの形で演奏された。またこの模様はNHKの了承を得て、2021年1月2日にQUEENの公式YouTubeチャンネルで配信された[17]。
タイアップ
編集「ENDLESS RAIN」は、映画『ZIPANG』のテーマソングに起用された後、OVA『乙姫CONNECTION』の挿入歌としても使用された。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d 津田直士 (2014年12月26日). “津田直士「名曲の理由」File01. X JAPAN「ENDLESS RAIN」前編”. mora
- ^ 真紀和泉 (2018年4月1日). “YOSHIKIを動かす“命がけのエネルギー” 津田直士が見た胸の「鮮血」”. テックインサイト
- ^ “X JAPAN、1年越しで成功させたイギリス・ウェンブリー公演”. 音楽ナタリー. (2017年3月6日)
- ^ a b c Charles Aaron (2014年10月10日). “X Japan’s Incredible Ride: Meet Rock’s Most Flamboyant Survivors”. ローリング・ストーン
- ^ “YOSHIKIがカーネギーホール公演を開催、アジア人として初めて米2大殿堂を制覇”. Billboard JAPAN. (2017年1月15日)
- ^ “YOSHIKI アジア人初の三大殿堂制覇も「世界を制覇した感は全くない」「続けていかないと」”. スポニチ. (2022年5月19日)
- ^ “ウェンブリーにX JAPAN!アジア人初の欧米ロック殿堂制覇”. サンスポ. (2017年3月6日)
- ^ “YOSHIKIがイギリスの“2大音楽殿堂”を制覇、ロイヤルアルバートホールでドラムソロ披露も”. 音楽ナタリー. (2023年10月15日)
- ^ “X JAPAN「ENDLESS RAIN」世界中のファン大合唱…YOSHIKI初監督の音楽ドキュメント映画 世界に先駆け9月8日日本全国公開”. 中日新聞Web. (2023年8月1日)
- ^ a b 徐賢燮「韓国における日本文化の流入制限と開放」『研究紀要』第13巻、長崎県立大学、2013年1月、241-253頁、CRID 1050001337428209792、hdl:10561/943、ISSN 1883-8111。
- ^ a b c d 崔碩栄 (2019年4月21日). “90年代韓国でX JAPAN大流行、「日本文化禁止」との関係 ※崔碩栄・著『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館)より一部抜粋”. NEWSポストセブン
- ^ “【私のSTYLE】垣内秀之×梁ソクホが語る「開発としてのLINE STYLE」”. LINE HR BLOG. (2019年10月15日)
- ^ a b “YOSHIKI、『2023 MAMA AWARDS』にて世界的アーティストに贈られる「Favorite International Artist」日本人初受賞の快挙達成!K-POPアーティストとの「ENDLESS RAIN」で国境を越えた歴史的ステージを披露”. music.jp. (2023年11月30日)
- ^ a b c 権容奭 (AP Kwon, Yongseok) (2023年12月13日). “K-POP最大の授賞式MAMAはなぜ「日本で開催」された? 国と世代の壁を打ち破った「ENDLESS RAIN」 MUSIC MAKES US ONE”. Newsweek日本版
- ^ “YOSHIKI、東京ドームでTXTらと共演 「ENDLESS RAIN」をパフォーマンス”. MusicVoice. (2023年11月29日)
- ^ “ゆず『栄光の架橋』はX JAPAN『ENDLESSRAIN』の影響が”. Smart FLASH (LINE NEWS). (2018年2月7日)
- ^ Brian and Roger mark New Year’s Eve with Sarah Brightman and Yoshiki - YouTube Queen Official 2021年1月2日配信