仔猿(こざる、ラテン文字表記: Ko-zaru [1][2])とは、CKデザイン有限会社が製造するオートバイの車名である[2]2003年(平成15年)に発売されて以来[3]、シリーズ車種として数車種が生産されている。

公道を走行可能なオートバイとしては世界最小である(2017年時点[2][3])。納車方法が宅配便[2]というのも際立った特徴。

名称

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「仔猿」のモデル表記は「Ko-zaru」が正規である。これは、「Kit Osca Z-bike Assembly Real Ultramini」から頭字語を「KOZARU」とし、そこから転じて「仔猿(子供)」の意を強めた「Ko-zaru」という表記を採用している。

概要

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開発者である佐々木和夫社長は、東京都調布市に工房を構えている[2]

佐々木のオートバイに関する原体験として、「多摩テック」(かつて東京都日野市にあった本田技研工業〈ホンダ〉系列の遊園地)の乗り物として作られた、「ホンダ・モンキー」の前身車種「Z100」に乗った中学生時代の思い出がある。そのときの嬉しさが「仔猿」の開発に繋がっていると語る。また、長じてはホンダと社員となり、原動機付自転車ホンダ・シャリィなど)や競技用オートバイの設計を手掛けていた佐々木であった[2]。佐々木は1980年(昭和55年)にホンダを退社して独立し、二輪車設計事務所を起業した[3]

起業後はドイツのオートバイメーカー「ホレックス」の製造権を買い取り、ホンダ製の世界最速レベルの単気筒エンジンを搭載したオートバイ「ホレックス644オスカ (Horex 644 Osca)」の生産に乗り出したが、まずは50台を製造し、ドイツへ売り込もうと思った矢先、東西ドイツの統一という世界史上の一大変革期に当たってしまい、経済不況に陥ったドイツからは需要が消失してしまったため、佐々木には億単位の借金だけが残った[3]

一からやり直しことになった佐々木は1987年(昭和62年)8月にCKデザイン有限会社を立ち上げた。

それからおよそ10年が経ったある日、佐々木はフリーマーケットでホンダ製の汎用エンジンを見付ける[3]。それはポンプ草刈りに使われる排気量31ccの小さな汎用4ストロークエンジン「GX31」であった[3]1997年(平成9年)3月27日に発売された[4]このエンジンに惹きつけられた佐々木は[2]、「このエンジンで何か作りたい」と思ったという[2][3]。これが「仔猿」の開発に着手するきっかけとなった[3]。亡くなった本田宗一郎から「佐々木君だったらこのエンジンで何を作る?」と問われているような気がしたのだと、佐々木は当時を振り返る[2][3]

そのようなことで、佐々木は研究を重ね、ついに2003年(平成15年)、「仔猿」を発売する。友人を数えたら36名いたので、最初は彼ら用に36台作って"押し売り"したという[3]。しかし、「面白い」「初めてバイクに乗った日を思い出す」などと好評であった[3]

搭載しているエンジンは、当初は前述した排気量31ccのホンダ製汎用4ストロークエンジン「GX31」を使っていた[2]。それが絶版になってからは[2]、36cc(富士重工ロビンEH035)の4ストロークエンジンに切り替えている。全長82.5cm、全幅43cm、全高62.5cmと[2]、仔猿の車体は「ホンダ・モンキー」よりもさらに小さく[2]、重量は20kgほどしかない[2]道路交通法上は原動機付自転車に分類される。

最高速度が道路交通法上の限定規定にある時速20kmを上回るため、スピードメーターウィンカーランプブレーキランプが装備されることとなった。また、ウィンカーおよびテールランプは、省電力化の目的からLEDを使用し[2]同部品において日本国内ではオートバイとして初のLED採用例となっている[要出典]

バッテリーは別売りで、公道を走行するにはバッテリーの購入が必要[2]。このバッテリーを工夫することもファンにとってはひとつの楽しみになっている[2]。前述のとおり、灯火類にLEDを採用していて省電力であることから、一般的な充電乾電池も使える[2]。さらには、携帯電話のモバイルバッテリーを使えるようにすべく研究中であるという(2017年時点[2])。

もうひとつの特徴としてキットバイクを主仕様として設け、日本初としている。

などに収納して、列車輪行するほか、かつては飛行機に載せて運んでいた人もいた[2]。普通の自動車が通れない場所で使う補助的な乗り物として、自動車に積んでいる消防団もある[2]。また、東日本大震災が発生した際、被災地で移動用に使う人もいたことから、それ以降はメーカーのほうでも避難用に車載するという使い方を広めているという[2]

2017年(平成29年)には、累計販売台数1,000台を突破した[3]

モデル一覧

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  • Z31A-1型 - 排気量31cc。
  • Z31A-2型 - 排気量31cc。
  • CZ62 - 排気量31cc。
  • CZ70 - 排気量35cc。
  • CZ70-LPG - 排気量34cc[5]。ノリモノランドが取り扱うLPG仕様車[6][5]
  • Z35J - 排気量35cc。
  • Z35M - 排気量35cc。
  • Z31M - 排気量31cc
  • A31A 諸元  型  式 OSCA Z31A      全長 / 全幅 / 全高     (走行可状態/ミラー含まず) 822mm / 430mm / 625mm     軸間距離 567mm     シート高  430mm     乾燥重量 19.3kg     エンジン型式 空冷4 サイクル水平単気筒     弁方式 OHV     総排気量 31cc     ボア*ストローク  39mm×26mm     圧縮比 8.0:1     最高出力 1.5ps / 7000rpm     最大トルク 0.17kgm / 4500rpm     キャブレター形式 ダイヤフラム式(オーバーフローリターン)     始動方式 リコイル式

関連車種

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  • ST22 - 排気量22cc。ホンダ製汎用エンジンGX22搭載モデル。
  • ST31 - 排気量31cc。
  • ST35 - 排気量35cc。

 ● X50TT 2気筒 2022.04に発表された。

STシリーズは、「LA-X」の別名をもち、ユーザーレベルでは「仔犬」「コイーヌ[7]」などの愛称で呼ばれる[2]、仔猿シリーズの兄弟車種。パイプフレームの仔猿とは異なり、モノコックフレームを最大の特徴とする。現時点まで正式に量産化されておらず、極小数が製造されたに留まるが、量産販売に向けての購入予約は受け付けている模様。

脚注

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  1. ^ official.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w ホンダ「モンキー」よりもミニ 公道走れる世界最小バイク、納車は宅配便(写真7枚)」『乗りものニュース』株式会社メディア・ヴァーグ、2017年3月30日。2021年1月11日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 天才車体設計士が波乱万丈のなか造りあげた真っ赤な世界最小バイク「あけの語りびと」(朗読公開)」『ニッポン放送 NEWS ONLINE』株式会社ニッポン放送、2017年8月2日。2021年1月11日閲覧。
  4. ^ 世界初 360°自在傾斜 超小型軽量4ストロークエンジン「GX22 & 31」を新発売”. 本田技研工業株式会社 (1997年1月21日). 2021年1月11日閲覧。
  5. ^ a b KOZARU-CZ70-LPG”. norimono Cafe. ノリモノランド. 2021年1月11日閲覧。
  6. ^ norimono Cafe”. ノリモノランド. 2021年1月11日閲覧。
  7. ^ アン・ジョー. “日本一小さいバイクメーカー CKデザイン製 「コイ~ヌ」デビューだ~す!”. WEB Mr.Bike. 株式会社東京エディターズ. 2021年1月11日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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  • CKデザイン・仔猿(公式ウェブサイト)