BeSeTo演劇祭
BeSeTo演劇祭 (ベセトえんげきさい) は、日本・中国・韓国の3か国が共同で行う演劇祭。演劇祭の名前である「BeSeTo」は、北京 (Beijing)、ソウル特別市 (Seoul)、東京 (Tokyo) の頭文字をとって名づけられており、日中韓それぞれの国の実行委員会が演劇祭を主催する。相互の文化の違いを認識しながら共同作業を行うことによって、芸術を核とする相互理解を進めるとともに、世界文化への貢献を目指している。
概要
編集日中韓の演劇交流の強化と世界文化への発信を目指し、韓国の金義卿 (元I.T.I.韓国センター会長) が、中国の徐暁鐘 (元中国戯劇家協会副主席) と日本の鈴木忠志 (元 (財) 舞台芸術財団演劇人会議理事長) に呼びかけ、1994年7月1日に「21世紀を拓く"BeSeTo演劇祭"声明文」に協同署名したことで始まった。同年ソウルで第1回BeSeTo演劇祭を開催し、以後は日本、中国、韓国の順に3か国の持ち回りで毎年開催されている[1]。声明文では、それまでの3か国の関係を「文化的同質性にもかかわらず近くて遠いものだった」[2]と表現し、「21世紀を迎えるにあたって、私たちはもっと活発な文化交流を進める必要がある」と提言[2]、芸術を核とした国際文化交流としての演劇祭を重ねてきた。2013年の第20回BeSeTo演劇祭 (日本開催) では新たに『交流から共存へ』をテーマに定め、国際交流から一歩進んだ演劇祭として開催を続けている。上演される作品は、日本・韓国・中国を代表する演劇人による招聘作品と国際共同制作作品があり、シンポジウムなどもあわせて実施されている。
現在のBeSeTo演劇祭国際委員会
編集- 中国
- 季国平:演劇評論家/中国戯劇家協会 副主席
- 王曉鷹:演出家/中国戯劇家協会 副主席/中国国家話劇院 副院長
- 崔偉:演劇評論家/中国戯劇家協会 秘書長
- 李華芸:中国戯劇家協会 国際部主任
- 韓国
- ヤン・ジョンウン:演出家/劇団旅行者代表/ソウル芸術大学教授
- ユン・ハンソル:演出家/グリーンピグ代表/檀国大学教授
- ソン・ギウン:劇作家・演出家/第12言語演劇スタジオ代表
- イ・ヒジン:プロデューサー/プロデューサー・グループ DOT
開催歴
編集第1回 (1994) - 第10回 (2003)
編集1994年はソウル (韓国) で開催。以降、韓国、日本、中国の順で持ち回り。
第11回 (2004) 日本
編集- 会場…利賀、鳥取、静岡、東京
- 参加作品
- 日本各地で活動する劇団による日本現代演劇の連続上演企画
- シンポジウム等
- 特別シンポジウム「グローバリゼーションと舞台芸術」
- BeSeToシンポジウム「アジアの舞台芸術について-演劇を中心に」
- ラウンドテーブル「舞台芸術の現在と今後の課題-世界とアジア」
- 講演会「中国、韓国における演劇教育の現状と課題」
- 展示「BeSeTo演劇祭の過去・現在・未来」
第12回 (2005) 中国
編集- 会場…中国浙江省寧波市
- 参加作品
- 「西安列車」(劇団物理)
- 「ハルッの物語」(劇団ティダ)
- 「特洛伊女人 (トロイアの女)」(ク・ナウカ+劇団旅行者)
- 「現代民族歌劇 野火春風斗古城」(中国人民解放軍総政治部歌劇団)
- 「立秋」(山西省話劇院)
- 「麦克白 (マクベス)」(ベトナム青年劇場)
- シンポジウム等
- フォーラム「中韓日若手演劇人の成長」
第13回 (2006) 韓国
編集- 会場…議政府、ソウル
- 参加作品
- シンポジウム等
- BeSeToシンポジウム「アジアの劇場文化における光、色、物について」
- ワークショップ「中国伝統劇におけるキャラクターづくりと演技法」
第14回 (2007) 日本
編集- 会場…利賀、東京、ほか
- 参加作品
- 「劇的共振」と題して、日本各地で上演活動が行われる (東京、神奈川、茨城、静岡、京都)
- シンポジウム等
- トーク&パネルディスカッション「グローバリゼーションとナショナリズム―<多様な文化>の共存とその可能性をめぐって」
- ラウンドテーブル「演出家の視座―アジアの舞台芸術の現在と今後の課題―」
第15回 (2008) 中国
編集- 会場…中国江蘇省蘇州市張家港市
- 参加作品
- 「民族音楽劇 曲水流觴蘭亭会」(王佳納) ※広東省文学芸術界連合会 制作
- 「ロミオとジュリエット」(劇団木花)
- 「剣を鍛える話」(鳥の劇場)
- 「川劇 巴山秀才」(四川省川劇院)
- 「玉飛鳳」(張家港市錫劇団)
- 「心比天高」(杭州越劇院)
- シンポジウム等
- フォーラム「創意経済時代における演劇―舞台芸術の商業化再考」
第16回 (2009) 韓国
編集- 会場…韓国
- 参加作品
- 「シラノ・ド・ベルジュラック」(鈴木忠志)
- 「東京ノート」(青年団)
- 「学者と死刑執行人」(上海話劇芸術センター)
- 「火焔山」(四川省川劇院)
- 「ダーウィンの亀」(ソウル市劇団)
- シンポジウム等
- 「21世紀の東アジアにおける演劇の環境と教育―アーティストの訓練と一般への演劇教育」
第17回 (2010) 日本
編集- 会場…東京、静岡、鳥取
- 参加作品
- シンポジウム等
- シンポジウム「国際共同の可能性と東アジアの未来」
- ポストトーク/インタビュー
第18回 (2011) 中国
編集第19回 (2012) 韓国
編集第20回 (2013) 日本
編集- 会場…利賀、鳥取、東京
- 参加作品
- フリンジ企画「BeSeTo+」として10作品を上演
- シンポジウム等
- シンポジウム「日中韓の演劇交流をめぐって」
- テーブルトーク「日中間の演劇交流をめぐって」
第21回 (2014) 中国
編集- 会場…中国
- 参加作品
第22回 (2015) 韓国
編集- 会場…韓国
- 参加作品
第23回 (2016) 日本
編集- 会場…利賀、鳥取、新潟
- 参加作品
- シンポジウム等
- シンポジウム「海をつうじて行き交うもの 異なるものとの交流が未来をひらく」
- シンポジウム「21世紀の国際交流と劇場文化」
第24回 (2017) 中国
編集- 会場…中国浙江省杭州市
- 参加作品
第25回 (2018) 韓国
編集- 会場…韓国光州市
- 参加作品
- 徽劇「惊魂记」(安徽省徽京劇院)
- 「語りの方式、踊りの方式」(グリーンピグ)
- 「狐と鶴」(劇団ソウルケダム)
- 「剣を鍛える話」(鳥の劇場)
- 「呉将軍の足の爪」(Theatre apartment complex libido:)
第26回 (2019) 日本
編集- 会場…鳥取
- 参加作品
- 「班女」「葵上」(鳥の劇場)
- 「Mirroring Memories - それは尊き光のごとく」(Noism1)
- 「授業」(百景社)
- 舞踊劇「蝋細工の思い出」(北京演芸専修学院)
- 「原野」(上海ドラマ芸術センター)
- 「パンソリ[オセロ]」(アジア文化センター)
- 「記憶の場所」(普遍的劇団)
- 「手のない花嫁」(アートステージ・サン)
- 「芥川龍之介をめぐる3つの小作品」(日中韓三ヶ国国際共同製作)
- 『地獄変』(王剣男(中国国家話劇院))、『暗中問答』(キム・ジョン(Project While))、『眠らない方法』(松村翔子(モメラス))
- 「演劇を通じた三ヶ国の学生の交流」
- 『爪』(韓国芸術総合学校演劇院)、『雷雨』(中央戯劇学院)、『舞姫』(四国学院大学))
第27回 (2023) 中国
編集2020~2022は、新型コロナウイルス感染症により開催されなかった。
- 会場…深圳
- 参加作品
- 「浮生六記」(上海大劇院)
- 「Tree Won’t Seek for Shoe Store」(グリーンピグ)
- 「父さんのすることはいつもよし」(クレドシアター)
- 「アジアの物語」(IPKOASON)
- 「小さなエイヨルフ」(鳥の劇場)
- 「丁西林中華民国三喜劇」(北京人民芸術劇院)
- 「マリア・カラス」(ルスタヴェリ国立劇場)
- 「あの子」(中間劇場)
- 「ユニコーン」(深圳パルテノンカルチャー)
- 「盛宴」(福建人民芸術学院)
- 「かくれんぼ」(暁角話劇研進社)
- 「誤解」(百景社)
脚注
編集- ^ 「第23回BeSeTo演劇祭 BeSeTo演劇祭の歴史」
- ^ a b 舞台芸術財団演劇人会議 BeSeTo演劇祭声明文
- ^ BeSeTo演劇祭20周年記念誌
- ^ 第27回BeSeTo演劇祭パンフレット
- ^ BeSeTo演劇祭 韓国公式ウェブサイト