AK-630
AK-630は、ソビエト連邦の艦載機関砲システム。30mm口径・6砲身のガトリング砲を使用した全自動システムであり、密閉された自動操作の砲座に搭載され、レーダーや光学式指揮装置により管制される。このシステムの主要目的は、対艦ミサイルなどの精密誘導兵器に対する対空防御にあるが、航空機や艦艇などの水上目標、沿岸の目標への攻撃および浮遊機雷の処分にも用いることが可能である。
AK-630 | |
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種類 | 多銃身機関砲 |
原開発国 | ソビエト連邦 |
運用史 | |
配備先 | #運用国及び機関 |
開発史 | |
開発期間 | 1960年代から |
製造業者 | トゥーラ兵器工場 |
諸元 | |
砲弾 | 30x165mm |
銃砲身 | 6砲身 |
作動方式 | ガトリング砲 |
仰角 |
-12度~+88度 (俯仰速度:50度/秒) |
旋回角 |
360度 (旋回速度:70度/秒) |
発射速度 | 5,000発/分 |
初速 | 900m/秒 |
最大射程 | 4,000m(HE-FRAG) |
AK-630は、最も初期に開発されたCIWS システムと言える。当時はまだファランクスやゴールキーパーなどは実用化されていなかった。
実用化後に急速に搭載艦艇が増加し、掃海艇から航空母艦に至るまでソ連海軍艦艇に幅広くかつ数多く搭載された。
現在もロシア海軍を中心に多くの艦艇に搭載されている。
概要
編集AK-630は、弾倉が甲板下にあり、レーダーなど管制用装置が別に配置されていることから、非常にコンパクトな外形となっている。
AK-630M機関砲、MR-123-02火器管制レーダー、およびSP-521光学式追尾装置から成る兵器システムは A-213-ヴィンペル-A(A-213-Vympel-A)と呼ばれる。
MP-123 レーダーは1基につき2基の砲座を管制することが可能で、その組み合わせには30ミリ機関砲ないし57ミリ連装砲2基、または30ミリ機関砲および57ミリ連装砲各1基がある。レーダーは4-5キロの間で海面上の目標を捕らえることが可能である。
SP-521光学式追尾装置は、MiG-21相当の航空機なら7キロ、魚雷艇相当の水上目標なら70キロから捕捉可能である。この装置はレーザー照準器、および光学式照準器から構成され、監視および追跡モードを持ち、電波妨害に対する高い抵抗力がある。
砲座は完全に自動化されているが、オペレーターが管制用機器ないし砲座より離れて取り付けられた照準器により手動で制御することも可能である。AK-630は、ブロック1以前のファランクスやゴールキーパーより高い射撃速度を誇る。多くの場合2基1組で取り付けられ、有効な個艦防空システムとなっている。 しかし、他のガトリング機関砲ベースのCIWS同様、即応性と、複数目標への対応が課題となっている。
AK-630 | ファランクス | ゴールキーパー | 730型 | |
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画像 | ||||
重量[要出典] | 9,114 kg (20,093 lb) | 6,200 kg (13,700 lb) | 9,902 kg (21,830 lb) | 9,800 kg (21,600 lb)? |
武装 [要出典] | GSh-6-30 30 mm (1.2 in) 6砲身ガトリング砲 |
M61 20 mm (0.79 in) 6砲身ガトリング砲 |
GAU-8 30 mm (1.2 in) 7砲身ガトリング砲 |
[注 1]30 mm (1.2 in) 7砲身ガトリング砲 |
発射数[要出典] | 毎分5,000発 | 毎分4,500発 | 毎分4,200発 | 毎分5,800発 |
射程[要出典] | 4,000 m (13,000 ft) | 1,490 m (4,890 ft) | 2,000 m (6,600 ft) | 3,000 m (9,800 ft) |
携行弾数 [要出典] | 2,000発 | 1,550発 | 1,190発 | 1,000発 |
弾丸初速 [要出典] | 毎秒900 m (3,000 ft) | 毎秒1,100 m (3,600 ft) | 毎秒1,109 m (3,638 ft) | 毎秒1,100 m (3,600 ft) |
垂直軸射撃範囲[要出典] | +88°~-12° | +85°~-25° | ||
水平軸射撃範囲[要出典] | 360° | +150°~-150° | 360° |
改良型
編集AK-630は、幾つかの改良型および派生型があり、しばしばCADS-N-1 カシュタンシステムも含まれる場合がある。
AK-630
編集AK-630は、1963年に設計が開始され、1964年には最初の試作品が完成した。
レーダーも含めた全体の管制システムは、実艦への搭載および運用が開始された後の1976年頃まで運用試験が続けられた。
AK-630M
編集初期のAK-630が配備・運用されていくにつれ、システム開発中及び運用試験では判らなかった多数の問題が明らかになった。これらの問題を修正し、1979年に新しいシステムはAK-630Mと命名され、運用が開始された。
AK-306
編集AK-630Mの派生型は小型艦艇用に開発され、このシステムはAK-306と命名された。
AK-306とAK-630の間には外観上の違いは無いが、AK-306(A-219)は電気駆動へと変更された。 また、この派生型はレーダー制御を欠き、光学式装置に管制されるだけであり、その結果、全体のシステム名称は「A-213-ヴィンペル-A(A-213-Vympel-A)」から「A-219」へと変更された。
1974年に設計が開始され、1980年に運用を開始した。 1986年までに125基が生産され、運用された。
AK-630M1-2
編集1983年に、縦に2本の銃身を束ねたAK-630改良型を設計することが決定された。 AK-630M1-2 ロイ(Roy)は、既存のAK-630が搭載されている砲座を換装できるように、同程度の寸法と重量にまとめられた。
本格的に導入が進められると思われたが、AK-630M1-2 ロイは、後にカシュタンとも呼ばれているミサイルと砲の複合対空システム3M87 コールチクの開発・生産が優先されたために生産されなかった。
AK-630M1-2 ロイは、マトカ型ミサイル艇「R-44」への搭載に留まった。
2007年7月のIMDS-2007において、AK-630M1-2の近代化タイプがOAO AK Tulamashzavodにより出展、「AK-630M-2 デュエット(ロシア語: Дуэт、Duet)」という新しい名称を付され展示された。「デュエット」の「ロイ」との外観上の相違点は、ステルス性を考慮した新しいレーダー反射面積の低い形状にある。
中国製AK-630
編集中国で生産されているAK-630には、独自に開発されたレーダー反射率の低減を図ったステルスシールドが採用されており、江凱型フリゲートや紅稗型ミサイル艇、071型揚陸艦に搭載されている。紅稗型ミサイル艇には、管制レーダーに中国独自のHEOS-300が用いられている。
中国人民解放軍海軍では、中国で独自に開発された730型CIWSも運用しているが、AK-630の4倍という高コストのため、AK-630も併用している。
運用国及び機関
編集現在運用中および過去に運用した国および機関の一覧
要目
編集- 銃身:AO-18 6砲身30mm ガトリング機関砲
- 重量(本体のみ/砲弾および管制システムを含む)
- AK-630/630M:1,850kg(本体のみ), 1,918kg(砲弾含む), 9,114kg(砲弾および管制システムを含む)
- AK-630M1-2:2,500kg(本体のみ), 11,819kg(砲弾および管制システムを含む)
- AK-306:1,100kg(本体のみ), 1,630kg(砲弾および管制システムを含む)
- 仰俯角範囲および速度:-12度から+88度、50度/秒
- 旋回範囲および速度:360度、70度/秒
- 初速:900m/秒
- 発射速度:83発/秒(5,000発/分)
- 弾薬:HE-FRAG, FRAG
- 弾薬搭載量(1層下の弾薬庫に搭載)
- AK-630/630M:2,000発
- AK-630M1-2:4,000発
- AK-306:500発
- 射程:HE-FRAG(0.54kg)shell, 4,000m
- 捜索・追尾システム:A-213-Vympel-A, レーダー、レーザーおよび光学式管制システム
脚注
編集注釈
編集- ^ AK-630を6砲身から7砲身したもの