AH-56 (航空機)

試作攻撃ヘリコプター

AH-56 シャイアン

テスト飛行を行うAH-56A シャイアン

テスト飛行を行うAH-56A シャイアン

AH-56 シャイアン英語: AH-56 Cheyenne)は、ロッキードによって1960年代に開発された、アメリカ陸軍向けの試作攻撃ヘリコプターである。愛称のシャイアン(Cheyenne)は、アメリカ先住民のシャイアン族に由来する。世界初の攻撃ヘリコプターとして開発されたが採用は取り消され、陸軍主力攻撃ヘリコプターの座はAH-1 コブラが得ることとなった。

開発経緯

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ベトナム戦争中、地上での戦闘には軽武装UH-1軍用輸送ヘリコプターが大量に導入された。輸送型のヘリコプターは、戦争が激化するにつれてますます需要が増していた。しかし、一方で、対空砲火による輸送ヘリコプターの損失の多さ、武装が貧弱すぎることが問題となった。UH-1などをさらに重武装にする案もあったが、もともと輸送型のUH-1には、それ以上の重武装は不可能であった。そのため、当時のロバート・マクナマラ国防長官は、これら輸送ヘリコプターを護衛するためのAAFSS(英語: Advanced Aerial Fire Support System、新型航空火力支援システム)計画を案出した。本格的な攻撃ヘリコプター開発は、これが世界初であった。

アメリカ陸軍は、1964年にAAFSS計画における要求仕様を国内航空メーカー各社に提示した。参加した数社の中から、高速度を実現可能なロッキード案とシコルスキー S-66に絞り込まれ[1]1965年にロッキード社の案をAH-56A シャイアンとして採用、1967年9月21日に初飛行を行った。しかし技術的問題による開発の遅滞や開発費用の高騰、戦術思想の変化もあって、開発には成功しながら採用が中止され、量産化には至らなかった。

陸軍ではAH-56配備までの暫定攻撃ヘリコプターとしてUH-1を元にしたベル・エアクラフトの「モデル209」を採用しており、ベトナム戦争終盤の最激化の時期の1969年9月[要出典]には「モデル209」はAH-1 コブラとして制式採用されることとなった。

特徴

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機体後部に取り付けられた推進式プロペラ

AH-56は、AH-1Gの3倍以上の3,425馬力を出力するT64ターボシャフトエンジン一基を搭載する複合ヘリコプターで、メインローター、テイルローターに加えて後部に推進式プロペラを装備する事が特徴である。この推進式プロペラによって、水平飛行時の最大速度は時速400kmに達する。これは、ヘリコプターとしては(現在においても)革新的な高速性能であった。

メインローターには、ロッキード社が開発した高い機動性を売りにするリジッドローターを採用した。加えて、コンピュータによる飛行制御や熱線暗視装置の採用など、当時の最新技術を結集させている。

全体的なデザインは、ベルの実験機であるベル 207やAAFSSの対抗機種であるS-66と同様に縦列(タンデム)式の複座操縦席、縦に細長い胴体、スタブウイング(取り外し可能)を備え、後の攻撃ヘリコプターの標準ともいえるような構造をしていた。

性能・主要諸元(AH-56A)

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試験飛行を行うAH-56A

一般的な諸元

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性能

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  • 超過禁止速度:212knots=M0.32(244mph, 393km/h)
  • 巡航速度:195knots=M0.30 (225mph, 362km/h)
  • 航続距離:1,063nm(1,971km)

武装

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ギャラリー

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登場作品

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機動警察パトレイバー』シリーズ
AH-56そのものは登場しないが、劇場版などの作中世界ではAH-56がアメリカ陸軍に制式採用されており、その後継機としてAH-88 ヘルハウンド(架空機)が開発されたという裏設定が存在する。
メタルギアソリッド ピースウォーカー
CIA傭兵が使用する機体がステージボスとして登場。鹵獲して部隊に組み入れる事が可能で、爆撃機型と攻撃機型がある。爆撃機型は実機とは異なり、スタブウイングに自由落下型爆弾を搭載するモデルとなっている。
『リザベーション』
史実通りAH-56Aは開発中止となったが、次世代戦闘ヘリのテストベッドとしてロッキードが自主開発していた「AH-56B」という架空機がベトナム戦争に戦闘データ収集のため試験配備される。

脚注

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出典

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参考文献

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  • ミリタリー・イラストレイテッド22「戦うヘリコプター」ワールドフォトプレス編:ISBN 4-334-70796-3 光文社

関連項目

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外部リンク

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