75式ドーザ(ななごうしきドーザ)は、陸上自衛隊施設科が使用している装甲付のブルドーザーである。製造は小松製作所[1]、愛称はビッグブルの他に、部隊内では「装甲ドーザ」や、単に「ドーザ」とも呼ばれる。

75式ドーザ
記念式典にて展示される371施設中隊の75式ドーザ
基礎データ
全長 6.99m(走行姿勢)
6.3m(作業姿勢)
全幅 2.70m(走行姿勢)
3.45m(作業姿勢)
全高 2.79m
重量 約19.2t[1]
乗員数 2名[1]
装甲・武装
備考 最大牽引力 11.5t
機動力
速度 約45km/h[1]
エンジン 水冷式ディーゼルエンジン[2]
160ps/1850rpm
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開発

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戦闘下での土木作業が可能な、装甲を有する中型ドーザ程度のブルドーザーとして技術研究本部小松製作所で共同開発された[1][3]。1969年から開発が始まり、1975年に制式採用されている[1]。約100両が生産された[3]

設計

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民生用のブルドーザーの最高速度は10~15km/h程度に過ぎないのに対し、75式ドーザーは戦場における機動性が求められたため、戦車などの70km/hには及ばないながらも45km/hの速力を発揮可能である。足回りの構成も戦車型でサスペンションはトーションバー式、最小回転半径は約6.5m、登坂能力は最大約60%、渡渉能力を約1mまで有している。

前後2つの運転台を有し、作業時はドーザーブレード(排土板)側の運転台で、走行時には反対側の運転台で操縦する[3]。これは排土板側を正面として高速走行した場合、十分な視界が得られなかったための策である。排土板側の運転台は回転式で、作業時、移動時にあわせて方向を変えることができる。ライトと方向指示器は車体の前後に取り付けられている。

排土板は中央から2つに分割されており、作業に応じて外反、内傾させることが可能である。輸送時には排土板の幅を縮めて行なう。エンジンは排土板側に搭載されている。装甲小銃弾および砲弾片から防護できる程度のもので、操縦席の窓にはシャッターを下ろすことが可能である。


配備

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側面

主に建設工兵である施設団に配備されていたが、施設作業車の配備が進んだため方面施設部隊への配置転換が進んでいる。しかしながら施設作業車の毎年の調達がごく少数に限られているため、本州以南での師団・旅団施設部隊では未だ第一線装備として運用されている。

装甲を有する建設車両ということもあり、普賢岳火山災害カンボジアPKOでも使用された。

施設作業車の配備が進まず、75式の老朽化も進んだことから後継としてドーザ(装甲付き)が開発され[4][5]2023年23式ドーザとして制式化された。

登場作品

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ゴジラvsビオランテ』・『ゴジラvsキングギドラ
芦ノ湖札幌へ、ゴジラ迎撃に向かう自衛隊の車列の中に確認できる。
超空自衛隊
オーストラリア災害派遣に向かう途中で、第二次世界大戦時にタイムスリップしてしまった陸上自衛隊施設科部隊の装備として登場。ガダルカナル島にて使用され、旧日本軍とともに旧アメリカ海兵隊陣地に突撃する。

脚注

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  1. ^ a b c d e f 自衛隊装備年鑑 2006-2007 朝雲新聞 P88 ISBN 4-7509-1027-9
  2. ^ 防衛庁技術研究本部創立25周年記念行事企画委員会 編『防衛庁技術研究本部二十五年史』防衛庁技術研究本部、1978年、64-67頁。 NCID BN01573744 
  3. ^ a b c 「陸上自衛隊の車輌と装備2012-2013」『PANZER 臨時増刊』、アルゴノート、2013年1月、102頁。 
  4. ^ 「海上自衛隊ニュース 新たな重要装備品の選定結果を公表」『世界の艦船』第991集(2023年4月号) 海人社 P.160
  5. ^ 新たな重要装備品等の選定結果について - 防衛省(2023年1月23日、2024年10月4日閲覧)

参考文献

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  • 日本兵器研究会(編)「世界の装軌装甲車カタログ」、アリアドネ企画、2001年、ISBN 4-384-02660-9 

関連項目

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