5人の信者達
「5人の信者達」(ごにんのしんじゃたち、Obviously 5 Believers)は、ボブ・ディランの楽曲。1966年6月発売のアルバム『ブロンド・オン・ブロンド』に収録され[3]、同年8月にシングルカットされた「女の如く」のB面に収録された。
「5人の信者達」 | ||||||||
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ボブ・ディラン の シングル | ||||||||
初出アルバム『ブロンド・オン・ブロンド』 | ||||||||
A面 | 女の如く | |||||||
B面 | 5人の信者達 | |||||||
リリース | ||||||||
規格 | 7インチ・シングル | |||||||
録音 | ナッシュビル、コロムビア・スタジオ(1966年3月10日)[2] | |||||||
ジャンル | ロック | |||||||
時間 | ||||||||
レーベル | コロムビア | |||||||
作詞・作曲 | ボブ・ディラン | |||||||
プロデュース | ボブ・ジョンストン | |||||||
ボブ・ディラン シングル 年表 | ||||||||
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概要
編集歴史家のショーン・ウィレンツによれば、1966年3月9日にナッシュビルのコロムビア・ミュージック・ロウ・スタジオで始まったレコーディング・セッションは、翌10日まで13時間にわたり連続して行われた[4]。6曲が演奏され、いずれもがアルバム『ブロンド・オン・ブロンド』に収録された[2]。
3月10日の早朝、ディランとミュージシャンたちは、1回のリハーサルの後、「雨の日の女」をワンテイクで完成させた[2]。ロビー・ロバートソンはタバコを買いにスタジオを離れたため、「雨の日の女」には参加しなかったとされる[5]。ロバートソンがコントロール・ルームに座っていると、ディランがマイク越しに「ロビー、次の曲で弾いてみないか?」と言った[6]。ロバートソンはチャーリー・マッコイ、ウェイン・モス、アル・クーパー、ヘンリー・ストルゼレッキ、ハーガス・ピッグ・ロビンス、ケニー・バットレーらの間に加わった[7]。以下はロバートソンの自伝からの記述である。
ボブが書きものの手を止め、顔を上げて「OK」と言った。エンジニアが曲名を訊くと、ボブは「とりあえず <五人の信者たち(Five Believers)> としておこう」と答えた。ヴァースを二度ほど演奏したところで、ハーモニカをつかみ取ったチャーリー・マッコイがロイ・オービソンの <キャンディ・マン> っぽいフレーズを吹き、ぼくらは本格的に始動した。この曲にはおもしろい変拍子があり、ボブとぼくはミシシッピのブルース・バーにいるような感じで、思い切りむせび泣いた。(中略)ぼくのようにベンドやチョーキングを激しく効かせたスタイルを得意としているギタリストはほかにいなかったので、だれの仕事も奪わずにすんだ。プレイバックを聞き終えると、全員がぼくのところに来て握手を求めてくれた。ボブ・ジョンストンがほかのミュージシャンたちに言った。「言ったろ、こいつは弾けるやつだって! で、タイトルはどうするんだ、ボブ? <五人の信者たち> か?」
ぼくはちょっと気取った声で言った。「どう見ても <五人の信者たち> でしょう!」
ボブは笑った。「うん、今のはいいな――<どう見ても五人の信者たち(Obviously 5 Believers)>」[6]。 — ロビー・ロバートソン『ロビー・ロバートソン自伝 ザ・バンドの青春』DU BOOKS、2018年。
メロディと曲の構成はメンフィス・ミニーの「Chauffeur Blues」を元にしていると言われている[8][9]。
4テイク録音され、最後のテイクが1966年6月20日発売のアルバム『ブロンド・オン・ブロンド』に収録された[3]。また、8月18日にシングルカットされた「女の如く」のB面に収録された[1]。
2015年11月発売の『The Bootleg Series Vol. 12: The Cutting Edge 1965–1966』にテイク3が収録された。
脚注
編集- ^ a b 45cat - Bob Dylan - Just Like A Woman / Obviously 5 Believers - Columbia - USA - 4-43792
- ^ a b c Olof Björner. “Still On The Road 1966 Blonde on Blonde Recording Sessions and World Tour”. Still On The Road. 2024年9月7日閲覧。
- ^ a b Heylin 2017, p. 288.
- ^ Wilentz 2009, pp. 122–124.
- ^ Sanders 2020, p. 232.
- ^ a b ロバートソン 2018, pp. 219–220.
- ^ Sanders 2020, p. 276, 279.
- ^ Trager 2004, p. 462.
- ^ Margotin & Guesdon 2022, p. 238.
参考文献
編集- Trager, Oliver (2004). Keys to the Rain. Billboard Books. ISBN 0-8230-7974-0
- Wilentz, Sean (2009). Bob Dylan in America. The Bodley Head. ISBN 978-1-84792-150-5
- Heylin, Clinton (2017). Judas!. Lesser Gods. ISBN 978-1-944713-30-0
- Sanders, Daryl (2020). That Thin, Wild Mercury Sound: Dylan, Nashville, and the Making of Blonde on Blonde (epub ed.). Chicago: Chicago Review Press. ISBN 978-1-61373-550-3
- Margotin, Philippe; Guesdon, Jean-Michel (2022). Bob Dylan All the Songs: The Story Behind Every Track (Expanded ed.). New York: Black Dog & Leventhal. ISBN 978-0-7624-7573-5
- Robertson, Robbie (October 25, 2016). Testimony. Crown Archetype. ISBN 978-0307889782
- ロビー・ロバートソン 著、奥田祐士 訳『ロビー・ロバートソン自伝 ザ・バンドの青春』DU BOOKS、2018年10月19日。ISBN 978-4866470535。