40-40クラブ

40本塁打と40盗塁を同一シーズンに達成したMLB選手の集団

40-40クラブ(40-40 club)は、MLBにおいて1シーズンに40本塁打以上と40盗塁以上を同時に達成した選手たちのことを指す。

シーズン40個目の盗塁で40-40を達成した後、二塁ベースを回収するアルフォンソ・ソリアーノ(2006年9月16日)

概要

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40-40クラブのメンバーになることは、現代のアメリカ野球ではなかなか達成できない偉業である。1つのシーズン中に40本のホームランを打つパワーと40個の盗塁をこなすスピードの両方を兼ね備えた選手はほとんどいないためである。一般的に、40本のホームランを打てるパワーのある選手は40個の盗塁に必要なスピードを持っておらず、その逆もまた同様である。これは、MLBの統計的傾向が変化しても同じで、1980年代の盗塁数は異常に多かったものの、40本のホームランに到達した選手はほとんどいなかった。1990年代後半にはホームラン数は非常に多くなったものの、盗塁という戦術があまり使われなくなったため、盗塁数はより稀になった。しかし、2023年シーズンから導入されたベースサイズ拡大や牽制球制限の新ルールによってMLB全体の盗塁数が急増し[1]、2023年から2年連続で達成者が現れた。

MLB史上で40-40達成者は6人であり、複数回達成した選手はいない。ホセ・カンセコが1988年に初めて達成[2][3]。達成者にはラテン系黒人選手が名を連ね、白人選手の達成者はいない。アジア人選手としては2024年に日本人選手の大谷翔平が初めて達成した[4]

達成した6人のうち、4人は右打者、2人は左打者だった。バリー・ボンズアレックス・ロドリゲス通算600本塁打達成者英語版であり[5]、カンセコとロナルド・アクーニャ・ジュニアは達成した年にMVPに選出され(ボンズは5位、ソリアーノは6位、ロドリゲスは9位)、またカンセコはワールドシリーズに進出した唯一の選手である[6]。なお40-40を上回る記録としては、アクーニャ・ジュニアはMLB史上初となる40-70(41本塁打・73盗塁)、大谷はMLB史上初となる50-50(54本塁打・59盗塁)を達成している。

ソリアーノは40-40の他に41二塁打を記録している[7][8]。ロドリゲス(遊撃手)と大谷(指名打者)以外の達成者はいずれも外野手である[注 1]。現役でない達成者はすべて通算400本塁打かつ通算200盗塁を達成している。カンセコ、ボンズ、ソリアーノは40本塁打のあとに40盗塁を達成し、ロドリゲスとアクーニャ・ジュニアは40盗塁のあとに40本塁打を達成した。大谷は同じ試合中に両方を達成した唯一の選手であり、4回に40個目の盗塁、9回裏にサヨナラ満塁本塁打となる40本目の本塁打を放ち達成した[10]

これまで、複数回達成者はいないが、アクーニャ・ジュニア(2019年 41-37)、ソリアーノ(2002年 39-41) 、ボンズ(97年 40-37)が複数回達成に近い記録を残し、カンセコが40-40に近づいたのは1998年(46-29)だった。ロドリゲスは他に40本塁打を7回記録したが、いずれの年も24盗塁を超えたことはなかった。

ボビー・ボンズ (1973年 39-43) 、前述のソリアーノ、ブラディミール・ゲレーロ (2002年 39-40) 、マット・ケンプ (2011年 39-40) 、ホセ・ラミレス (2024年 39-41) はいずれも39本塁打に終わり、あと1本塁打で達成だった。なお盗塁があと1つで40-40達成となる例はこれまでない。

40-40達成の最速は2024年大谷による126試合目である[10]

達成者

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ホセ・カンセコが1988年に初めて40-40を達成した。
凡例
  殿堂入りした選手
  現役選手
選手 所属球団 ホームラン 盗塁 出典
1988 ホセ・カンセコ オークランド・アスレチックス 42 40 [11]
1996 バリー・ボンズ サンフランシスコ・ジャイアンツ 42 40 [12]
1998 アレックス・ロドリゲス シアトル・マリナーズ 42 46 [13]
2006 アルフォンソ・ソリアーノ ワシントン・ナショナルズ 46 41 [8]
2023 ロナルド・アクーニャ・ジュニア  アトランタ・ブレーブス 41 73 [14]
2024 大谷翔平  ロサンゼルス・ドジャース 54 59 [15]

MLB以外

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脚注

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注釈

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  1. ^ ソリアーノは2001年から2005年までは二塁手としてプレーしていたが、くしくも40-40を達成した2006年より左翼手に転向していた[9]

出典

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全般
個別
  1. ^ ピッチクロックがもたらす盗塁増加 影響は日本でも?”. 日本経済新聞 (2023年9月10日). 2024年9月22日閲覧。
  2. ^ Eskenazi, Gerald (October 5, 1988). “Canseco Facing High Expectations”. The New York Times. https://www.nytimes.com/1988/10/05/sports/canseco-facing-high-expectations.html June 17, 2012閲覧。 
  3. ^ THOMAS BOSWELL (August 19, 1988). “Jose Canseco's 40-40 Vision Starting to Come Into Focus”. Los Angeles Times. March 26, 2013閲覧。
  4. ^ 福島良一大谷翔平、前人未到の「50-50」に迫れるか 偉業達成のカギはホームラン - 福島良一の大リーグ It's showtime!」『日刊スポーツ』2024年8月26日。2024年8月26日閲覧。
  5. ^ Career Leaders & Records for Home Runs”. Baseball-Reference.com. May 8, 2012閲覧。
  6. ^ Most Valuable Player MVP Awards & Cy Young Awards Winners”. Baseball-Reference.com. May 24, 2012閲覧。
  7. ^ “Soriano first ever to reach 40–40–40 mark”. Associated Press. (May 24, 2012). オリジナルのNovember 2, 2007時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071102115527/http://www.msnbc.msn.com/id/14961469/ July 31, 2007閲覧。 
  8. ^ a b Alfonso Soriano Statistics and History”. Baseball-Reference.com. May 10, 2012閲覧。
  9. ^ Soriano's first game in left field goes smoothly”. ESPN (Associated Press) (April 3, 2006). June 25, 2012閲覧。
  10. ^ a b 【詳報:一問一答】ドジャース・大谷翔平、史上最速で「40本塁打&40盗塁」達成 試合後も大興奮「50&50? 数字が上がれば勝つ確率が高くなるということ」」『サンスポ』2024年8月24日。2024年8月26日閲覧。
  11. ^ Jose Canseco Statistics and History”. Baseball-Reference.com. May 10, 2012閲覧。
  12. ^ Barry Bonds Statistics and History”. Baseball-Reference.com. May 10, 2012閲覧。
  13. ^ Alex Rodriguez Statistics and History”. Baseball-Reference.com. May 10, 2012閲覧。
  14. ^ Ronald Acuña Jr. Statistics and History”. Baseball-Reference.com. 2023年10月2日閲覧。
  15. ^ 大谷翔平、「54-59」でトリプルスリー 三冠王は逃す」『日本経済新聞』2024年9月30日。2024年9月30日閲覧。
  16. ^ 福島良一日本のプロ野球では前人未到の40―40 最も惜しかったのは43本塁打38盗塁」『スポーツ報知』2024年8月25日。2024年8月26日閲覧。
  17. ^ “Eric Thames becomes first with 40–40 in S. Korean baseball; Park Byung-ho sets RBI mark”. Yonhap. (October 2, 2015). http://english.yonhapnews.co.kr/culturesports/2015/10/02/0702000000AEN20151002009552315.html 2 October 2015閲覧。 

関連項目

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