2020年代に記載された霊長類の一覧
2020年代に記載された霊長類の一覧(2020ねんだいにきさいされたれいちょうるいのいちらん)では、2020年代に新種として記載された霊長類を列挙する。
2020年
編集Microcebus jonahi
編集Microcebus jonahiは、コビトキツネザル科ネズミキツネザル属の一種で[1]、2020年7月27日に記載された[2]。マダガスカル北東部の熱帯雨林、北マナナラ国立公園区域内、アンババラ村周辺にのみ生息している[1][3][4]。
マダガスカルで進んでいる森林破壊により個体数が減少しており[4]、2022年版レッドリストでは、絶滅危惧IB類に指定されている[5]。
学名の「jonahi」はマダガスカルの霊長類学者のJonah Ratsimbazafyからとっている[6]。
ポッパラングール
編集ポッパラングール(学名: Trachypithecus popa)は、オナガザル科ラングール属の一種で、2020年11月11日に記載された[7]。ミャンマーのポッパ山周辺にのみ生息する[8]。
もともと、英ロンドン自然史博物館では、イギリス領インド帝国時代に採取された標本が1900年代から保管されていた[9][10]。しかし、2020年に到るまで、新種とは思われておらず[9][10]、ファイヤーリーフモンキーの亜種だと考えられていた[11][12]。
個体数は200-260匹ほどで、森林破壊によりもっと個体数が減少しており[9]、レッドリストでも絶滅危惧IB類に指定されている[13]。
2021年
編集シュナイダーマーモセット
編集シュナイダーマーモセット(学名: Mico schneideri)はオマキザル科シルバーマーモセット属の一種で、2021年8月2日に『Scientific Reports』に寄稿された論文により、新種として記載された[14]。
ブラジル・アマゾンのジュルエナ川とテレスピレス川の間に生息している[15][14]。ジュルエナ川とテレスピレス川の間と言ってもその内北の方のみ生息し、南には個体数はほとんどない[14]。
1995年に標本が収集されていたが、スネトラーゲマーモセットであると誤って認識されていた[15]。その後2015年から2018年にかけて行われたフィールドワークで再度標本が収集され調査を行ったところシルバーマーモセット属に属する新種であることが判明した[14]。
森林破壊による影響で、個体数は減少傾向にある[15][14]。その結果、レッドリストでは2022年3月14日に絶滅危惧IB類に指定されている[16]。
脚注
編集出典
編集- ^ a b Sorraia, Sara (2020年8月5日). “NEW SPECIES ALERT: Meet Jonah's mouse lemur!” (英語). Duke Lemur Center. 2024年7月26日閲覧。
- ^ Schüßler, Dominik; Blanco, Marina B.; Salmona, Jordi; Poelstra, Jelmer; Andriambeloson, Jean B.; Miller, Alex; Randrianambinina, Blanchard; Rasolofoson, David W. et al. (2020-09). “Ecology and morphology of mouse lemurs ( Microcebus spp.) in a hotspot of microendemism in northeastern Madagascar, with the description of a new species” (英語). American Journal of Primatology 82 (9). doi:10.1002/ajp.23180. ISSN 0275-2565 .
- ^ Anderson, Natali (2020年7月29日). “Scientists Discover New Species of Mouse Lemur | Biology | Sci-News.com” (英語). Sci.News: Breaking Science News. 2024年7月26日閲覧。
- ^ a b Vyawahare, Malavika (2020年8月3日). “Say hello to Madagascar’s newest mouse lemur, a pint-sized primate” (英語). Mongabay Environmental News. 2024年7月26日閲覧。
- ^ “Microcebus jonahi”. レッドリスト. 2024年7月26日閲覧。
- ^ Vyawahare, Malavika (2020年8月3日). “Say hello to Madagascar’s newest mouse lemur, a pint-sized primate” (英語). Mongabay Environmental News. 2024年7月26日閲覧。
- ^ Roos, Christian; Helgen, Kristofer M.; Miguez, Roberto Portela; Thant, Naw May Lay; Lwin, Ngwe; Lin, Aung Ko; Lin, Aung; Yi, Khin Mar et al. (2020-11-18). “Mitogenomic phylogeny of the Asian colobine genus Trachypithecus with special focus on Trachypithecus phayrei (Blyth, 1847) and description of a new species” (英語). Zoological Research 41 (6): 656–669. doi:10.24272/j.issn.2095-8137.2020.254. ISSN 2095-8137. PMC 7671912. PMID 33171548 .
- ^ WWFジャパン (2024年7月24日). “メコン地域で224種の新種発見!最新報告を発表”. WWFジャパン. 2024年7月24日閲覧。
- ^ a b c “ミャンマーで新たに発見された霊長類は「すでに絶滅の危機に瀕している」”. jacyou.com. 2024年7月24日閲覧。
- ^ a b “新種の霊長類発見、生息数少なく絶滅の危機 ミャンマー”. CNN.co.jp. 2024年7月24日閲覧。
- ^ Bhattacharya, Bikash Kumar (2024年3月25日). “Protecting a Newly Identified Species in Myanmar” (英語). Bluedot Living. 2024年7月25日閲覧。
- ^ McKinney, Tracie (2020年11月24日). “The world’s newest monkey species was found in a lab, not on an expedition” (英語). The Conversation. 2024年7月25日閲覧。
- ^ Matauschek, C.; Meyer, D.; Lwin, N.; Ko Lin, A.; Lin, A.; Momberg, F.; Roos, C. (2022). “Trachypithecus popa”. IUCN Red List of Threatened Species 2022: e.T196344474A196344962. doi:10.2305/IUCN.UK.2022-1.RLTS.T196344474A196344962.en 29 July 2022閲覧。.
- ^ a b c d e Costa-Araújo, Rodrigo; Silva-Jr., José S.; Boubli, Jean P.; Rossi, Rogério V.; Canale, Gustavo R.; Melo, Fabiano R.; Bertuol, Fabrício; Silva, Felipe E. et al. (2021-08-02). “An integrative analysis uncovers a new, pseudo-cryptic species of Amazonian marmoset (Primates: Callitrichidae: Mico) from the arc of deforestation” (英語). Scientific Reports 11 (1): 15665. doi:10.1038/s41598-021-93943-w. ISSN 2045-2322 .
- ^ a b c Society, Wildlife Conservation. “New marmoset species discovered in Brazilian Amazon” (英語). phys.org. 2024年7月26日閲覧。
- ^ Costa-Araújo, R.; Silva Júnior, J.S.; Canale, G.R.; Melo, F.R.; Boubli, J.P.; Farias, I.; Hrbek, T. (2022). “Mico schneideri”. IUCN Red List of Threatened Species 2022: e.T210363264A222945240. doi:10.2305/IUCN.UK.2022-1.RLTS.T210363264A222945240.en .