2018 UEFAスーパーカップ英語: 2018 UEFA Super Cup)は、欧州サッカー連盟 (UEFA) が開催する43回目、2000年に前年度シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ優勝チームとUEFAヨーロッパリーグ(UEFAカップ)優勝チームが対戦する方式に変更されてから19回目のUEFAスーパーカップである。UEFAチャンピオンズリーグ 2017-18優勝のレアル・マドリードUEFAヨーロッパリーグ 2017-18優勝のアトレティコ・マドリードが対戦するマドリードダービーとなった[5]

2018 UEFAスーパーカップ
延長戦
開催日 2018年8月15日
会場 ア・ル・コック・アレーナ(タリン)
最優秀選手 スペインの旗 ジエゴ・コスタアトレティコ・マドリード[1]
主審 ポーランドの旗 シモン・マルチニアク[2]
観客数 12,424人[3]
天気 晴れ時々曇り
気温:18℃
湿度:71%
風速:10km/h[4]
2017
2019

試合は2018年8月15日にエストニアタリンにあるア・ル・コック・アレーナで行われた[6]。アトレティコ・マドリードが延長戦の末に4-2でレアル・マドリードに勝利し、6年ぶり通算3回目の優勝を果たした[7]

出場チーム

編集
チーム 出場資格 出場記録 (太字は優勝)
 レアル・マドリード UEFAチャンピオンズリーグ 2017-18優勝 6 (1998, 2000, 2002, 2014, 2016, 2017)
  アトレティコ・マドリード UEFAヨーロッパリーグ 2017-18優勝 2 (2010, 2012)

UEFAスーパーカップでスペインのチーム同士が対戦するのは最近5大会で4回目であり、同じ都市のチーム同士が対戦するのは43回目にして初となる[8]

UEFAチャンピオンズリーグで3連覇を達成した最初のクラブとなったレアル・マドリードはこれまでにUEFAスーパーカップに6回出場し、4回優勝している[8]。UEFAスーパーカップで2連覇中であり、今大会で優勝すれば3連覇を達成した最初のクラブとなる[8]

アトレティコ・マドリードはUEFAヨーロッパリーグ優勝チームとして出場した2010年と2012年に優勝しており、勝率は100%である[8]。レアル・マドリードとはUEFA主催大会で9回対戦し、2勝2分5敗の成績を残しているが、レアル・マドリードを退けて優勝したり勝ち上がったことは一度もない[8]

会場

編集

2016年9月にアテネで開催されたUEFA執行委員会にて、2018年8月15日にエストニアのタリンにあるリレクラ・スターディオンで開催されることが決定された[6]。エストニアでは2012年にUEFA U-19欧州選手権2012が開催されたが、年齢制限のない大会の決勝は初開催となる[6]。2018年はエストニア共和国の独立100周年にあたる年でもある[6]

リレクラ・スターディオンはスポンサーの関係でア・ル・コック・アレーナとして知られている[6]。ア・ル・コック・アレーナは2001年6月に開場し、フローラ・タリンサッカーエストニア代表のホームスタジアムとして使用されている[6]。UEFA U-19欧州選手権2012では決勝を含む6試合が行われた[6]

チケット

編集

チケットは2018年6月5日から26日までUEFA.comでファンと一般向けに130ユーロ(カテゴリ1)、90ユーロ(カテゴリ2)、50ユーロ(カテゴリ3、アクセシビリティチケット)の3つの価格帯で販売される[9]。紙チケットはなく、すべて専用モバイルアプリを使用した電子チケットとなる[9]

ア・ル・コック・アレーナの収容能力約13,000人の約70%がファンと一般向け、残りは地元の組織委員会、欧州サッカー連盟、各国協会、商業パートナー、放送事業者に割り当てられる[9]

2018 UEFAスーパーカップではスタジアム入口のモバイルBluetoothデバイスと組み合わせたブロックチェーン技術を活用した新しいチケット販売システムが完全に導入され、すべてのチケットがブロックチェーンに基づく専用アプリを使用して販売された[10]。新システムはUEFAヨーロッパリーグ 2017-18 決勝で初導入され、一般向けチケットの50%が対象となっていた[10]

レギュレーションの変更

編集

2018年3月に2018-19シーズンからUEFAスーパーカップを含むUEFA主催クラブ大会のレギュレーションが変更されることが発表され、2018 UEFAスーパーカップのレギュレーションは以下のように変更される[11]

  • 通常3人までの選手交代枠に加えて、延長戦では4人目の選手交代が可能となる。
  • ベンチ入りメンバー数が18人から23人、ベンチ入りできる控え選手数が7人から12人に拡大される。
  • 試合開始時間が21:00 (CET) に変更される。

審判

編集

2018年8月2日にポーランド人のシモン・マルチニアク主審を務める審判団が発表された[2][12]。マルチニアク氏は2018 FIFAワールドカップUEFA EURO 2016UEFA U-21欧州選手権2015で主審を務め、UEFAヨーロッパリーグ 2017-18 決勝2016 UEFAスーパーカップで第4審判を務めた[13]経歴がある。審判団は他に5人のポーランド人とルーマニア人で構成され、副審はパヴェウ・ソコルニツキとトマシュ・リストゥキエヴィチュ、追加副審はパヴェウ・ラチュコフスキとトマシュ・ムシアウ、予備副審はラドスワフ・シエイカ、第4審判はルーマニア人のオヴィディウ・ハツェガンが務める[13]

試合

編集

試合前

編集

アトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネ監督はUEFAヨーロッパリーグ 2017-18準決勝アーセナル戦の第1戦で審判を侮辱したとして4試合のベンチ入り禁止処分を科されているため[14]、本試合はスタンドから観戦[15]、代わりにアシスタントコーチのヘルマン・ブルゴスが指揮を執った[16]

アトレティコは4-4-2のフォーメーション。新加入選手ではロドリ、トマ・レマルが先発出場を果たした。一方のレアル・マドリードはルカ・モドリッチがベンチスタートでイスコが先発起用された。

試合

編集

前半

編集

アトレティコのボールで試合開始。すると開始早々、ディエゴ・ゴディンのロングフィードをジエゴ・コスタが頭に当てて抜け出すと、角度のないところから右足のシュートを放ち、これが決まってわずか49秒でアトレティコが先制に成功した。

その後は追いかけるレアルがボールを保持して攻める。17分にはマルセロのクロスにマルコ・アセンシオがバックヒールで合わせたが、シュートはGKオブラクが左手1本でセーブした。24分にはマルセロがカットインしてシュートを打つも、枠を捉えられなかった。しかし27分、ガレス・ベイルがスピードに乗って右サイドを駆け上がりクロスを上げると、カリム・ベンゼマが頭で合わせて同点に追いついた。29分にはアセンシオがカットインして右足でシュートを放つも枠の僅かに右に外れ、前半はこのまま1-1で終了した。

後半

編集

62分にレアルの右CKの場面でベンゼマとフアンフランが競り合った際、ボールがフアンフランの手に当たりレアルにPKが与えられる。これをセルヒオ・ラモスが決めてレアルが逆転した。一方のアトレティコも79分、高い位置でフアンフランがボールを奪いそのままエリア内へ侵入、途中出場のアンヘル・コレアへ繋ぎ、折り返しをコスタが押し込んで同点に追いついた。試合は延長戦に持ち込まれた。

延長戦

編集

94分、レアルはCKのこぼれ球をダニ・カルバハルがボレーシュートを放つが、GKオブラクの正面を突いてしまった。すると98分、アトレティコはコスタと途中出場のトーマス・パーテイが高い位置でボールを奪い、そのままエリア左に抜け出したパーテイの折り返しをサウールがダイレクトボレーで叩き込み、勝ち越した。さらに104分にはコスタからビトーロを経て、最後はコケが合わせて追加点を挙げた。そのまま試合終了し、アトレティコ・マドリードが4-2でレアル・マドリードを破り、7年ぶり3度目の優勝を果たした。

詳細

編集
 
 
 
 
 
 
 
 
 
レアル・マドリード[16]
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アトレティコ・マドリード[16]
GK 1   ナバス
RB 2   カルバハル
CB 4   ラモス     112分
CB 5   ヴァラン
LB 12   マルセロ   54分
DM 14   カゼミーロ   76分
CM 8   クロース   102分
CM 22   イスコ   83分
RF 11   ベイル
CF 9   ベンゼマ
LF 20   アセンシオ   35分   57分
サブメンバー
GK 13   カシージャ
GK 26   ルニン
DF 6   ナチョ
DF 29   レギロン
DF 31   ハビ・サンチェス
MF 10   モドリッチ   101分   57分
MF 18   ジョレンテ
MF 24   セバージョス   90+1分   76分
MF 27   バルベルデ
FW 17   ルーカス・バスケス   83分
FW 21   マジョラル   102分
FW 28   ヴィニシウス・ジュニオール
監督
  フレン・ロペテギ
 
GK 13   オブラク
RB 20   フアンフラン
CB 15   サヴィッチ
CB 2   ゴディン  
LB 21   リュカ
RM 11   レマル   90+1分
CM 14   ロドリ   71分
CM 8   サウール・ニゲス
LM 6   コケ
CF 19   ジエゴ・コスタ   62分   109分
CF 7   グリーズマン   57分
サブメンバー
GK 1   アダン
GK 37    ドス・サントス
DF 3   フィリペ・ルイス
DF 4   アリアス
DF 24   ヒメネス   109分
MF 5   パーテイ   90+1分
MF 18   ジェルソン・マルティンス
MF 23   ビトーロ   105+3分   71分
MF 30   オラベ
FW 9   ニコラ・カリニッチ
FW 10   コレア   60分   57分
アシスタントコーチ
  ヘルマン・ブルゴス

マン・オブ・ザ・マッチ
ジエゴ・コスタ(アトレティコ・マドリード)[1]
副審[2]
  パヴェウ・ソコルニツキ
  トマシュ・リストゥキエヴィチュ
第4審判[2]
  オヴィディウ・ハツェガン
追加副審[2]
  パヴェウ・ラチュコフスキ
  トマシュ・ムシアウ
予備審判[2]
  ラドスワフ・シエイカ

試合ルール[17]

  • 試合時間は90分。
  • 90分終了後同点の場合30分の延長戦が行われる。
  • 120分終了後同点の場合PK戦が行われる。
  • 控えの登録人数は12人。
  • 最大交代人数は3人、延長戦では4人目の交代可能。

統計

編集

試合後

編集

勝利したアトレティコ・マドリードはUEFAスーパーカップで勝率100%を維持し、初出場から出場した3大会すべてで優勝した最初のクラブとなった[19]。また、通算優勝回数でリヴァプールと並んで4位タイとなった[19]。UEFAヨーロッパリーグ(UEFAカップ)優勝チームは2000年以降の19大会で8回優勝しているが、2008 UEFAスーパーカップゼニト・サンクトペテルブルクが優勝して以降はアトレティコ・マドリードが3回優勝したのみである[20]

一方、レアル・マドリードが国際大会の決勝で敗れるのは2000年11月28日に行われたインターコンチネンタルカップボカ・ジュニアーズ戦(1-2で敗戦)以来となった[21]

脚注

編集
  1. ^ a b UEFA Super Cup - Real Madrid-Atlético”. UEFA. 2018年10月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g Szymon Marciniak to referee 2018 UEFA Super Cup”. UEFA (2018年8月2日). 2018年10月1日閲覧。
  3. ^ a b Real Madrid vs. Atlético Madrid - 15 August 2018”. Soccerway. Perform Group. 2018年10月4日閲覧。
  4. ^ UEFA Super Cup - Real Madrid-Atlético - Match info”. UEFA. 2018年10月1日閲覧。
  5. ^ マドリード・ダービーのUEFAスーパーカップ、8月15日にエストニアで開催”. サッカーキング (2018年5月28日). 2018年10月6日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g Tallinn to stage 2018 UEFA Super Cup”. UEFA (2017年8月8日). 2018年10月1日閲覧。
  7. ^ アトレティコがUEFAスーパー杯制覇! 延長戦の末にマドリード・ダービー制す”. サッカーキング (2018年8月16日). 2018年10月6日閲覧。
  8. ^ a b c d e All you need to know about the 2018 UEFA Super Cup”. UEFA (2018年8月13日). 2018年10月2日閲覧。
  9. ^ a b c UEFA Super Cup tickets have been allocated”. UEFA (2018年7月5日). 2018年10月3日閲覧。
  10. ^ a b UEFA Super Cup tickets successfully distributed to mobile phones via blockchain”. UEFA (2018年8月16日). 2018年10月9日閲覧。
  11. ^ Additional fine-tuning of club competition regulations for 2018/19 onwards”. UEFA (2018年3月27日). 2018年10月3日閲覧。
  12. ^ UEFAスーパー杯の審判団が決定…主審はポーランドのマルチニアク氏”. サッカーキング (2018年8月3日). 2018年10月6日閲覧。
  13. ^ a b Marciniak counts down the days to Tallinn assignment”. UEFA (2018年8月13日). 2018年10月5日閲覧。
  14. ^ Diego Simeone handed Europa League final touchline ban”. ESPN (2018年5月5日). 2018年10月6日閲覧。
  15. ^ スタンドから戦況を見守ったシメオネ監督「勝利のために全員で戦った」”. サッカーキング (2018年8月16日). 2018年10月6日閲覧。
  16. ^ a b c UEFA Super Cup - Real Madrid-Atlético - Line-ups”. UEFA. 2018年10月5日閲覧。
  17. ^ 2018 UEFA Super Cup regulations” (PDF). UEFA. 2018年10月6日閲覧。
  18. ^ a b c d Team Statistics Full Time” (PDF). UEFA. 2018年10月6日閲覧。
  19. ^ a b UEFA Super Cup roll of honour: Atlético make it three”. UEFA (2018年8月15日). 2018年10月3日閲覧。
  20. ^ UEFA Super Cup records and statistics”. UEFA (2018年8月15日). 2018年10月6日閲覧。
  21. ^ レアル、国際大会“決勝”での敗戦は2000年以来…UEFAスーパー杯優勝逃す”. サッカーキング (2018年8月16日). 2018年10月6日閲覧。

外部リンク

編集