2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン

2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン2,3-dimethyl-1,3-butadiene)は化学式(CH3)2C4H4で表される有機化合物であり、共役ジエンの一種である。ジメチルブタジエンとも呼ばれる。

2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン
識別情報
CAS登録番号 513-81-5
PubChem 10566
ChemSpider 10124
特性
化学式 C6H10
モル質量 82.14 g mol−1
密度 0.7222g / cm3[1]
融点

-76 °C, 197 K, -105 °F

沸点

69 °C, 342 K, 156 °F

溶解度 クロロホルムに混和、に不溶
蒸気圧 269 mm Hg (37.7 °C)
屈折率 (nD) 1.4380
危険性
GHSピクトグラム 可燃性
EU分類 強い可燃性 F 刺激性 Xi
主な危険性 可燃性、刺激性
引火点 −1 °C (30 °F; 272 K) ([2])
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

無色の液体であり、合成ゴムの歴史において重要な役割を果たしている。現在は主に有機合成試薬として用いられている。

合成法

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2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンは酸触媒を用いたピナコール脱水反応により生成する。[3]

3 C6H14O2 → C6H10 + 2 C6H12O + 4 H2O

現在では、二量化したプロピレン脱水素化により、工業的に製造される。[4]

応用

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1909年に、ドイツの化学工業メーカーであるバイエルフリッツ・ホフマンとそのグループは、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンの重合反応を行うことに成功した。この重合反応により得られたポリマーは、世界で初めて合成された合成ゴムである。[5] ただし、このポリマーは天然ゴムと比較して多くの欠陥があった。[6]また、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンはイソプレンに一つのメチル基が導入された構造をしているため、当時はメチルイソプレンと呼ばれていた。

反応

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1,3-ブタジエンと比較すると、より速い反応速度で求ジエン体とのディールス・アルダー反応が進行する。2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンを用いることの利点は、C2、C3位のメチル基によってシス型のコンフォメーションが安定化されることに因る。

 
2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンとN-エチルマレイミドのディールス・アルダー反応

脚注

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  1. ^ Haynes, W. M.; Lide, D. R. (2012). CRC Handbook of Chemistry and Physics 93rd Ed.. CRC Press/Taylor and Francis. ISBN 1439880492 
  2. ^ CSID:10124”. 19 October 2012閲覧。
  3. ^ C. F. H. Allen, Alan Bell, L. W. Newton, and E. R. Coburn (1942). "2,3-Dimethyl-1,3-butadiene". Organic Syntheses (英語). 22: 39.; Collective Volume, vol. 3, p. 312
  4. ^ Griesbaum, Karl; Behr, Arno; Biedenkapp, Dieter; Voges, Heinz-Werner; Garbe, Dorothea; Paetz, Christian; Collin, Gerd; Mayer, Dieter et al. (2000), “Hydrocarbons”, Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry (Weinheim: Wiley-VCH), doi:10.1002/14356007.a13_227 .
  5. ^ The Moving Powers of Rubber, Leverkusen, Germany: LANXESS AG: 20.
  6. ^ A Poor Substitute”. 18 October 2012閲覧。