古典力学において、二体問題(にたいもんだい、英: Two-body problem)とは、互いに重力相互作用を及ぼす2つの質点の動きを扱う問題である。身近な例としては、惑星の周りを回る衛星、恒星の周りを回る惑星、共通重心の周りを回る連星や、原子核の周りを回る古典的な電子などがある。
全ての二体問題は、独立した一体問題に帰着させて解くことができる。しかし、三体問題やそれ以上の多体問題は、特別な場合を除いて解くことはできない。
を時刻、 , を時刻 における2つの質点の位置ベクトル、 , を2つの質点の質量、 を万有引力定数、 , を最初の位置ベクトル、 , を最初の速度ベクトルとする。二体問題の最終的な目標は、連立方程式
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を解き、ベクトル関数 , を、それぞれ , , , , , , , を用いて表すことである。
運動の第2法則により、
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と書ける。ここで、
- は質量1が質量2から受ける力であり、
- は質量2が質量1から受ける力である。
これをもとに、2つの一体問題に帰着させることで、二体問題を解くことができる。式1と式2を足すと、重心の運動を表す方程式になる。式1から式2を引くと、ベクトル の経時変化となる。2つの解を組み合わせることで、軌跡 と が記述できる。
式1と式2を足すと、
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となる。ここで、2つめの等号は運動の第3法則 を用いた。これを変形して
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となり、これは重心の位置を表す。ここから得られる式
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は、重心の速度 と、
全運動量 が一定であることを意味する。
つまり、重心の位置と速度は、初期位置と初期速度から一意に決まる。
上の式を相対質量で割り、1式から2式を引くと、
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が得られる。ここで、 は、質量2から質量1への変位ベクトルである。
2つの物体に働く力は の関数となり、 と の絶対値には関係しない。
この式は次のように書ける。
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ここで は換算質量であり、
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である。
従って、 と の軌跡の方程式は、時刻 における2物体間の重心の位置ベクトル , 質量2から質量1への変位ベクトル を使って、
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と書くことができる。