1989年の韓国シリーズ
1989年の韓国シリーズ
概要
編集1989年の韓国シリーズは、公式戦1位のビングレ・イーグルスと公式戦2位でプレイオフ勝者のヘテ・タイガースの間で2-2-3の7戦4勝制で行われ、ヘテ・タイガースが4勝1敗で優勝した。ヘテ・タイガースはこれで韓国シリーズ4連覇。4連覇はその後2014年に三星ライオンズに並ばれたものの現在でも韓国プロ野球最多タイ記録で、この2チーム以外に至っては4連覇はおろか3連覇を達成したチームもない。
この年から韓国プロ野球は通年1リーグ制に移行して、ポストシーズンも公式戦1位は韓国シリーズに直行、公式戦3・4位が3戦2勝制で準プレイオフを行って、その勝者が公式戦2位とプレイオフで韓国シリーズ進出を争うステップラダートーナメント方式に変更された。
この年のポストシーズンでもっとも注目されたのは公式戦3位の太平洋(テピョンヤン)ドルフィンズだった。前年まで7年で最下位だけ5度を記録してすでに身売りも2度を経験した太平洋は、1988年のシーズンが終わって、OBベアーズを解雇された金星根(キム・ソングン)を監督として迎えた。金星根は赴任直後からチームに蔓延していた敗北根性払拭に力を注いだ。攻撃はそれまでと大差なく、依然として弱かったものの、投手力においては金星根の育成の下、無名の投手陣が踏ん張ってチーム防御率が3.04と1位を記録。失点を最小化することで勝利を重ねる投手力のチームに変貌して、公式戦3位で同チームにとって1983年以来のAクラス入りと悲願のポストシーズン進出を果たした。
準プレイオフでホームアドベンテージをもらった太平洋は投手陣をバックに粘りの野球を見せて、ホームで開かれた2度の延長戦を制して三星ライオンズを下し、プレイオフに進出した。しかし、プレイオフの相手のヘテは三星より格段に強かった。公式戦でもヘテに負け越していた太平洋としては、ヘテの強力投手陣を相手にするには打線があまりにも弱く、3試合でたった2得点。これでは、いくら投手陣が踏ん張っても打つ手がなく、あっさり3連敗でプレイオフで姿を消した。
韓国シリーズは、2年連続でビングレとヘテの同じ顔合わせの対決となった。この年のビングレはダイナマイト打線と呼ばれた打線と前年のオリンピック参加で入団を1年見送られた大物新人の宋津宇(ソン・ジヌ)が加えられた投手陣がうまく噛み合い、シーズン始めから飛ばして、2位に5ゲーム差をつけての首位で公式戦を終えた。シリーズの第1戦でも、1回裏先頭打者の李康敦(イ・ガンドン)がバックスクリーンに飛び込むホームランで相手先発の宣銅烈を叩き、初戦をものにした。それまでの韓国シリーズで初戦を取ったチームが全部優勝したことでビングレ側の期待は高まった。
第2戦でも先制を許したがすかさず4点を取って逆転、そのまま第2戦も勝つかと思われた。しかし、3回表の守備でショートの張鍾熏(チャン・ジョンフン)が自分の前に来たゴロをトンネルし、再逆転を許した。ここから流れが変われ、第2戦を落とすと、第3戦以降は完全にヘテのペースに持ち込まれ、ビングレは反撃らしい反撃もできず1勝の後4連敗で敗退した。
このシリーズでヘテは韓国シリーズ4連覇の偉業を達成し、現在まで韓国プロ野球最長記録として残っている。また、公式戦で5ゲーム差を話していたビングレを第2戦以降終始圧倒して、それまで初戦をとったチームが韓国シリーズで優勝するというジンクスさえも破った。これでヘテは全盛期を謳歌し、対敵できる相手がないと言われるほどだった。
ステージ | 勝利チーム | 成績 | 星取表 | 敗戦チーム |
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準プレーオフ | 太平洋ドルフィンズ(公式戦3位) | 2勝1敗 | ○●○ | 三星ライオンズ(公式戦4位) |
プレーオフ | ヘテ・タイガース(公式戦2位) | 3勝 | ○○○ | 太平洋ドルフィンズ(公式戦3位) |
韓国シリーズ | ヘテ・タイガース(公式戦2位) | 4勝1敗 | ●○○○○ | ビングレ・イーグルス(公式戦1位) |
準プレイオフ
編集第1戦 10月8日・仁川公設運動場野球場
編集1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | R | H | E | |
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三星ライオンズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 8 | 0 |
太平洋ドルフィンズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3x | 3 | 7 | 0 |
第2戦 10月9日・大邱市民運動場野球場
編集第3戦 10月11日・仁川公設運動場野球場
編集- 太平洋ドルフィンズが2勝1敗でプレイオフ進出
プレイオフ
編集第1戦 10月14日・光州無等総合競技場野球場
編集第2戦 10月15日・光州無等総合競技場野球場
編集第3戦 10月17日・仁川公設運動場野球場
編集- ヘテ・タイガースが3勝で韓国シリーズ進出
韓国シリーズ
編集第1戦 10月26日・大田ハンバッ運動場野球場
編集第2戦 10月27日・大田ハンバッ運動場野球場
編集第3戦 10月29日・光州無等総合競技場野球場
編集第4戦 10月30日・光州無等総合競技場野球場
編集- ヘテ・タイガースが4勝1敗で韓国シリーズ優勝
- MVP: 朴哲祐(パク・チョル、外野手、ヘテ)18打数8安打、打率0.444