1989年のオリックス・ブレーブス

1989年のオリックス・ブレーブスでは、1989年のオリックス・ブレーブスにおける動向をまとめる。

1989年のオリックス・ブレーブス
成績
パシフィック・リーグ2位
72勝55敗3分 勝率.567[1]
本拠地
都市 兵庫県西宮市
球場 阪急西宮球場
球団組織
オーナー 宮内義彦
経営母体 オリックス
球団社長 近藤靖夫
監督 上田利治
キャッチフレーズ
Be パワフル!! 素敵なチャレンジ'89
« 1988
1990 »

テンプレートを表示

この年のオリックス・ブレーブスは、第2次上田利治監督体制の9年目(通算14年目)のシーズンである。キャッチフレーズは「Be パワフル!! 素敵なチャレンジ'89」。

概要

編集

阪急電鉄の球界撤退を受けてオリックスが親会社となったこの年、チームは1972年から使用のユニフォームを17年ぶりに一新。ホーム用・ビジター用ともに阪急末期の赤と黒に代わって青と黄色をメインとしたさわやかなユニフォームとなり、ホーム用の「Braves」ロゴは赤と黒から青と黄色に変わり、ビジター用は「Hankyu」に代えて「ORIX」ロゴが採用され、上着の色もスカイブルーから青に変更するなどイメージチェンジが図られた)。戦力では前年本塁打と打点の二冠王に輝いた門田博光南海から加入した打線はブルーサンダー打線と呼ばれ、ブーマー・ウェルズが開幕から5試合連続で本塁打を放つなど序盤から威力を発揮、チームは開幕8連勝とスタートダッシュに成功し、6月終了時点で2位近鉄に8.5ゲーム差を付け独走状態となった。しかし7月に入ると、ベテラン中心の投手陣に疲れが見え始め徐々に失速し、8月12日にはついに首位から陥落する。9月に持ち直し、10月5日には首位に返り咲くが、残りの試合で最下位ロッテ相手に3勝3敗と勝ち星を伸ばせず、最終的にわずか1厘差で優勝を逃した。それでも2年ぶりに優勝戦線に参戦し、翌年に期待を持たせる1年となった。

順位 10/1終 10/3終 10/4終 10/5終 10/6終 10/7終 10/8終 10/9終 10/10終 10/12終 10/13終 10/14終
1位 西武 -- 西武 -- 西武 -- オリ M8 西武 -- オリ -- 西武 -- 西武 -- 西武 -- 近鉄 M2 近鉄 M1 近鉄 優勝
2位 オリ 0.5 オリ 1.0 オリ 0.5 西武 0.5 オリ 0.5 西武 0.5 オリ 0.0 オリ 1.0 近鉄 1.0 オリ 0.0 オリ 0.5 オリ 1.0
3位 近鉄 2.5 近鉄 2.0 近鉄 2.5 近鉄 3.0 近鉄 2.5 近鉄 2.0 近鉄 1.0 近鉄 2.0 オリ 1.0 西武 1.0 西武 1.0 西武 1.5
試合結果 オ10-8西
ロ8-5近
近3-0オ 西14-4ロ
ロ7-4西
オ11-8近
ダ13-12西
オ5-4近
近5-2オ
西2-1日
ダ2-1西
オ11-9ロ
近4-3日
ロ3-2オ
近4-0日
西11-2オ
ロ7-6近
近3-2西
ロ17-4オ
近6-5西
近14-4西
オ10-2ロ
オ14-2ロ
ロ5-3オ 近5-2ダ


近鉄 12
オリ 12
西武 10
近鉄 11
オリ 11
西武 10
近鉄 10
オリ 10
西武 8
近鉄 9
オリ 9
西武 7
近鉄 8
オリ 8
西武 6
近鉄 7
オリ 7
西武 5
近鉄 6
オリ 6
西武 5
近鉄 5
オリ 5
西武 4
近鉄 4
オリ 4
西武 3
近鉄 2
オリ 2
西武 1
近鉄 2
オリ 1
西武 1
近鉄 1
オリ 1
西武 1

チーム成績

編集

レギュラーシーズン

編集
オーダー変遷
開幕:4/9 5/2 6/1 7/1 8/1 9/4
1 松永浩美 松永浩美 松永浩美 松永浩美 本西厚博 松永浩美
2 福良淳一 福良淳一 福良淳一 福良淳一 福良淳一 福良淳一
3 ブーマー ブーマー ブーマー ブーマー ブーマー 門田博光
4 門田博光 藤井康雄 門田博光 門田博光 門田博光 ブーマー
5 石嶺和彦 石嶺和彦 石嶺和彦 石嶺和彦 石嶺和彦 藤井康雄
6 本西厚博 熊野輝光 藤井康雄 藤井康雄 藤井康雄 石嶺和彦
7 南牟礼豊蔵 南牟礼豊蔵 本西厚博 ブラウン 中嶋聡 ブラウン
8 中嶋聡 中嶋聡 中嶋聡 中嶋聡 南牟礼豊蔵 中嶋聡
9 小川博文 小川博文 小川博文 小川博文 小川博文 小川博文
佐藤義則 星野伸之 星野伸之 伊藤隆偉 佐藤義則 星野伸之

[2]

1989年パシフィック・リーグ順位変動
順位 4月終了時 5月終了時 6月終了時 7月終了時 8月終了時 9月終了時 最終成績
1位 オリックス -- オリックス -- オリックス -- オリックス -- 近鉄 -- 西武 -- 近鉄 --
2位 近鉄 3.0 近鉄 4.5 近鉄 8.5 近鉄 4.0 オリックス 2.0 オリックス 1.5 オリックス 0.0
3位 ダイエー 5.5 日本ハム 5.5 日本ハム 9.5 西武 8.0 西武 2.5 近鉄 2.5 西武 0.5
4位 日本ハム ダイエー 7.5 西武 10.0 日本ハム 10.0 日本ハム 11.5 ダイエー 13.5 ダイエー 11.0
5位 西武 6.5 西武 8.5 ロッテ 11.5 ロッテ 13.5 ダイエー 12.5 日本ハム 17.5 日本ハム 18.0
6位 ロッテ 6.5 ロッテ 10.0 ダイエー 14.5 ダイエー 15.5 ロッテ 16.5 ロッテ 22.0 ロッテ 21.5
期間
成績
13勝4敗
勝率.765
11勝8敗1分
勝率.579
13勝7敗
勝率.650
9勝10敗1分
勝率.474
8勝14敗1分
勝率.364
11勝6敗
勝率.647
7勝6敗
勝率.538

[3][4][5][6][7][8]

1989年パシフィック・リーグ最終成績
順位 球団 勝率
1位 近鉄バファローズ 71 54 5 .568 優勝
2位 オリックス・ブレーブス 72 55 3 .567 0.0
3位 西武ライオンズ 69 53 8 .566 0.5
4位 福岡ダイエーホークス 59 64 7 .480 11.0
5位 日本ハムファイターズ 54 73 3 .425 18.0
6位 ロッテオリオンズ 48 74 8 .393 21.5

[1]

個人成績

編集

投手成績

編集
  • 色付きは規定投球回数(130イニング)以上の選手
  • 太字はリーグ最高
選手








































W
H
I
P
 
/星野伸之 28 27 11 4 2 15 6 0 808 194.0 173 24 78 2 160 11 0 78 75 3.48 1.294
/佐藤義則 28 25 7 1 0 9 13 0 749 165.2 195 21 71 2 105 1 0 106 92 5.00 1.606
/酒井勉 36 16 5 0 2 9 7 9 650 154.2 141 25 49 3 118 1 0 67 62 3.61 1.228
/山沖之彦 23 22 4 0 0 11 6 0 543 124.1 137 17 40 1 70 6 0 81 73 5.28 1.424
/ホフマン 19 17 3 1 0 9 6 0 511 120.0 109 7 45 1 70 7 0 54 46 3.45 1.283
/伊藤隆偉 34 5 0 0 0 3 4 2 372 82.2 84 10 36 6 53 4 1 48 41 4.46 1.452
/今井雄太郎 28 11 1 0 0 5 5 2 352 80.2 96 13 14 7 34 1 0 46 38 4.24 1.364
/山内嘉弘 39 0 0 0 0 4 1 12 240 58.1 47 5 28 0 35 5 0 22 21 3.24 1.286
/伊藤敦規 24 4 1 0 0 5 1 0 234 55.0 57 6 20 3 30 0 0 22 21 3.44 1.400
/関口朋幸 35 0 0 0 0 0 1 0 162 37.2 32 4 22 1 15 2 0 20 17 4.06 1.434
/森浩二 40 0 0 0 0 1 2 0 115 27.2 25 3 9 1 11 0 0 15 14 4.55 1.229
/清原雄一 27 1 0 0 0 1 1 1 126 25.1 36 2 14 0 15 1 0 22 21 7.46 1.974
/森厚三 8 0 0 0 0 0 0 0 49 12.1 12 0 2 2 4 0 0 7 7 5.11 1.135
/古溝克之 8 2 0 0 0 0 2 0 56 11.0 14 4 8 1 4 1 0 10 9 7.36 2.000
/高木晃次 6 0 0 0 0 0 0 0 50 9.1 15 5 8 0 4 2 0 13 13 12.54 2.464
/二宮正己 2 0 0 0 0 0 0 0 16 2.2 6 1 3 0 0 0 0 4 4 13.50 3.375
/谷良治 1 0 0 0 0 0 0 0 5 1.0 2 0 0 0 1 0 0 1 1 9.00 2.000

打撃成績

編集
  • 色付きは規定打席(403打席)以上の選手
  • 太字はリーグ最高
選手











































O
P
S
 
/ブーマー 130 578 512 101 165 19 0 40 304 124 2 1 0 8 53 15 5 37 34 .322 .386 .594 .980
/松永浩美 124 573 470 106 145 30 3 17 232 60 14 6 2 0 96 12 5 78 8 .309 .431 .494 .924
/石嶺和彦 130 534 487 55 135 29 1 20 226 77 1 1 0 3 42 5 2 69 13 .277 .335 .464 .799
/藤井康雄 121 498 432 66 126 27 3 30 249 90 3 5 2 6 54 4 4 72 10 .292 .371 .576 .947
/福良淳一 115 498 394 61 102 16 0 8 142 47 8 7 29 4 62 0 9 39 9 .259 .369 .360 .729
/門田博光 116 489 406 70 124 17 1 33 242 93 0 2 0 3 78 3 2 103 12 .305 .417 .596 1.013
/小川博文 115 391 344 36 85 11 4 5 119 32 7 6 24 2 20 0 1 44 7 .247 .289 .346 .635
/中嶋聡 121 373 320 31 75 9 2 5 103 26 2 2 15 1 35 0 2 67 6 .234 .313 .322 .635
/本西厚博 120 327 281 49 85 15 4 5 123 33 8 4 13 2 28 1 3 48 4 .302 .369 .438 .807
/南牟礼豊蔵 106 192 156 18 44 8 0 2 58 17 9 3 14 1 21 3 0 23 6 .282 .365 .372 .737
/熊野輝光 71 147 123 15 29 1 0 2 36 9 4 0 4 0 20 1 0 21 2 .236 .343 .293 .635
/藤田浩雅 58 96 90 7 18 4 1 0 24 6 0 0 3 0 3 0 0 10 5 .200 .226 .267 .492
/ブラウン 31 95 89 13 22 3 3 3 40 14 3 2 0 0 5 0 1 24 0 .247 .295 .449 .744
/福原峰夫 73 84 70 9 14 4 0 0 18 3 1 0 3 0 11 0 0 24 2 .200 .309 .257 .566
/山森眞幸 50 49 45 8 13 2 0 0 15 3 0 1 1 0 3 1 0 8 3 .289 .333 .333 .667
/山越吉洋 47 47 43 8 12 2 1 0 16 6 1 1 2 0 1 0 1 7 1 .279 .311 .372 .683
/弓岡敬二郎 69 36 27 9 3 2 0 0 5 2 2 1 5 1 2 0 1 1 1 .111 .194 .185 .379
/渡辺伸治 30 32 30 0 8 0 0 0 8 4 0 0 0 0 2 0 0 6 1 .267 .313 .267 .579
/村上信一 14 14 12 1 1 1 0 0 2 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 .083 .154 .167 .321
/高橋智 17 13 12 1 3 0 0 0 3 0 1 0 0 0 1 0 0 1 2 .250 .308 .250 .558
/高嶋徹 3 4 4 1 1 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 .250 .250 .250 .500
/飯塚富司 3 3 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 .000 .000 .000 .000
/柴原実 3 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 .000 .000 .000 .000
/山中賢次 2 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 .000 .000 .000 .000
/葉室太郎 1 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 .000 .000 .000 .000
/酒井勉 39 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 .000 .000 .000 .000

1989 サンヨー オールスターゲーム

編集
選出選手及びスタッフ
ポジション 名前 選出回数
投手 佐藤義則 5
星野伸之 3
捕手 中嶋聡
三塁手 松永浩美 6
内野手 ブーマー 5
外野手 門田博光 12
藤井康雄
  • 太字はファン投票で選ばれた選手。

できごと

編集
  • 7月5日 - ブーマーが対西武戦で渡辺久信から通算1000本安打。781試合目での達成は当時の日本プロ野球史上最速[9]
  • 7月22日 - 森浩二が対ダイエー戦(平和台)で2点リードの8回裏1死一、二塁の場面で登板し、山本和範に初球を打たれて降板。その後山本がこの試合の決勝点の走者となったことから、日本プロ野球史上11度目、自身2度目の1球敗戦投手。一人で複数回記録したのは日本プロ野球史上初[9]
  • 9月25日 - オリックス対ダイエー戦(西宮)において、ダイエーの山内和宏から31号本塁打を打った門田博光がブーマーとのハイタッチで右肩を脱臼するアクシデント[10]
  • 10月5日 - 西武はダイエー相手に3回までに8-0とリードしながら、9回に一挙8点を失い12-13で逆転負け(西武)。近鉄を5-4で下したオリックスが西武に代わり首位に立ち、マジック8が点灯(1日で消滅)。
  • 10月12日 - 西武の優勝がかかった[11]西武対近鉄ダブルヘッダー(西武球場)で近鉄のラルフ・ブライアントが第1試合、4点差から同点となる自身初の満塁本塁打を含む3打席連続本塁打[12]で全打点をたたき出す活躍で6対5で勝利し、第2試合でも敬遠四球一つを間に挟んで、前試合から続けて日本プロ野球タイ記録の4打数連続本塁打の49号を放ち[13][14]14対4で西武に連勝し、近鉄にオリックスを対象チームとする優勝へのマジックナンバー2が点灯[15]
  • 10月14日 - 優勝へのマジックを1とした近鉄が対ダイエー戦(藤井寺球場)に5対2で勝利し、9年ぶり3度目のパ・リーグ優勝達成。オリックスと近鉄の差は最終的に0ゲーム差になるも、オリックスは勝率の差で優勝を逃す。

選手・スタッフ

編集

[16]

  • 背番号変更
    • 野中崇博 18→0
    • 藤井康雄 38→10
    • 谷良治 10→20
    • 中嶋聡 53→27
    • 山本誠 27→46
  • 登録名変更
    • 野中徹博→野中崇博

表彰選手

編集
リーグ・リーダー
選手名 タイトル 成績 回数
酒井勉 新人王
ブーマー 首位打者 .322 5年ぶり2度目
打点王 124打点 2年ぶり3度目
最多安打 165本 3年ぶり4度目
松永浩美 最高出塁率 .431 初受賞
星野伸之 最高勝率 .714 初受賞
ベストナイン
選手名 ポジション 回数
ブーマー 一塁手 2年ぶり4度目
松永浩美 三塁手 2年連続2度目
藤井康雄 外野手 初受賞
門田博光 指名打者 2年連続4度目[注 1]
ゴールデングラブ賞
選手名 ポジション 回数
中嶋聡 捕手 初受賞
松永浩美 三塁手 5年ぶり2度目
本西厚博 外野手 初受賞

ドラフト

編集
順位 選手名 ポジション 所属 結果
1位 佐藤和弘 外野手 熊谷組 入団
2位 吉田直喜 投手 青山学院大学 入団
3位 高橋功一 投手 能代高 入団
4位 藤本俊彦 捕手 徳島商業高 入団
5位 松山秀明 内野手 青山学院大学 入団
6位 佐々木明義 内野手 三沢商業高 入団

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 外野手部門で3度受賞しており、通算7度目。

出典

編集
  1. ^ a b 年度別成績 1989年 パシフィック・リーグ”. 日本野球機構. 2015年6月4日閲覧。
  2. ^ 『日本プロ野球記録年鑑 ベースボール・レコード・ブック1990』ベースボール・マガジン社、1989年。ISBN 4-583-02810-5 
  3. ^ 『読売新聞』1989年5月1日付朝刊、14版、19面
  4. ^ 『読売新聞』1989年6月1日付朝刊、14版、19面
  5. ^ 『読売新聞』1989年7月1日付朝刊、14版、19面
  6. ^ 『読売新聞』1989年7月31日付朝刊、14版、19面
  7. ^ 『読売新聞』1989年9月1日付朝刊、14版、19面
  8. ^ 『読売新聞』1989年10月1日付朝刊、14版、19面
  9. ^ a b 講談社刊 宇佐美徹也著「日本プロ野球記録大鑑」846ページ
  10. ^ 【9月25日】1989年(平1) 門田“痛すぎる”31号 ハイタッチで右肩脱臼 スポーツニッポン 2008年9月25日
  11. ^ 西武が連勝し、オリックスがこの日の対ロッテ戦ダブルヘッダーに連敗で西武の優勝
  12. ^ 1試合3本塁打は通算6度目で、日本プロ野球新記録
  13. ^ シーズン49本は球団新記録
  14. ^ 講談社刊 宇佐美徹也著「日本プロ野球記録大鑑」409ページ
  15. ^ 【10月12日】1989年(平1) “続10・19”!ブライアント、獅子の息の根止める4連発!スポーツニッポン2008年10月8日
  16. ^ LEGEND OF Bs 2012 ~劇的、激動の80's~オリックス・バファローズ公式HP