1984年 (曲)
「1984年」 (1984) は、イギリスのミュージシャンであるデヴィッド・ボウイが1974年に発表した楽曲。アルバム『ダイアモンドの犬』に収録され、アメリカ・ニュージーランド・日本ではシングルカットされた[1]。ボウイはジョージ・オーウェルの小説『1984年』のミュージカル化を企画しており、この曲もミュージカルのために制作されたが、オーウェルの未亡人の許可が下りなかったためミュージカルの計画は頓挫した。
「1984年」 | ||||
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デヴィッド・ボウイ の シングル | ||||
初出アルバム『ダイアモンドの犬』 | ||||
B面 |
クイーン・ビッチ 薄笑いソウルの淑女 | |||
リリース | ||||
録音 | 1974年1月 | |||
ジャンル | ファンク・ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | RCA | |||
作詞・作曲 | デヴィッド・ボウイ | |||
プロデュース | デヴィッド・ボウイ | |||
デヴィッド・ボウイ シングル 年表 | ||||
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音楽と歌詞
編集歌詞の内容は、小説『1984年』にて主人公のウィンストン・スミスが投獄され、オブライエンからの尋問を受ける場面を表したものとされる[2]。
冒頭のギターフレーズはアイザック・ヘイズが1971年に発表した「黒いジャガーのテーマ」と類似しており、アラン・パーカーが演奏している。この曲はアルバム『ダイアモンドの犬』の中でボウイがリードギターを担当していない数少ない曲である[1][2][3]。この曲に顕著に見られるファンクやソウルからの影響は、自作『ヤング・アメリカンズ』にかけてのボウイの音楽性の変化を予見するものとして挙げられる[1]。
制作とリリース
編集「1984年」は1972年から1973年にかけての『アラジン・セイン』のレコーディングにおいて初めて録音された[4]。1973年10月にロンドンで収録、11月にアメリカで放送されたテレビ番組「The 1980 Floor Show」において「ドゥー・ドゥー」とのメドレー形式で初披露された[5]。このメドレーはスタジオ録音も存在し、1989年に発表された『サウンド+ヴィジョン』に収録された。「ドゥー・ドゥー」は単体でも録音されたが『ダイアモンドの犬』には収録されず、1990年に同アルバムの再発盤のボーナス・トラックとして初めて世に出た。
作家にしてボウイ研究家のニコラス・ペッグは「1984年」の最終バージョンを「明らかにシングル向きな曲」と評した[1]。しかしこの曲がシングルカットされたのはアメリカ・ニュージーランド・日本のみであった。
1974年に北米で行われたダイアモンド・ドッグス・ツアーではオープニングを飾った。
評価
編集チャート
編集チャート (1974年) | 最高順位 |
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ニュージーランド (Listener)[8] | 17 |
アメリカ Cash Box Top 100 Singles[9] | 96 |
パーソネル
編集伝記作家のクリス・オリアリーによる:[10]
- デヴィッド・ボウイ – リードボーカル
- ウォーレン・ピース - バッキングボーカル
- アラン・パーカー - リードギター
- マイク・ガーソン - エレクトリックピアノ、ピアノ
- ハービー・フラワーズ - ベースギター
- エインズレー・ダンバーまたはトニー・ニューマン - ドラムス
- トニー・ヴィスコンティ - ストリングスアレンジ
その他収録作品
編集- デヴィッド・ボウイ・ライブ (1974年、ライヴ録音)
- 魅せられし変容〜ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ (1976年)
- 美しき魂の告白〜ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ2(1981年)
- フェイム・アンド・ファッション〜オール・タイム・グレイテスト・ヒッツ (1984年)
- ザ・ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ 1974/1979(1998年)
- クラックド・アクター~ライヴ・ロサンゼルス'74 (2017年、ライヴ録音)
- アイム・オンリー・ダンシング~ザ・ソウル・ツアー74 (2020年、ライヴ録音)
脚注
編集- ^ a b c d Pegg 2016, p. 199.
- ^ a b Carr & Murray 1981, p. 64.
- ^ Buckley 1999, p. 214.
- ^ Cann 2010, p. 283.
- ^ Carr & Murray 1981, p. 64.
- ^ “Top Single Picks” (英語). Billboard: p. 74. (1974年8月1日) 2020年7月22日閲覧。
- ^ “CashBox Record Reviews” (英語). Cash Box: p. 20. (1974年8月10日) 2021年12月11日閲覧。
- ^ “David Bowie (search)”. Flavour of New Zealand. 2025-01-12language=en閲覧。
- ^ “David Bowie (search)”. Cash Box. 2025-01-12language=en閲覧。
- ^ O'Leary 2015, chap. 8.
参考文献
編集- Buckley, David (1999). Strange Fascination – David Bowie: The Definitive Story. London: Virgin Books. ISBN 978-1-85227-784-0
- Cann, Kevin (2010). Any Day Now – David Bowie: The London Years: 1947–1974. Croydon, Surrey: Adelita. ISBN 978-0-95520-177-6
- Carr, Roy; Murray, Charles Shaar (1981). Bowie: An Illustrated Record. London: Eel Pie Publishing. ISBN 978-0-38077-966-6
- O'Leary, Chris (2015). Rebel Rebel: All the Songs of David Bowie from '64 to '76. Winchester: Zero Books. ISBN 978-1-78099-244-0
- Pegg, Nicholas (2016). The Complete David Bowie (Revised and Updated ed.). London: Titan Books. ISBN 978-1-78565-365-0