1804年アメリカ合衆国大統領選挙
1804年アメリカ合衆国大統領選挙(1804ねんアメリカがっしゅうこくだいとうりょうせんきょ、英語: United States presidential election, 1804)は、1804年11月2日および12月5日に行われたアメリカ合衆国の大統領および副大統領の選挙(第5回)である。
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州別獲得選挙人分布図 ジェファーソン ピンクニー | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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概要
編集アメリカ合衆国の大統領選挙としては5回目のものであり、現職のトーマス・ジェファーソン(民主共和党)が連邦党から出馬したチャールズ・コーツワース・ピンクニーと競った。ジェファーソンが容易にピンクニーを破った。
この選挙はアメリカ合衆国憲法修正第12条が批准されてから初めてのものであり、選挙人はその票が大統領を指名するものか副大統領を指名するものか区別することを求められた。以前の方法では選挙人の票は大統領に対してのみのものであり、2番目に多く票を獲得した者が副大統領になった。ジョージ・クリントンが副大統領に選出され、ジェファーソンとその後継者ジェームズ・マディソンのもとで副大統領を務めることになった。
1800年アメリカ合衆国大統領選挙は接戦であったが、ジェファーソンはその任期中に着実に大衆の支持を得た。アメリカの貿易はヨーロッパにおけるフランス革命戦争が一時的に中断されたために活況を呈していた。そしてルイジアナ買収は偉大な業績と歓迎された。
選挙データ
編集投票日
編集- 選挙人選出 :1804年11月2日
- 正副大統領選出:1804年12月5日
- 2月6日に大統領選挙人による投票を開票した。
選挙制度
編集投票方法
編集- 大統領選出 :秘密投票、単記投票、1票制
- 副大統領選出:秘密投票、単記投票、1票制
- 選挙人選出 :各州選挙法の規定に基づき実施
選挙権
編集- 正副大統領選出:選挙人
- 選挙人選出 :各州法の規定に基づく
被選挙権
編集- 正副大統領選出:満35歳以上の出生または憲法成立時の合衆国市民、および合衆国の在住期間が14年経過した者[注 1]
- 選挙人選出 :各州法の規定に基づく
州別選挙人定数・選出方法
編集- 1803年にオハイオ州が州に昇格。17州中、11州が一般投票で選挙人を選出。
州 | 選挙人 | 選出方法 | |||
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小計 | 増減 | 州議会 | 一般投票 | ||
コネチカット州 | 9 | 9 | 0 | 州議会による選出 | |
デラウェア州 | 3 | 3 | 0 | 州議会による選出 | |
ジョージア州 | 6 | 2 | 6 | 0 | 州議会による選出 |
ケンタッキー州 | 8 | 4 | 0 | 8 | 一般投票による選出(中選挙区制[注 2]・単記投票) |
メリーランド州 | 11 | 1 | 0 | 11 | 一般投票による選出(小選挙区制) |
マサチューセッツ州 | 19 | 3 | 19 | 0 | 一般投票による選出(大選挙区制・完全連記制) |
ニューハンプシャー州 | 7 | 1 | 0 | 7 | 一般投票による選出(大選挙区制・完全連記制) |
ニュージャージー州 | 8 | 1 | 0 | 8 | 一般投票による選出(大選挙区制・完全連記制) |
ニューヨーク州 | 19 | 7 | 19 | 0 | 州議会による選出 |
ノースカロライナ州 | 14 | 2 | 0 | 14 | 一般投票による選出(小選挙区制) |
オハイオ州 | 3 | 3 | 0 | 3 | 一般投票による選出(大選挙区制・完全連記制) |
ペンシルベニア州 | 20 | 5 | 0 | 20 | 一般投票による選出(大選挙区制・完全連記制) |
ロードアイランド州 | 4 | 0 | 4 | 一般投票による選出(大選挙区制・完全連記制) | |
サウスカロライナ州 | 10 | 2 | 10 | 0 | 州議会による選出 |
テネシー州 | 5 | 2 | 0 | 5 | 一般投票による選出(小選挙区制) |
バーモント州 | 6 | 2 | 6 | 0 | 州議会による選出 |
バージニア州 | 24 | 3 | 0 | 24 | 一般投票による選出(大選挙区制・完全連記制) |
選挙人計 | 176 | 38 | 72 | 104 |
同日執行の選挙
編集国政選挙
編集- 1804–1805年アメリカ合衆国上院議員選挙
- 1804–1805年アメリカ合衆国下院議員選挙
選挙活動
編集ジェファーソンが再度大統領候補に指名され、副大統領候補は現職のアーロン・バーに変わってニューヨーク州出身のジョージ・クリントンが指名された。連邦党はピンクニーと元上院議員でニューヨーク州出身のルーファス・キングを対抗馬に選んだ。ジェファーソンの政策に対する攻撃は効果が無く、ジェファーソンは連邦党が地盤にしているニューイングランドの大半の州でも勝利して、圧倒的な勝利を掴んだ。
候補者
編集民主共和党
編集- 指名候補
民主共和党指名候補 | |
トーマス・ジェファーソン | ジョージ・クリントン |
---|---|
大統領候補 | 副大統領候補 |
大統領 | 前ニューヨーク州知事 |
バージニア州 | ニューヨーク州 |
- 予備選挙における主要候補
民主共和党予備選挙候補 | ||
ジョン・ブレッキンリッジ | ギデオン・グレンジャー | ジョン・ラングドン |
---|---|---|
上院議員 | 郵政長官 | 前上院議員 |
ケンタッキー州 | コネチカット州 | ニューハンプシャー州 |
リーヴァイ・リンカーン・シニア | ウィリアム・マクレイ | |
司法長官 | 前上院議員 | |
マサチューセッツ州 | ペンシルバニア州 |
予備選挙結果
編集大統領候補 | 得票数 | 得票率 | 副大統領候補 | 得票数 | 得票率 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
トーマス・ジェファーソン | 108 | 100.0% | ジョージ・クリントン | 67 | 62.04% | ||
ジョン・ブレッキンリッジ | 20 | 18.52% | |||||
リーヴァイ・リンカーン・シニア | 9 | 8.33% | |||||
ジョン・ラングドン | 7 | 6.48% | |||||
ギデオン・グレンジャー | 4 | 3.70% | |||||
ウィリアム・マクレイ | 1 | 0.93% | |||||
総計 | 108 | 100.0% | 108 | 100.0% |
連邦党
編集- 正副大統領候補
連邦党指名候補 | |
チャールズ・コーツワース・ピンクニー | ルーファス・キング |
---|---|
大統領候補 | 副大統領候補 |
元駐フランス大使 | 上院議員 |
サウスカロライナ州 | ニューヨーク州 |
選挙結果
編集候補者別得票結果
編集大統領候補 | 選挙人投票 | 副大統領候補 | 選挙人投票 | 一般投票 | ||||||||
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候補者 | 所属政党 | 出身州 | 得票数 | 得票率 | 候補者 | 出身州 | 得票数 | 得票率 | 得票数 | 得票率 | ||
トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | バージニア州 | 162 | 92.05% | ジョージ・クリントン | ニューヨーク州 | 162 | 92.05% | 104,110 | 72.79% | ||
チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | サウスカロライナ州 | 14 | 7.95% | ルーファス・キング | ニューヨーク州 | 14 | 7.95 | 38,919 | 27.21% | ||
総計 | 176 | 100.0% | 176 | 100.0% | 143,029 | 100.0% | ||||||
登録有権者数(投票率) | 176 | 100.0% | 176 | 100.0% | 23.8% | |||||||
出典:Electoral College Box Scores 1789-1996 |
州別一般投票結果
編集得票数は各選挙区の各党選挙人候補者の最多得票数を記載。ノースカロライナ州とテネシー州の投票集計は不明である[注 3]
ジェファーソン/クリントンが勝利した州 |
ピンクニー/キングが勝利した州 |
州 | ジェファーソン/クリントン | ピンクニー/キング | 総計 | |||||||||
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選挙人 | 得票数 | 得票率 | 選挙人 | 得票数 | 得票率 | 選挙人 | 投票総数 | |||||
コネチカット州 | 0 | - | - | 9 | - | - | 9 | - | ||||
デラウェア州[2] | 0 | - | - | 3 | - | - | 3 | - | ||||
ジョージア州[3] | 6 | - | - | 0 | - | - | 6 | - | ||||
ケンタッキー州[4] | 8 | 5,080 | 100.0% | 0 | 0 | 0.00% | 8 | 5,080 | ||||
メリーランド州[5] | 9 | 7,304 | 76.09% | 2 | 2,295 | 23.91% | 11 | 9,599 | ||||
マサチューセッツ州[6] | 19 | 29,599 | 53.58% | 0 | 25,644 | 46.42% | 19 | 55,243 | ||||
ニューハンプシャー州[7] | 7 | 9,088 | 52.01% | 0 | 8,386 | 47.99% | 7 | 17,474 | ||||
ニュージャージー州[8] | 8 | 13,119 | 99.86% | 0 | 19 | 0.14% | 8 | 13,138 | ||||
ニューヨーク州[9] | 19 | - | - | 0 | - | - | 19 | - | ||||
ノースカロライナ州[10] | 14 | 1,024 | 0 | 1,154 | 14 | 2,178 | ||||||
オハイオ州[11] | 3 | 2,593 | 87.69% | 0 | 364 | 12.31% | 3 | 2,957 | ||||
ペンシルベニア州[12] | 20 | 22,081 | 94.69% | 0 | 1,239 | 5.31% | 20 | 23,320 | ||||
ロードアイランド州[13] | 4 | 1,312 | 100.0% | 0 | 0 | 0.00% | 4 | 1,312 | ||||
サウスカロライナ州[14] | 10 | - | - | 0 | - | - | 10 | - | ||||
テネシー州[15] | 5 | 778 | 0 | 5 | 778 | |||||||
バーモント州 | 6 | - | - | 0 | - | - | 6 | - | ||||
バージニア州[16] | 24 | 12,926 | 99.42% | 0 | 75 | 0.58% | 24 | 13,001 | ||||
総計 | 162 | 104,110 | 72.79% | 14 | 38,919 | 27.21% | 176 | 143,029 | ||||
出典:A New Nation Votes[注 4] |
特別選挙
編集バージニア州において、選挙人投票日前日の1804年12月4日までに召集に応じなかった選挙人2名を「欠員」と認定し、州法を改正して州議会が補充する特別選挙(補欠選挙)を実施した[17]。
州 | ジェファーソン /クリントン |
ピンクニー /キング |
総計 |
---|---|---|---|
バージニア州 | 2 | 0 | 2 |
総計 | 2 | 0 | 2 |
州別選挙人投票結果
編集ジェファーソンが勝利した州 |
ピンクニーが勝利した州 |
州 | ジェファーソン | ピンクニー | 定数 | |
---|---|---|---|---|
コネチカット州 | 0 | 9 | 9 | |
デラウェア州 | 0 | 3 | 3 | |
ジョージア州 | 6 | 0 | 6 | |
ケンタッキー州 | 8 | 0 | 8 | |
メリーランド州 | 9 | 2 | 11 | |
マサチューセッツ州 | 19 | 0 | 19 | |
ニューハンプシャー州 | 7 | 0 | 7 | |
ニュージャージー州 | 8 | 0 | 8 | |
ニューヨーク州 | 19 | 0 | 19 | |
ノースカロライナ州 | 14 | 0 | 14 | |
オハイオ州 | 3 | 0 | 3 | |
ペンシルバニア州 | 20 | 0 | 20 | |
ロードアイランド州 | 4 | 0 | 4 | |
サウスカロライナ州 | 10 | 0 | 10 | |
テネシー州 | 5 | 0 | 5 | |
バーモント州 | 6 | 0 | 6 | |
バージニア州 | 24 | 0 | 24 | |
総計 | 162 | 14 | 176 | |
出典:Election of 1804 in Counting the Votes |
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “National General Election VEP Turnout Rates, 1789-Present”. United States Election Project. CQプレス. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Delaware 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Georgia 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Kentucky 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Maryland 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Massachusetts 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “New Hampshire 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “New Jersey 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “New York 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “North Carolina 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Ohio 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Pennsylvania 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Rhode Island 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “South Carolina 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Tennessee 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Virginia 1804 Electoral College”. A New Nation Vote. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “Virginia 1804 Electoral College”. Virginia 1804 Electoral College, Special. Tufts Archival Research Center. 2024年4月14日閲覧。
参考文献
編集- 一般選挙に関する出典:U.S. President National Vote. Our Campaigns. (2006年2月10日).
- 選挙人選挙に関する出典:Official website of the National Archives(2005年7月30日)
関連項目
編集外部リンク
編集- “A Historical Analysis of the Electoral College”. The Green Papers. March 20, 2005閲覧。
- A New Nation Votes: American Election Returns 1787-1825
- Election of 1804 in Counting the Votes