H
ラテン文字の8番目の文字
(ꞕから転送)
Hは、ラテン文字(アルファベット)の8番目の文字。小文字は h 。ギリシャ文字のΗ(イータ)に由来し、キリル文字のИは同系である。
Hh Hh | |||||||||||||||||||||||||||||||
ラテン文字 | |||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
字形
編集はじめの字形がある。
- 2本の縦棒とそれを中央で結ぶ横棒から成る。大文字は普通この字形である。
- 右の縦棒の上半分を欠く。右の角は丸まり、左の交点も同じ方向に丸まる。小文字はこの字形である。フラクトゥールは のように、大文字、小文字ともこの字形である。
呼称
編集- 拉・独・蘭・洪・尼:ハー
- 仏: ache(アシュ)
- 伊: acca(アッカ)
- 西: hache(アチェ)
- 英: aitch(エイチ)/eɪtʃ/
- 葡: agá(アガー)
- 羅: haș(ハッシュ)
- エス・典・諾・丁・芬:ホー
- 波・越:ハ
- 日:エイチ /e̞itɕi/、エッチ /e̞t̚tɕi/、ヘイチ /he̞itɕi/、ヘッチ /he̞t̚tɕi/
これらの呼称は
- ラテン語「ha」→後期ラテン語 "aha" → "ahha" → "accha"
- →イタリア語 "acca"
- →スペイン語 "hache" → フランス語 "ache" → 英語 "aitch"
というような推移によるものと考えられている。
なお、英語名は、当初古いフランス語そのままにおおむね [aːtʃə] のごとく発音していたが、その後の規則的な変化(大母音遷移)により現在の音 [eɪtʃ] になっている。現在の英語では一般に単音節語の -aCe を [-eɪC] と発音する(ここで C は任意の子音とする)ものの、C にあたる位置に ch [tʃ] が立つ場合についてはほとんど例がないため、H [eɪtʃ] を ache と綴ることは通常行われない。ache という綴りは [eɪk] と発音する別の語彙に当てられている。
音価
編集- ドイツ語や英語では原則として無声声門摩擦音/h/ないしその類似音を表す。ドイツ語では語頭以外で前に母音、またはt,rを伴うhは発音されない(複合語中のhは元の単語の発音に準ずる)。また、その前の母音を長く伸ばすように作用し、英語でもそうなる場合があり、この場合hの文字そのものは発音されない。
- ドイツ語ではiの前で無声硬口蓋摩擦音[ç]を表すこともある(例えばHitomiなど)。
- ポーランド語や中国語のピンインでは無声軟口蓋摩擦音/x/を表す。
- 多くのロマンス語では発音されない。
- 多くの言語で、"ch", "ph" などのように他の子音字の後ろに置かれ、類似の別音を表す。摩擦音になることが多い。
- 他の子音字の後ろに置いて有気音を表すことがある。タイ語やヒンディー語などの有声無声の区別、有気無気の区別の両方がある言語のローマ字表記で使用される。
- 日本語のローマ字表記ではハ行の子音に用いる。但しヘボン式では「フ」の子音は他のハ行の子音と異なる為別の字 (F) を用いる。また、「ヒ」の子音も他のハ行の子音と異なるが、これには訓令式でもヘボン式でも他のハ行と同じHを用いる。オ段の長音の表記に使用する場合もある(佐藤→Satoh、妹尾→Senoh)。
- 朝鮮語のローマ字表記では初声の「ㅎ」に用いる。一般的ではないが、イェール式等、激音を示す為にも使用される表記法がある。
歴史
編集ギリシャ文字のΗ(イータ)に由来する。現在のΗやИが母音字なのに対し、このHが/h/を表すのは、Ηの古い音韻(ヘータと呼ばれ、/h/を表した)に基づくものである。
Hの意味
編集学術的な記号・単位
編集- 十七を意味する数字。二十進法など、十八進法以上(参照: 位取り記数法#Nが十を超過)において十七(十進法の17)を一桁で表すために用いられる。
大文字
編集- 水素の元素記号。
- インダクタンスのSI組立単位、ヘンリー(大文字)。
- 電磁気学における磁場(磁界)の意。
- 熱力学におけるエンタルピーの意。
- 解析力学におけるハミルトニアンの意。
- 天気図における高気圧 (High pressure area) の意。
- 洋楽の、ドイツ音名の1つ、「ハー」。イタリア式では「si」、日本式では「ロ」、英米式や中国式では「B」に相当。→ロ (音名)
- 音階の7番目の音であることから、音楽関係者の間で7を表す隠語として使われる。例:H(ハー)万=7万(円)
- 大文字太字のHあるいは は、数学において四元数 (Hamilton) の全体を表す。
- コンピュータプログラムで数値リテラルが十六進数 (Hexadecimal) であることを示す接頭語または接尾辞。(例:マイクロソフト系BASICにおける「&HC9」、Z80のアセンブリ言語における「0C9H」)
- 接眼レンズの中で、ホイヘンス形式を表す。
- 真空管の端子の1つ。ヒータ (Heater)
- (コ)ホモロジー
- HQ9+において、Hello worldを出力する文字。
小文字
編集- 高さ (height) の量記号
- 100倍を表すSI接頭語のヘクト
- 時間(英: hour、仏: heure)を表す単位(小文字)。
- 例:1h23 = 1時23分。
- 熱力学における比エンタルピーの意。
- 量子力学でプランク定数。 (h = 6.6260693(11)×10-34 J·s) 。
- C言語のヘッダファイル(ライブラリ)の拡張子。例 "stdio.h" = 標準入出力のライブラリ
- hパラメータ、h行列。
- フラクトゥールでリー環、とくにカルタン部分環
- コクセター数
その他の記号
編集- 元号「平成(Heisei)」の略記。
- ドクターH - アニメ「チキチキマシン猛レース」の登場人物。
- 鉛筆の芯の硬さを表す記号。Hard の頭文字。Fより硬く、以降硬くなるに従って2H、3H…となり、一番硬いのは9H。
- 鉄道のサインシステムにおいて、JR函館線・千歳線・室蘭線(札幌駅〜東室蘭駅〜函館駅、大沼駅〜七飯駅)(Hakodate)、札幌市営地下鉄東豊線 (tōHō)、東京メトロ日比谷線 (Hibiya)、名古屋市営地下鉄東山線 (Higashiyama)、JR片町線・東西線、近鉄天理線、岡山電気軌道東山線 (Higashiyama)、広島電鉄皆実線(比治山線)(Hijiyama)、福岡市交通局箱崎線 (Hakozaki) の路線記号として用いられる。
- ヘリポートの“H”。
- エッチの意(hentaiの頭字)。
- 高さ (Height)。⇔W(幅 Width)。
- スリーサイズのうちのヒップ (Hip)。
- 湯 (Hot) を表す記号。
- ホテル (hotel) を指す記号。
- ハードル競走の略。「100mH」「110mH」など。
- 写植において、歯 (0.25mm) の略。
- 国鉄・JR等の機関車で、動軸を8軸有するものの形式に付される記号。EH10、EH500、EH200。
- 水銀灯。構内電気設備配線用図記号 (JIS C 0303:2000) で用いられる。HID灯の図記号に傍記。
- 医用コンセント。構内電気設備配線用図記号 (JIS C 0303:2000) で用いられる。コンセントの図記号に傍記。
- 位置表示灯内蔵スイッチ。構内電気設備配線用図記号 (JIS C 0303:2000) で用いられる。スイッチの図記号に傍記。
- 電気業界で日立製作所を表す符丁。
- ホールド (hold) の略。
- 日本のプロ野球球団福岡ソフトバンクホークス (Hawks) の略号。
- 野球における、ヒット(Hit)の略。スコアボード等で使用される。
- ケッペンの気候区分における、高山気候を表す。
- H5系以降の北海道旅客鉄道の車両形式に冠される文字。
- 水平対向エンジン (Horizontally Opposed Engine) の略。
- H (石井竜也のアルバム) - 石井竜也のオリジナルアルバム
- 「H」/「コミックH」 - 株式会社ロッキング・オン (rockin'on) から出版された雑誌。
- H (小説) - 田中康夫の小説
- H (シングル) - 浜崎あゆみのシングル
- Hトラック(アッシュトラック) - フランスの自動車メーカーシトロエンが1947年から1981年まで発売していた貨物自動車
- H-エイチ- - 桜井まちこの漫画
- H (アッシュ) - きんこうじたまの漫画
- H (映画) - 2002年公開の韓国映画
- 英語の疑問詞におけるHow。詳しくは記事「5W1H」を参照のこと。
- 韓国 (Hanguk) の略称に使われることがある。
- ホームストレッチ (Homestretch) - 陸上競技場・競馬場・競輪場などで、決勝線のある側の略。HSとも。
- 日本の作詞家、作曲家、編曲家、写真家、映像作家、音楽プロデューサーの名前。本名・濱洋一。別名義は「H(eichi)」。元「three tight b」ギター・ボーカル
符号位置
編集大文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 小文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
H | U+0048
|
1-3-40
|
H H
|
h | U+0068
|
1-3-72
|
h h
|
半角 |
H | U+FF28
|
1-3-40
|
H H
|
h | U+FF48
|
1-3-72
|
h h
|
全角 |
Ⓗ | U+24BD
|
‐
|
Ⓗ Ⓗ
|
ⓗ | U+24D7
|
1-12-38
|
ⓗ ⓗ
|
丸囲み |
🄗 | U+1F117
|
‐
|
🄗 🄗
|
⒣ | U+24A3
|
‐
|
⒣ ⒣
|
括弧付き |
ᴴ | U+1D34
|
‐
|
ᴴ ᴴ
|
ʰ | U+02B0
|
‐
|
ʰ ʰ
|
上付き文字 |
𝐇 | U+1D407
|
‐
|
𝐇 𝐇
|
𝐡 | U+1D421
|
‐
|
𝐡 𝐡
|
太字 |
𝐻 | U+1D43B
|
‐
|
𝐻 𝐻
|
ℎ | U+210E
|
‐
|
ℎ ℎ
|
イタリック体 |
𝑯 | U+1D46F
|
‐
|
𝑯 𝑯
|
𝒉 | U+1D489
|
‐
|
𝒉 𝒉
|
イタリック体太字 |
ℋ | U+210B
|
‐
|
ℋ ℋ
|
𝒽 | U+1D4BD
|
‐
|
𝒽 𝒽
|
筆記体 |
𝓗 | U+1D4D7
|
‐
|
𝓗 𝓗
|
𝓱 | U+1D4F1
|
‐
|
𝓱 𝓱
|
筆記体太字 |
ℌ | U+210C
|
‐
|
ℌ ℌ
|
𝔥 | U+1D525
|
‐
|
𝔥 𝔥
|
フラクトゥール |
ℍ | U+210D
|
‐
|
ℍ ℍ
|
𝕙 | U+1D559
|
‐
|
𝕙 𝕙
|
黒板太字 |
𝕳 | U+1D573
|
‐
|
𝕳 𝕳
|
𝖍 | U+1D58D
|
‐
|
𝖍 𝖍
|
フラクトゥール太字 |
𝖧 | U+1D5A7
|
‐
|
𝖧 𝖧
|
𝗁 | U+1D5C1
|
‐
|
𝗁 𝗁
|
サンセリフ |
𝗛 | U+1D5DB
|
‐
|
𝗛 𝗛
|
𝗵 | U+1D5F5
|
‐
|
𝗵 𝗵
|
サンセリフ太字 |
𝘏 | U+1D60F
|
‐
|
𝘏 𝘏
|
𝘩 | U+1D629
|
‐
|
𝘩 𝘩
|
サンセリフイタリック |
𝙃 | U+1D643
|
‐
|
𝙃 𝙃
|
𝙝 | U+1D65D
|
‐
|
𝙝 𝙝
|
サンセリフイタリック太字 |
𝙷 | U+1D677
|
‐
|
𝙷 𝙷
|
𝚑 | U+1D691
|
‐
|
𝚑 𝚑
|
等幅フォント |
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
ₕ | U+2095 |
‐ |
ₕ ₕ |
LATIN SUBSCRIPT SMALL LETTER H |
ʜ | U+029C |
‐ |
ʜ ʜ |
LATIN LETTER SMALL CAPITAL H |
🄷 | U+1F137 |
‐ |
🄷 🄷 |
SQUARED LATIN CAPITAL LETTER H |
🅗 | U+1F157 |
‐ |
🅗 🅗 |
NEGATIVE CIRCLED LATIN CAPITAL LETTER H |
🅷 | U+1F177 |
‐ |
🅷 🅷 |
NEGATIVE SQUARED LATIN CAPITAL LETTER H |