鴨の入首
鴨の入首(かものいれくび)[1]は相撲の決まり手、反り手または捻り手である。日本相撲協会制定の決まり手八十二手には入っていない。
概要
編集1902年の書籍『日本相撲伝』ではこの技は両者腋の下に相手の首を抱え込んだ体勢、プロレスのブレーンバスターに入る前の体勢、から左足を半歩下げ、右足を中心に半横転し、両者、仰向けになり反り返った人橋のような形になる技だとしている[2]。プロレスのスインギング・ネック・ブリーカー・ドロップの様な技である。三つ(背後にあるまわしの結び目、三つ結い)が先に着いたほうが負けであり大概は預りになる、としている[3]。一方、1923年の書籍『相撲』によると理論上、同時に落ちると思えるけど実際には先に反り返ったほうが勝つことが多く不思議だ、旨述べている[2]。
1885年の書籍『古今相撲大要』によると鴨の入首は反り手である[4]。一方、1923年の書籍『相撲』によると捻り手である[2]。
1900年の書籍『新編相撲叢話』で徒然坊は、撞木反りと並んで花相撲以外では滅多に出ない技で明治10年ごろ、本場所で使用されたのを見たことある旨、述べている[5]。
この技は日本相撲協会制定の決まり手八十二手には入っておらず、日本のアマチュア相撲の中学生以下の審判規定で取組中止取直しとなる危険な体勢、両者が相手の腋の下に頭部を入れた体勢の名称として残っている[6]。この体勢は獅子の谷覗き(ししのたにのぞき)という別名もある[2]。
脚注
編集- ^ 孤蝶園若菜 編『四十八手相撲古実 櫓太皷音高砂』 前編(再版)、三友社、日本、1884年4月28日、10頁。NDLJP:882208/11。
- ^ a b c d 樋渡雋次郎『相撲』 日本体育叢書 第8篇、目黒書店、1923年6月3日、331-332頁 。
- ^ 鎗田徳之助 著、雪乃家漁叟 編『日本相撲伝』大黒屋画舗、1902年6月、77-78頁 。2024年12月14日閲覧。
- ^ 岡敬孝 編『古今相撲大要』木村式守(校閲)、攻玉堂、日本、1885年6月、26頁 。
- ^ 徒然坊(酒井弁)『新編相撲叢話』丸上老人(閲)、小錦・梅ノ谷・常陸山・稲川諸力士(題字)、開拓社、日本、1900年4月、351頁 。
- ^ 日本相撲連盟 審判規程補足