食品の自主規制(しょくひんのじしゅきせい)とは、農林水産物の生産者、食品の加工業者などが自主的に行う制限のこと。特徴として工業製品やサービス分野の自主規制とは異なり、生産者自ら積極的に規制するものは少なく、国や地方自治体の研究機関があらかじめ基準値を設定し、調査に基づく勧告を受け実施に至る例が多い。
- 国(農林水産省・食糧庁)は、イタイイタイ病の発生を受け、1970年よりカドミウムの含有量が1ppmを超える玄米の流通を禁止する一方、0.4ppm~1ppm未満の玄米については自主規制により食用に出荷させない措置を採った。これは、カドミウムの含有量が食品衛生上問題ない数値であっても、消費者の不安を配慮して流通させることができずに行ったものである。生産者の利害と消費者の要望を一致させるために、国が自ら法的規制ではなく自主規制を行った珍しい例である。なお2005年度以降については、(社)全国米麦改良協会が自主規制を行っている。
- ^ 成分表示をはっきり 業界、自主規制に踏み出す『朝日新聞』1968年(昭和43年)3月19日朝刊 12版 15面