類人猿(るいじんえん、ape)は、ヒトに似た形態を持つ大型と中型の霊長類を指す通称名である。ヒトの類縁であり、高度な知能を有し、社会的な生活を営んでいる。類人猿は生物学的な分類名称ではないが、生物の分類上都合が良いので霊長類学などで使われている。一般的には、人類以外のヒト上科に属する種を指すが、分岐分類学を受け入れている生物学者が類人猿(エイプ)と言った場合、ヒトを含める場合がある。ヒトを含める場合、類人猿はヒト上科(ホミノイド)に相当する。

ヒト上科
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 霊長目 Primates
亜目 : 直鼻亜目 Haplorrhini
下目 : 真猿型下目 Simiiformes
小目 : 狭鼻小目 Catarrhini
上科 : ヒト上科 Hominoidea
ヒト上科の系統樹
トマス・ヘンリー・ハクスリー進化について述べた『自然における人間の位置』の口絵。(古典的な)類人猿とヒトの骨格を比較している。

類人猿の身体的特徴としては次のようなものが挙げられる。

  • テナガザルを含めた現生類人猿ではは失われている[1]
  • オランウータンは赤褐色・褐色の毛を持ち、チンパンジー・ゴリラは黒色の毛を持つ。
  • 大型類人猿の手と足の構造については、ゴリラ、チンパンジー、オランウータンの順に次第に、手は親指が小さく全体に細長い構造となり、足はヒトの手に近い(物を把持するのに有利な)構造となる。

類人猿には現生の次の動物が含まれる。

大型類人猿のうち、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ(とヒト)はアフリカ類人猿と呼ばれる。オランウータンはアジア類人猿と呼ばれる。アジア類人猿で現生するのはオランウータンだけであるが、絶滅種のギガントピテクスなども含まれる。以前の分類では、オランウータン科にはオランウータン属ゴリラ属チンパンジー属を含めた。しかし、DNAの進化分析を考慮した新しい分類では、オランウータン科はオランウータンのみとなり、ゴリラ属・チンパンジー属はヒト科に分類される。さらに、オランウータンもヒト科に含めると考え、ヒト上科はテナガザル科ヒト科に、ヒト科はオランウータン亜科ヒト亜科に、ヒト亜科はゴリラ族ヒト族に、ヒト族はチンパンジー亜族ヒト亜族に分類するのが一般的となり、この学説が正しければオランウータン科は消滅することになる。

染色体については、ヒトが23対46本(常染色体22対44本+性染色体XXまたはXY)なのに対し、大型類人猿は24対48本(常染色体23対46本+性染色体XXまたはXY)である。ヒトの2番染色体は、大型類人猿の12番染色体と13番染色体が融合したものに相当する。

大型類人猿のオランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボは野生で絶滅の危機に瀕している。理由としては、性成熟が遅いこと、森林伐採などによる生息地の減少や分断、密猟などが挙げられる。

脚注

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  1. ^ 國松豊、「ヒト科の出現」『地學雜誌』 2002年 111巻 6号 p.798-815, doi:10.5026/jgeography.111.6_79, 東京地学協会

関連項目

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外部リンク

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