音楽座ミュージカル
概要
編集演技と音楽とダンスが一体になるミュージカルを生演奏で上演することを目指して1987年創設。オリジナルミュージカルを提供し続ける[1]。1996年に解散するが、何公演かプロデュース公演後、2004年に再結成され活動を再開。
“音楽座ミュージカル”は“劇団音楽座”と歴史上繋がっていることで、同じものだと誤解されることが多いが、主催者・思想・作品などすべてが明らかに違い、この2つはまったく違う劇団。
脚本・演出に表記されている「ワームホールプロジェクト」と呼ばれる創作システムが大きな特徴。また、再演の度に脚本・演出・音楽・振付などすべての見直しを行い、毎回キャストオーディションを実施するという独自のスタイルを築く。
「ワームホールプロジェクト」は音楽座ミュージカルの創作システム。創立者の相川レイ子が核となり、強烈なリーダーシップのもと、脚本、演出、音楽、振付、美術、衣裳、照明など、各専門分野を担うプロデューサーとプランナー及びキャストで、作品ごとに構成。 このプロジェクトの最大の特徴は、作品のクオリティアップのため、変化することに対して積極的であるということ。それぞれのスタッフが専門分野だけでなく、作品全体の成立に向けて行動する。個々が抱く作品イメージのズレは、徹底的に議論しあい、単純な二者択一ではなく、異なるイメージをぶつけあうことで生みだされた「第三の選択」が作品を次の段階へ進化させていく。「シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ」から「ラブレター」の12作品は相川レイ子が、13作目以降は相川タローが作品創作の中心を担う。
Rカンパニー
編集Rカンパニー(アールカンパニー)は、2004年4月に結成された、音楽座ミュージカルの創造母体。「R」の文字には Revolution、Relation、Responsible、Run、Roots などの想いがつめ込まれている。音楽座ミュージカルの作品はRカンパニーのメンバーを中心に上演され、自分たちの目指す作品を継続的に上演していくために、メンバーひとりひとりが創作、運営、マーケティングを担っていく形式である。
歴史
編集- 1977年 劇団音楽座旗揚げ。
- 1987年 株式会社ヒューマンデザインにより「音楽座ミュージカル」結成。
- 1988年 音楽座ミュージカル第1回作品として『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』を初演。
- 佐藤晃一[要曖昧さ回避]デザインの「音楽座ミュージカル」ロゴマークを作成(以降、2000年のプロデュース公演『メトロに乗って』まで使用)。 『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』のポスターデザインはニューヨーク近代美術館(MoMA)のパーマネントコレクションとして所蔵。
- 1995年 フランスの作者遺族会およびガリマール社より、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの小説「星の王子さま」の世界で唯一の独占ミュージカル化権を獲得(しかし、その後、同小説は2005年に日本での著作権の保護期間が満了となった)。
- 1996年 解散
- 1997年 有志「音楽座ミュージカルを上演する会」の企画、ヒューマンデザイン他の主催・製作により、2000年まで、計3作品をプロデュース公演として再演。
- 2000年 TBSとホリプロがトリビュート音楽座ミュージカル「星の王子さま'95」『星の王子さま』を上演。
- 2000年 新作『メトロに乗って』をプロデュース公演として上演(企画:ヒューマンデザイン、主催・製作:ヒューマンデザイン他)。
- 2004年 再結成
- 2018年 「とってもゴースト」映画化
- 2020年 「シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ」をシアタークリエ・新歌舞伎座・福岡市民会館で上演(製作:東宝株式会社、出演:井上芳雄・咲妃みゆ他、演出:小林香)。
主な作品
編集ヒューマンデザイン設立前
編集- おとぎばなし (1977年)
- 情話大江戸恋泥棒 (1997年)
- SHOW マハゴニー (1978年)
- 英雄(ヒーロー) (1978年)
- ヴェローナ物語 (1978年、1981年、1984年、1987年)
- 森林幻想曲 (1979年、1983年、1987年)
- 小林さん宅のお引っ越し (1979年)
- 月の小鳥たち (1979年)
- 組曲楽園 (1980年、1984年、1986年)
- 兵士の物語 (1980年、1986年)
- さよならゲーム (1980年)
- 闇夜の祭り (1981年)
- 現代ウソップ物語 (1981年)
- バイ・バイ・メモリー (1982年)
- 覗きからくり遠眼鏡 (1983年、1985年、1988年)
- 貴婦人故郷ニ帰ル (1984年)
- コカ・コー笑 (1985年)
- 夢の降る街 (1987年、1988年 - 1989年)
- 昨日からの贈り物 (1987年)
ヒューマンデザイン設立後(音楽座ミュージカル)
編集- シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ (1988年、1989年、1990年、1991年、1992年、1993年、1994年、1995年、2009年、2010年、2011年、2012年、2016年、2023年)
- ルート・ラブ~ヴェローナ物語より~ (1988年)
- とってもゴースト (1989年、1990年、1991年、1993年、1994年、1995年、2005年、2007年、2012年、2017年)
- チェンジ[要曖昧さ回避] (1990年、1992年、1993年)
- ユアーズ・アン (1990年、1991年)
- マドモアゼル・モーツァルト(原作:福山庸治/音楽:小室哲哉)(1991年、1992年、1993年、1996年、2008年)
- アイ・ラブ・坊っちゃん (1992年、1993年、1995年、2000年、2007年、2011年)
- リトルプリンス~星の王子さま~ (1993年、2006年、2008年、2011年、2014年、2015年、2016年、2017年)
- 泣かないで~遠藤周作著『わたしが・棄てた・女』より~(1994年、1997年、2006年、2009年、2014年、2016年、2023年)
- 星の王子さま (1995年、1998年)
- ホーム~はじめてテレビがきた日~ (1994年、2010年、2018年)
- メトロに乗って(原作:浅田次郎/音楽:高田浩、井上ヨシマサ )(2000年、2007年、2014年)
- 21C:マドモアゼル モーツァルト(原作:福山庸治/音楽:高田浩、八幡茂、井上ヨシマサ)(2005年、2013年)
- 映画館上映特別版「メトロに乗って」( 原作:浅田次郎/音楽:高田浩、井上ヨシマサ) (2008年)
- 七つの人形の恋物語(原作:ポール・ギャリコ/音楽:高田浩、井上ヨシマサ)(2008年、2010年、2013年、2014年)
- ラブ・レター(原作:浅田次郎/音楽:高田浩、金子浩介、井上ヨシマサ)(2013年、2015年、2022年)
- グッバイマイダーリン★(原作:ルーマー・ゴッテン)(2017年)
- SUNDAY(原作:アガサ・クリスティー)(2018年、2020年、2024年)
- 7dolls(原作:ポール・ギャリコ/音楽:高田浩、井上ヨシマサ)(2019年)
- JUST CLIMAX(2022年)
その他の作品展開
編集- ホリプロ+TBSトリビュート 星の王子さま’95 原作:サン・テグジュペリ(出演:市村正親)(2000年)
- リトルプリンスVR(VR制作:株式会社アルファコード)(2017年)
- LITTLE PRINCE ALPHA(VR制作:株式会社アルファコード)(2018年)
- 映画「とってもゴースト」(出演:安蘭けい、古舘佑太郎)(公開日未定)
- シアタークリエ「シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ」(出演:井上芳雄、咲妃みゆ)(2020年)
- 東京建物 Brillia HALL「マドモアゼル・モーツァルト」(出演:明日海りお、華優希)(2021年)
- シアタークリエ「リトルプリンス」(出演:加藤梨里香、土居裕子、井上芳雄)(2022年)
主な所属俳優
編集プレメンバー
編集- 濱口喜惠
- 山西菜音
- 生島稜大
- 泉陸
- 木村匠
かつて所属した主なメンバー
編集受賞歴
編集- 1990年 第45回文化庁芸術祭賞(とってもゴースト)
- 1990年 第40回芸術選奨文部大臣新人賞(土居裕子 - シャボン玉とんだ宇宙までとんだ)
- 1991年 第25回紀伊國屋演劇賞 個人賞(横山由和 - シャボン玉とんだ宇宙までとんだ、とってもゴースト)
- 1994年 第28回紀伊國屋演劇賞 団体賞(音楽座 - アイ・ラブ・坊っちゃん、マドモアゼル・モーツァルト、とってもゴースト、シャボン玉とんだ宇宙までとんだ)
- 1994年 第49回文化庁芸術祭賞(リトル・プリンス)
- 1994年 第1回読売演劇大賞
- 優秀作品賞(アイ・ラブ・坊っちゃん)
- 優秀女優賞(土居裕子 - アイ・ラブ・坊っちゃん、星の王子さま)
- 1994年 第4回グローバル舞台賞(音楽座、今津朋子 - 泣かないで)
- 1995年 第2回読売演劇大賞
- 優秀作品賞(泣かないで)
- 優秀女優賞(今津朋子 - 泣かないで)
- 最優秀スタッフ賞(朝倉摂 - 泣かないで)
- 優秀スタッフ賞(服部基 - 泣かないで、ホーム)
- 優秀男優賞(佐藤伸行 - ホーム)
- 1996年 第3回読売演劇大賞
- 優秀女優賞(土居裕子 - アイ・ラブ・坊っちゃん、星の王子さま)
- 優秀スタッフ賞(室伏生大 - 星の王子さま)
- 1997年 第4回読売演劇大賞
- 優秀作品賞(マドモアゼル・モーツァルト)
- 優秀女優賞(土居裕子 - マドモアゼル・モーツァルト)
- 優秀スタッフ賞(小室哲哉 - マドモアゼル・モーツァルト)
(参考)プロデュース公演時の受賞
- 1998年 第5回読売演劇大賞
- 優秀作品賞(泣かないで'97)
- 優秀女優賞(今津朋子 - 泣かないで'97)
- 優秀スタッフ賞(服部基 - 泣かないで'97)
- 1999年 第6回読売演劇大賞 優秀スタッフ賞(室伏生大 - 星の王子さま'98)
- 2006年 第31回菊田一夫演劇賞(21C:マドモアゼル モーツァルト/新妻聖子)
- 2007年 第26回照明家協会優秀賞(リトルプリンス)
- 2008年 第10回東京芸術劇場ミュージカル月間優秀賞(リトルプリンス)
- 2018年 先進映像協会 グッドプラクティス・アワード奨励賞(LITTLE PRINCE ALPHA)
- 2020年 令和2年度(第75回)文化庁芸術祭賞(演劇部門 新人賞)(SUNDAY/高野菜々)
脚注
編集- ^ “創立35周年の音楽座 浅田次郎の「ラブ・レター」を新たに”. 産経ニュース (2022年6月21日). 2022年6月21日閲覧。
関連項目
編集参考文献
編集- 月刊『ミュージカル』1992年5月号、ミュージカル出版社
- 『M:Ongakuza Musical Memorial Book』ヒューマンデザイン、1996年