陸井三郎
陸井 三郎(くがい さぶろう、1918年(大正7年)6月28日 - 2000年(平成12年)1月13日)は、日本の国際政治評論家である。『ハリウッドとマッカーシズム』などの著作で知られる。
経歴
編集東京出身。1940年、青山学院(のちの青山学院大学)高等商学部を卒業[1]。第二次世界大戦中は太平洋協会、戦後は世界経済研究所に勤務し、アメリカ研究所長(1966年 - 1973年)、アジア・アフリカ研究所員(1961年 - 2000年)、「ベトナムにおける戦争犯罪調査日本委員会」事務局長(1966年 - 1975年)を歴任した[2]。1967年、ベトナム戦争における米国の戦争犯罪を裁く民衆法廷「国際戦争犯罪法廷」(ラッセル法廷)に参加し、調査や証言を行った[3]。
2000年1月13日未明、心不全で死去。81歳。練馬区豊玉上にて1人暮らしをしていたが、連絡が取れなくなったことを心配した親類が1月14日に陸井の自宅を訪れた結果、死亡していたことが判明した[4]。
著書
編集単著
編集- 『ヒステリー・エージ』 月曜書房、1952年
- 『原子力問題事典』 福音館書店、1955年
- 『世界史講座(第7巻) 現在の世界』 東洋経済新報社、1956年
- 『オートメーションの経済学』 青木書店、1957年
- 『社会主義対資本主義――米ソ角逐する現代史』 光文社(カッパ・ブックス)、1958年
- 『技術的進歩と資本主義』 三一書房、1960年
- 三一書房版社会科教育大系編集委員会編『社会科教育大系(第4巻)』 三一書房、1961年
- 『学習講座社会科学の基礎(第4巻)』 青木書店、1964年
- 『現代のアメリカ』 三一書房(三一新書)、1964年
- 『ベトナム戦争と米国外交経済の動向 国際事情第八十二回月例研究会』 ジャパン・プレス・サービス、1966年
- 『北爆下の北ベトナムから帰って 国際事情第八十四回月例研究会』 ジャパン・プレス・サービス、1967年
- 『現代アメリカの亀裂――ベトナム・黒人問題・暗殺』 平和書房(平和新書)、1968年
- 『資料・ベトナム戦争』 紀伊国屋書店、1969年
- 日本平和委員会編『平和運動20年記念論文集』 大月書店、1969年
- 『幻想のアメリカ――1500万の飢餓の人びと』 ダイヤモンド社、1971年
- 『インドシナ戦争』 勁草書房(AA叢書)、1971年
- 『ゆらぐドル帝国』 学習の友社、1971年
- 『ベトナム帰還兵の証言』 岩波書店(岩波新書)、1973年
- 『大国と第三世界――崩れる“力による支配”』 日本経済新聞社(日経新書)、1975年
- 歴史科学協議会編『歴史科学への道 歴史科学入門講座(下)』 校倉書房、1976年
- 『アメリカの権力――可能性と限界 陸井三郎評論集』 すずさわ書店(すずさわ叢書 7)、1976年
- 『デタント――反革命世界戦略 陸井三郎評論集』 すずさわ書店(すずさわ叢書 9)、1976年
- 『ハノイでアメリカを考える 陸井三郎評論集』 すずさわ書店(すずさわ叢書 12)、1976年
- 『アメリカの核・エネルギー戦略――カーター政権の課題とその展開』 東西貿易経済研究所、1977年
- 『アメリカと現代世界』 東研、1978年
- 『現代世界を考える』 三省堂、1978年
- 『ハリウッドとマッカーシズム』 筑摩書房、1990年
共著
編集- 中国研究所編『アメリカの新アジア観』 潮流社、1948年
- 創文社編集部編『現代史講座(第2巻)』 創文社、1953年
- 『ベトナム戦争と労働運動』 労働旬報社、1966年(岡倉古志郎、坂本徳松、吉岡吉典との共著)
共編著
編集- 『キューバからベトナムまで―アメリカの侵略工作』 新日本出版社(新日本新書)、1965年(岡倉古志郎との共編著)
- 『核で核は防げるか』 三省堂、1982年(服部学との共編著)
訳書
編集- ノーマン『日本における兵士と農民』 白日書院、1947年
- ブラムシュテット『独裁と秘密警察――恐怖による支配の技術』 みすず書房、1951年
- オーエン・ラティモア『アメリカの審判』 みすず書房、1951年
- ニム・ウェールズ 編『紅い塵 : 新中国の革命家たち 上巻』新評論社、1953年12月10日。NDLJP:2994040。
- E・H・S・バーホップ『原子力の挑戦』 中央公論社、1955年
- A・アンゲロポウロス『原子力と現代史』 平凡社(へいぼん・ぶっくす)、1956年
- 『世界大思想全集(第2期) 社会・宗教・科学思想篇 第17』 河出書房、1956年
- A・クラミッシュ、E・M・ザッカート『原子力と産業』 紀伊国屋書店、1959年
- C・F・カーター、B・R・ウィリアムズ『技術革新と投資』 紀伊国屋書店、1960年
- ウォルター・アダムス、ホレイス・M・グレイ『アメリカの独占――プロモーターとしての政府』 至誠堂、1960年
- ヘレン・アルフレッド編『社会主義とはなにか』 三一書房(三一新書)、1961年
- アプセーカー『ライト・ミルズの世界――大衆社会論批判』 青木書店、1962年
- I・F・ストーン『危険なアメリカ』 徳間書店、1966年
- D・W・コンデ『アメリカは何をしたか』 太平出版社(太平選書)、1967年
- ウィリアム・ルクテンバーグ『ローズヴェルト 二十世紀の大政治家(3)』 紀伊国屋書店、1968年
- ドムホフ『現代アメリカを支配するもの』 毎日新聞社(エコノミスト シリーズ)、1971年
- D・W・コンデ『現代朝鮮史(2) 1950-53年 朝鮮戦争の歴史』 太平出版社、1971年
- チャールズ・フェン『ホー・チ・ミン伝(上)』 岩波書店(岩波新書)、1974年
- チャールズ・フェン『ホー・チ・ミン伝(下)』 岩波書店(岩波新書)、1974年
- ジョイス・コルコ『世界資本主義の危機(上)』 岩波書店(岩波新書)、1975年
- ジョイス・コルコ『世界資本主義の危機(下)』 岩波書店(岩波新書)、1975年
- マリー・カルドー『戦争論と現代――核爆弾の政治経済学』 社会思想社、1986年
- ジョイス・コルコ『世紀末恐慌と世界経済――リストラクチャリング・プロセス』 社会思想社、1989年
共訳書
編集- 『ソヴェトの原子力』 三一書房(三一新書)、1955年(野中昌夫との共編訳)
- ジャック・ベルデン『中国は世界をゆるがす(上)』 青木書店(青木文庫)、1965年(安藤次郎、前芝誠一との共訳)
- ジャック・ベルデン『中国は世界をゆるがす(中)』 青木書店(青木文庫)、1965年(安藤次郎、前芝誠一との共訳)
- ジャック・ベルデン『中国は世界をゆるがす(下)』 青木書店(青木文庫)、1965年(安藤次郎、前芝誠一との共訳)
- ハイマン・リューマー『アメリカ貧乏物語』 青木書店(青木現代選書)、1966年(田中勇との共訳)
- デイヴィッド・コンデ著『絶望のアメリカ』 徳間書店、1967年(田中勇との共訳)
- シドニー・レンズ『アメリカのラディカリズム』 青木書店、1967年(内山祐以智との共訳)
- ガブリエル・コルコ『ベトナム戦争全史――歴史的戦争の解剖』 社会思想社、2001年(藤田和子、藤本博、古田元夫との共訳)