阿久比町立図書館
阿久比町立図書館(あぐいちょうりつとしょかん)は、愛知県知多郡阿久比町の公共図書館である。1983年(昭和58年)に開館した。
阿久比町立図書館 Agui Public Library[1] | |
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阿久比町立図書館 | |
施設情報 | |
専門分野 | 総合 |
事業主体 | 阿久比町 |
管理運営 | 阿久比町 |
開館 | 1983年(昭和58年)7月18日 |
所在地 |
〒470-2212 愛知県知多郡阿久比町大字卯坂字栗之木谷32番地の4 |
位置 | 北緯34度56分21.9秒 東経136度54分48.8秒 / 北緯34.939417度 東経136.913556度座標: 北緯34度56分21.9秒 東経136度54分48.8秒 / 北緯34.939417度 東経136.913556度 |
ISIL | JP-1001995[1] |
統計情報 | |
蔵書数 | 111,246点[2](2023年3月31日時点) |
貸出数 | 201,825点[3](2022年度) |
来館者数 | 81,047人[3](2022年度) |
貸出者数 | 30,480人 (うち阿久比町民23,140人)[3](2022年度) |
条例 | 阿久比町立図書館の設置及び管理に関する条例 |
公式サイト | 阿久比町立図書館 |
地図 | |
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館 |
2015年度の蔵書数は105,326点、貸出冊数は187,509点であった[4]。2015年度末の阿久比町の人口は28,372人であり、町民1人あたり貸出冊数は6.6冊であった[4]。
歴史
編集1980年(昭和55年)6月に知多郡阿久比町内で図書館の建設構想が打ち出された[5]。同年10月から建物の設計が行われ、1981年(昭和56年)3月10日には延床面積が正式決定、1982年(昭和57年)1月20日には建設位置が最終決定された[6]。この際に建物が坂部城の空堀にかかることが判明したため、日本考古学協会会員を団長とする坂部城調査団が組織されて、3月には敷地にかかる部分の発掘調査や地形測量が行われている[6]。
1982年(昭和57年)6月24日に図書館の起工式が行われると、6月25日には坂部城の礎石と思われる遺構が発見されている[6]。1983年(昭和58年)3月に竣工し、同年7月18日に阿久比町立図書館が開館[5]。開館式には阿久比町名誉町民で元愛媛県知事の久松定武などを来賓に招いており、開館式後には安沢阿弥が於大の方を描いた日本画が披露された[7]。独立施設の図書館は知多半島の5町において初だった[8]。開館当初からコンピュータを導入しており、館外貸出や返却、蔵書の把握や予約などを瞬時に行うことができた[8]。
開館時の蔵書数は25,171冊であった[5]。なお、図書館開館から3日後の7月21日には名鉄河和線阿久比駅が開業しており、阿久比町では次々と大型事業が結実していた[7]。開館から1年間の総貸出冊数は14万2629冊であり、1人あたり貸出冊数は5.4冊という高さだった[9]。
1985年度末の蔵書数は53,566冊であり、初めて5万冊を超えた[5]。日本図書館協会による1984年度の図書館活動実績調査によると、阿久比町の1人あたり貸出冊数は6.59冊であり、愛知県や中部地方の町村では第1位、全国の町村でも第8位だった[10]。1986年(昭和61年)には建築の質と展開されるサービスの調和がとれている図書館に贈られる日本図書館協会建築賞の特定賞を受賞した[11]。単純でわかりやすい全体構成、建物と調和した柔らかな質感の木製家具、周辺環境に配慮した携帯などの点が評価されている[11]。
1988年(昭和63年)9月には敷地内に安沢阿弥の句碑を設置している[12]。図書館開館前の1968年(昭和43年)に発足した阿久比四三読書会は、1987年から1994年にはしばしば読書会記念講演会を開催している[13]。1993年8月には開館10周年を記念して、NHKアナウンサーの松平定知が記念講演を行った[14][15]。
- 1987年3月 : 西村滋(作家)「母恋放浪記と私」
- 1988年1月 : 竹内弘行(哲学者)「古代中国のくらしと現代」
- 1990年1月 : 鈴木悦通(花岳寺住職)「歴史と文学 思いつくままに」
- 1990年3月 : 小田正年(町教育長)「僕の青春と太宰治」
- 1991年1月 : 加古栄(元中学校長)「新年トーク あれこれ」
- 1993年2月 : 中野好彦「ヨーロッパで見た教育の実状について」
- 1993年8月19日 : 松平定知(NHKアナウンサー)「私の取材ノートから」(開館10周年記念講演会)
- 1994年1月 : 永井照代「ほたるの日記によせて」
- 1994年11月 : 阿刀田高(作家)「読書の楽しさ」
図書館が主催するイベントとしては、おはなし会、お楽しみ会、映画会など子ども向けの行事、万葉講座、童話作法講座など一般向けの行事があり、町民による自主的な講座も含めると、年間120-130回を開催していた[17]。ヤングアダルトコーナーを設置する際には学生の意見を反映させた[17]。これらの柔軟性ある運営が評価され[17]、1992年(平成4年)11月には日本図書館協会などが主催する第78回全国図書館大会で、丹羽郡扶桑町の扶桑町図書館とともに優秀図書館として表彰された[18][19]。1983年の開館から1992年末までの総貸出冊数は141万3000冊だった[18]。
1993年(平成5年)には新システムを導入し、利用者用検索端末などが設置された[20]。1993年(平成5年)時点では人口2万人台前半ながら年間2000万円近い図書購入費を有し[21]、町民1人あたり貸出冊数は6冊を超えていた[13]。1993年3月末時点の蔵書数は85,212冊であり、うち絵本・児童書は23,149冊、郷土資料は2,158冊であった[17]。その他にAV資料は約2,000点あり、新聞は12紙を、雑誌は105誌を購読していた[17]。
1996年(平成8年)6月には、開館以来の総貸出冊数が200万冊を突破した[22]。1995年度(平成7年度)の貸出数は17万4891冊であり、住民1人あたり貸出冊数は「県内でも高いレベル」の7.2冊であった[22]。2004年度末の蔵書数は100,878冊であり、初めて10万冊を超えた[23]。2013年(平成25年)6月には「開館30周年記念図書館展」を行った[24]。
2009年(平成21年)には名古屋鉄道と名鉄不動産が32ヘクタールの住宅地「陽なたの丘」の分譲を開始したこともあって、阿久比町は子育て世代を中心に人口が増加[25]。2010年国勢調査から2015年国勢調査の5年間の人口増加率は、長久手市に次いで愛知県2位の9.0%に達した[26]。
2016年(平成28年)7月1日には2階の児童・親子閲覧室がリニューアルされ、それまでにはなかった母親向けの本や雑誌が並べられたほか、新たに購入した回転式本棚に絵本が並べられた[27]。2016年時点で38台分の駐車場があったが、2016年予算で25台分を増やして、2017年3月17日から63台分とした[25][28]。2016年時点の来館者数は年間約9万人[25]。2016年3月時点の蔵書数は約10万4000冊[25]。
立地・施設
編集阿久比町立図書館 | |
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情報 | |
設計者 | 岡設計 |
構造形式 | 鉄筋コンクリート造2階建[29] |
敷地面積 | 3,507 m² [29] |
延床面積 | 1,429.149 m² [29] |
所在地 |
〒470-2212 愛知県知多郡阿久比町卯坂栗之木谷32番地4[29] |
座標 | 北緯34度56分21.9秒 東経136度54分48.8秒 / 北緯34.939417度 東経136.913556度 |
名鉄河和線坂部駅から南西に300m、坂部城址があり城山公園として整備されている丘の中腹に、単独館として阿久比町立図書館がある。周辺には津嶋神社や最勝寺などの寺社や、阿久比町立城山保育園などがある。図書館の西500mには阿久比町立阿久比スポーツ村があり、阿久比球場、阿久比スポーツ村陸上競技場、公益財団法人スポーツ医・科学研究所などがある。
建物の設計は岡設計。城址にふさわしい外観として日本瓦を用いた和風建築が採用された[30][8][17]。瓦屋根は緩やかな傾斜であり、かつての城の姿を彷彿とさせている[17]。建物は丘の斜面に建てられており、正面玄関のある2階を主階としている[8][17]。1階には学習室、視聴覚室、視聴覚準備室、閉架書庫などが、2階には一般開架室、一般閲覧室、参考・郷土資料室、親子・児童閲覧室、新聞・雑誌閲覧室、展示ホールなどがある[8][29]。いずれの部屋も大きな窓が室内に開放感を与えている[17]。蔵書収容能力は10万冊[17]。
利用案内
編集阿久比町立図書館の利用案内[31] | |
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開館時間 | 平日は10時-18時、土日祝は10時-17時 |
休館日 | 月曜日、毎月最終木曜日、年末年始、特別整理期間 |
冊数・期間 | 10点まで2週間 ただし視聴覚資料・雑誌・漫画は3点まで1週間 |
貸出可能者 | 知多半島5市5町の在住・在勤・在学者 (阿久比町・東海市・大府市・知多市・半田市・常滑市・東浦町・武豊町・美浜町・南知多町) |
知多半島5市5町(阿久比町・東海市・大府市・知多市・半田市・常滑市・東浦町・武豊町・美浜町・南知多町)は広域貸出制度を制定しており、5市5町在住・在勤・在学者であれば貸出登録を行うことができる[31]。
脚注
編集- ^ a b “ISIL管理台帳ファイル”. 国立国会図書館 (2016年9月30日). 2017年2月8日閲覧。
- ^ 阿久比町立図書館 2022, p. 7.
- ^ a b c 阿久比町立図書館 2022, p. 11.
- ^ a b 阿久比町立図書館 2016, p. 11.
- ^ a b c d 阿久比町立図書館 2016, p. 31.
- ^ a b c 阿久比町教育委員会 1983, p. 2.
- ^ a b 「待望の新施設次々オープン 阿久比町立図書館 開館式 7月18日」『広報阿久比』1983年8月10日、第363号、p.2
- ^ a b c d e 「7月開館 町立図書館できる 約三万冊でスタート コンピューターを導入 利用者の便宜を図る」『広報阿久比』1983年3月25日、第354号、p.2
- ^ 「図書館40,000人が利用」『広報阿久比』1984年7月25日、第386号、pp.2-3
- ^ 「利用されてます みんなの図書館 町立図書館 図書利用率は中部一」『広報阿久比』1986年3月10日、第425号、pp.2-3
- ^ a b 「阿久比町立図書館 日本図書館協会建築賞特定賞を受賞」『広報阿久比』1986年7月25日、第434号、p.3
- ^ 安澤阿弥の句碑 知多半島の文学碑データベース
- ^ a b c 阿久比町史編さん委員会 1993, p. 501.
- ^ 「図書館が便利になりました!」『広報阿久比』1993年6月25日、第428号
- ^ a b 阿久比町立図書館 2016, pp. 32–33.
- ^ 阿久比町立図書館 2016, pp. 31–37.
- ^ a b c d e f g h i j 愛知県図書館 1996, p. 31.
- ^ a b 「町立図書館 優秀図書館賞を受賞」『広報阿久比』1993年1月11日、第590号
- ^ 「愛知の2館を優秀図書館表彰 名古屋で全国大会」中日新聞、1992年11月18日
- ^ 「図書館が便利になりました!」『広報阿久比』1993年5月10日、第598号、pp.2-3
- ^ 阿久比町史編さん委員会 1993, p. 503.
- ^ a b 「阿久比町立図書館 貸出冊数200万冊に 桜井さんに認定証」中日新聞、1996年6月15日
- ^ 阿久比町立図書館 2016, p. 35.
- ^ 阿久比町立図書館 2016, p. 37.
- ^ a b c d 「阿久比町 図書館駐車場増設 25台分、利用しやすく」中日新聞、2016年3月12日
- ^ 加藤高伸 愛知県の人口増加率No.1は長久手市、世帯数の増加率No.1は阿久比町。 Tokai Lifestyle Labo、2016年10月
- ^ 「親子で本を楽しんで 阿久比町立図書館改装 ママ向け雑誌や踏み台」中日新聞、2016年7月2日
- ^ 阿久比町立図書館 新駐車場のお知らせ 阿久比町立図書館、2017年3月17日
- ^ a b c d e 阿久比町立図書館 2016, p. 1.
- ^ 「図書館建設始まる 坂部に来年七月開館予定」『広報阿久比』1982年6月10日、第335号、p.4
- ^ a b 阿久比町立図書館 2016, p. 4.
参考文献
編集- 「県内公共図書館の紹介 阿久比町立図書館」『年魚市』第5号、愛知県図書館、1993年、31頁。
- 阿久比町誌編さん委員会『阿久比町誌 本文編』阿久比町、1993年。
- 阿久比町立図書館『図書館年報 平成27年度実績』阿久比町立図書館、2016年 。
- 『近代日本図書館の歩み 地方篇』日本図書館協会、1992年。
- 『坂部城』阿久比町教育委員会、1983年。