長良橋陸閘
長良橋陸閘(ながらばしりっこう)とは、岐阜県岐阜市の長良橋右岸の長良陸閘と左岸の大宮陸閘からなる陸閘。1959年(昭和34年)の伊勢湾台風と翌1960年(昭和35年)8月の台風11号・12号による洪水時に、この箇所から溢れだした水が岐阜市内に溢流、氾濫したため、その対策として陸閘が設置された。商用電源・発電機により操作を行う大規模な物で、この他にも付近には大小約100か所の陸閘があり、長良川右岸の鵜飼屋地区では堤防本堤6か所、防水壁13か所の計19か所、左岸の川原町地区では堤防本堤5か所、防水壁9か所の計14か所、合計33か所の国土交通省直轄陸閘が存在する[1]。
概要
編集長良橋付近では、河道と堤防本提の間の堤外地[2](右岸の鵜飼屋地区及び左岸の川原町地区)に長良川温泉旅館街や住宅地が拡がり、それらは防水壁によって長良川と仕切られている。これら堤外地と連絡するため、堤防本提に生活に必要な道路を切通しを設けて通しているが、河川増水時には洪水が市街地へ流入するのを防ぐためにそれを遮断する必要があり、そのために大小様々な陸閘を設けている。
大宮、長良の両陸閘は、長良川(長良水位観測所[3])の水位が18.94mに達すると閉鎖作業を開始し、水位が19.74mを越えると完全閉鎖(全閉)する[4]。この陸閘全閉は、1976年(昭和51年)9月の9.12水害で初めて実施されたが、2002年(平成14年)までは陸閘全閉水位が19.86mに設定されていたため、2000年(平成12年)9月の東海豪雨では全閉されず[1]、2004年(平成16年)10月の台風23号[5]、2018年(平成30年)7月の豪雨(平成30年7月豪雨)に全閉されている[6]。
歴史
編集長良陸閘
編集大宮陸閘
編集その他
編集- 毎年1回、出水期を迎える前に長良橋(国道256号の陸閘付近)を全面通行止めし、地元水防団による大規模な定期点検を兼ねた水防訓練が行われる。国道256号は主要道路のため、操作訓練は深夜に行われている[7][8]。
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長良陸閘の水防訓練(2012年6月撮影)
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長良陸閘の閉鎖状況(2012年6月撮影)
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長良陸閘の格納状況(2012年6月撮影)
脚注
編集- ^ a b 第2回 長良川川原町鵜飼屋地域のかわまちづくり懇談会 現地視察資料、国土交通省中部地方整備局 木曽川上流河川事務所、2009年7月30日、5頁
- ^ 堤防の外側、いわゆる河川敷を指す。
- ^ 所在地:岐阜市長良西鵜飼・長良橋右岸付近(長良水位観測所)
- ^ 避難勧告基準(客観的数値を用いたもの)・避難勧告の準備情報の例、総務省消防庁
- ^ “洪水を警戒、陸閘訓練 長良橋深夜に開閉操作”. 岐阜新聞. (2016年6月2日) 2016年6月5日閲覧。
- ^ “長良川の可動式の壁、14年ぶり完全閉鎖 大雨で警戒”. 朝日新聞. (2018年7月8日) 2018年7月8日閲覧。
- ^ 「出水期に備え、5月25日(土)に水防訓練を実施」、国土交通省木曽川上流河川事務所・岐阜市基盤整備部、2013年5月17日
- ^ 「出水期に備え水防訓練を実施」、国土交通省木曽川上流河川事務所・岐阜市基盤整備部、2016年5月30日
参考資料
編集- 国土交通省中部地方整備局 木曽川上流河川事務所
関連項目
編集外部リンク
編集- 国土交通省中部地方整備局 木曽川上流河川事務所
- 長良南町陸閘 (PDF) 、佐藤鉄工株式会社(インターネットアーカイブ参照)
- 長良橋の陸閘、長良川デジタル百科事典