錦川鉄道NT2000形気動車(にしきがわてつどうNT2000がたきどうしゃ)は、錦川鉄道で使用されていた気動車1987年昭和62年)に5両が製造され[1]2008年(平成20年)まで使用された[1][4]

錦川鉄道NT2000形気動車
NT2000形気動車 登場時の塗装
錦町駅にて。1995年7月
基本情報
運用者 錦川鉄道
製造所 新潟鐵工所[1]
製造初年 1987年[1]
製造数 5両[2]
運用開始 1987年7月25日[3]
廃車 2009年[4]
主要諸元
軌間 1,067[5] mm
設計最高速度 95[5] km/h
車両定員 98名
(座席53名)[6]
自重 25.2 t [6]
全長 16,300[6] mm
車体長 15,800[5] mm
全幅 2,998[6] mm
車体幅 2,700[5] mm
全高 4,049[6] mm
車体高 3,620[5] mm
車体 普通鋼[5]
台車 空気ばね式
NP120D/NP120T[6]
車輪径 762 mm[7]
固定軸距 1,800 mm[7]
台車中心間距離 10,800 mm[5]
機関 新潟鐵工所製6H13AS[6][7]
変速機 液体式(TACN22-1100) [6][7]
歯車比 2.73[6]
制動装置 DE1A[6]
保安装置 ATS-SN
備考 NT2000形の値を記載。NT2100形は本文中を参照。
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本項では同型で観光用装備を備えた錦川鉄道NT2100形気動車(にしきがわてつどうNT2100がたきどうしゃ)(1989年平成元年)- 2009年(平成21年))[8]についてもあわせて記載する。

概要

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1987年(昭和62年)7月にJR西日本岩日線第三セクターに転換して開業した錦川鉄道が開業に際して投入した両運転台、トイレなし、セミクロスシート気動車である[9]。県内に事業所(笠戸事業所)のある日立製作所に対して発注されたが、実際の製造は新潟鐵工所が担当し[10]、日立と新潟の製造銘板が取り付けられた[11]

1989年(平成元年)には観光用途での使用を考慮し、トイレ、カラオケ設備などを設けたNT2100形1両が製造された[8]。両型式の走行装置、車体の基本寸法は同一である[2]2007年(平成19年)から2009年(平成21年)にかけ、NT3000形に代替されて全車が廃車となった[12][13][4]

両形式で諸元の異なる点
形式 NT2000 NT2100
便所[7]
車両定員[2] 98 99
座席定員[2] 53 44
製造数[2] 5 1

車体

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新潟鐵工所製の地方交通線用気動車NDCをベースとする[14]。車体長は15,800 mm、前面非貫通で窓部分がやや傾斜しており、乗務員室は左隅式である[15][10]。客用扉は幅900 mmの折り戸が片側2か所、運転室直後に1か所、反対側車端にもう1か所が設けられた[15][5]。乗務員扉はなく、運転席左側に落とし込み式の窓が設けられた[9]。扉間には上段固定、下段上昇、幅1,200 mmの窓6組と900 mmの窓1組が設置されたが、戸袋部に窓はなく、NT2100形ではトイレのある側の窓が一組少なくなっている[5][11]。運転席右側の客用扉の客室側には確認用開き窓が設けられた[9]

走行装置

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走行装置はNT2000形、NT2100形共通[7]で、エンジンは新潟鐵工所製6H13ASディーゼルエンジン(184 kW / 1,900 rpm)を1基搭載、動力はシングルステージのTACN22-1100液体変速機を介して台車に伝達される[6][16]。前位側台車は2軸駆動の動台車NP120D、後位側は従台車NP120Tで、いずれも住友金属工業製の空気ばね式である[6][17]制動装置はDE1A自動空気ブレーキが採用された[6]

空調装置

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暖房装置はエンジン排熱を利用した温風式である。冷房装置は機関直結式、能力25.6 kW(22,000 kcal/h)のAU26が1基搭載された[6]

形式

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NT2000形(2001-2005)
錦川鉄道の開業準備用として1987年6月に5両が製造された汎用気動車。NT2001から順に「かじか」、「にしき」、「わかあゆ」、「らかん」、「じゃくち」の愛称がつけられた[3]。落成当初は5両ともをベースに錦川の青磁色と紅葉の唐紅をイメージした帯がまかれた[9]が、1999年(平成11年)から沿線自治体の協力を得て基本色を車両ごとに変えた上で、自治体名と沿線にちなんだ動物を描く塗装に変更された(車歴表参照)。
車内は中央部に4人掛けバケットタイプボックスシート8組を設ける一方、両端部はワンマン運転への対応容易化のためロングシートとなった[5][9]。座席は朱色と黄橙色が交互に配置され、天井と壁はクリーム色とされた。
NT2100形(2101)
NT2000形をベースにイベント対応用の各種機器を備えて1989年に1両が新造された気動車。「せいりゅう」の愛称がつけられた[3]
内装は後にロングシートのみとなった。イベント対応としてトイレとカラオケ用ビデオが設置された[8]。座席色は緑系統で統一された。

車歴

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NT2000形車歴
車両番号 製造 愛称 塗装変更 色・イラスト(自治体) 廃車
2001 1987年6月[1] かじか[3] 2000年2月[18] かじかがえる美川町[18] 2008年2月[19]
2002 1987年6月[1] にしき[3] 2000年1月[18] 水色錦町[18] 2007年11月[19]
2003 1987年6月[1] わかあゆ[3] 1999年12月[18] 岩国市[18] 2007年3月[20]
2004 1987年6月[1] らかん[3] 2000年3月[18] 黄緑本郷村[18] 2008年2月[19]
2005 1987年6月[1] じゃくち[3] 1999年12月[18] カワセミ美和町[18] 2008年8月[21]
2101 1989年8月[22] せいりゅう[3] 1999年10月[18] [18] 2009年1月[21]

運用

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錦川鉄道が1987年(昭和62年)7月25日に国鉄岩日線から第三セクター転換され、開業することに備え、NT2000形5両が製造された[5]。錦川鉄道開業後から岩国駅 – 錦町駅間(全列車がJR岩徳線に乗り入れ)23往復に充当された[9]。1989年(平成元年)にはNT2100形1両が製造された[3]

錦川鉄道再生計画に基づくNT3000形への置き換えで2007年(平成19年)から廃車が始まり[12]2009年(平成21年)までに全廃となった[13][4]。なお、NT2000形、NT2100形計6両をNT3000形4両で置き換えるため、2007年(平成19年)3月にダイヤ改正を実施している[23]

出典

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参考文献

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書籍

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  • 寺田 祐一『私鉄気動車30年』JTBパブリッシング、2006年。ISBN 4-533-06532-5 

雑誌記事

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  • 鉄道ジャーナル』通巻251号(1987年9月・鉄道ジャーナル社)
    • 「錦川鉄道NT2000形」 pp. 114
    • 鉄道ジャーナル編集部「錦川鉄道錦川清流線NT2000形」 pp. 116
  • 鉄道ピクトリアル』通巻496号「新車年鑑1988年版」(1988年5月・電気車研究会
    • 「’87年のニューフェイス 民鉄車両編」 pp. 13-19
    • 藤井信夫、大幡哲海、岸上明彦「各社別車両情勢」 pp. 118-133
    • 錦川鉄道(株) 中野佳明「錦川鉄道NT2000形」 pp. 177
    • 「車両諸元表」 pp. 215-216
    • 「竣工月日表」 pp. 216-226
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻534号「新車年鑑1990年版」(1990年10月・電気車研究会)
    • 藤井 信夫・大幡 哲海・岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 180-197
    • 「1990年度車両動向」 pp. 287-302
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻658号「<特集> レールバス」(1998年9月・電気車研究会)
    • 「第三セクター・私鉄向け 軽快気動車の発達 新潟鉄工所 NDC」 pp. 32-35
    • 高嶋修一「第三セクター・私鉄向け軽快気動車の系譜」 pp. 42-55
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻692号「新車年鑑2000年版」(2000年10月・電気車研究会)
    • 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 101-119
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻795号「鉄道車両年鑑2007年版」(2007年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2006年度民鉄車両動向」 pp. 116-141
    • 錦川鉄道(株)運輸課 杉原孝幸「錦川鉄道NT-3000形」 pp. 189-190
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 222-235
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻810号「鉄道車両年鑑2008年版」(2008年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2006年度民鉄車両動向」 pp. 122-151
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 242-255
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻825号「鉄道車両年鑑2009年版」(2009年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2008年度民鉄車両動向」 pp. 108-134
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 222-235

Web資料

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