鉄礬柘榴石
鉄礬柘榴石(てつばんざくろいし)は、ネソケイ酸塩の柘榴石群に属する鉱物の一種である。
鉄礬柘榴石 | |
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分類 | ケイ酸塩鉱物 |
化学式 | Fe3Al2(SiO4)3 |
結晶系 | 等軸晶系 |
晶癖 | 菱形12面体、変菱24面体 |
へき開 | なし |
断口 | 貝殻状 |
モース硬度 | 7〜7.5 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | 赤色、暗赤色 |
条痕 | 白色 |
比重 | 4.3 |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
アルマンディン(almandine)とも呼ばれる。この名称はトルコのアラバンダ(Alabanda)に由来するとされる。
概要
編集組成式はFe3Al2(SiO4)3で表され、多くは苦礬柘榴石成分と固溶体を形成する。赤色から暗赤色を呈し、十二面体あるいは偏菱二十四面体などの自形結晶をつくりやすく、10センチメートルを越えるような大結晶が産出することもある。柘榴石群の中では最も普通に産出する。屈折率は1.83程度で密度と共に苦礬柘榴石よりやや高い。
鉄礬柘榴石は玄武岩など苦鉄質岩の高圧による変成作用により生成し結晶片岩など変成岩中に見られるほか、火成岩の造岩鉱物としても生成される[注釈 1]。変成岩中に産出される場合は変成度の指標となり、苦礬柘榴石よりは低圧条件で生成されたことを示すとされる[2][3]。
美しいものは宝石として用いられ、一般的なものは研磨剤として用いられてきたが、現在では研磨剤としては合成品が主流となっている。またろうそくの炎の明かりにかざして見ると美しい深赤色を呈し、かつては宝石として珍重されていたが、蛍光灯下では黒ずんで見え[4]今日では宝石としてはかつて程評価されていない。
産地
編集広い地域で産出し、東アフリカ、アメリカ合衆国のアラスカおよびオーストリア産の結晶片岩中に含まれる。
日本では茨城県真壁郡真壁町(現在の桜川市)山ノ尾のペグマタイト中(現在は採集禁止)、愛媛県四国中央市土居町の柘榴石角閃岩中に産する。
注釈
編集参考文献
編集- ^ “ざくろ石類(ガーネット)”. 倉敷市立自然史博物館. 2019年7月11日閲覧。
- ^ 松井義人、一国雅巳 訳 『メイスン 一般地球化学』 岩波書店、1970年
- ^ Ronald・Louis・Bonewitz 著、青木正博 訳『ROCK and GEM 宝石と岩石の大図鑑』誠文堂新光社、2007年。ISBN 9784416807002。
- ^ 堀秀道 『楽しい鉱物図鑑』 草思社、1992年