配給車(はいきゅうしゃ)とは、鉄道車両の種類の一つ。主に車両工場車両基地との間で、車両などの保守部品を配送するために使用される事業用車両である。

概要

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日本国有鉄道(国鉄)での、車両記号は「」(部品をクバことから)。この記号は、1953年(昭和28年)6月1日の車両形式称号規程改正により制定されたもので、それ以前から配給(保守部品の輸送のことで、国鉄内部の用語で「配給を受ける」と呼んでいた)用途に使用される事業用車両は存在しており、職用車「ヤ」に包含されていたものを独立させたものである。

国鉄(JR)だけではなく、私鉄の一部でも使われていたことがあったが、道路事情の改善やダイヤの過密化、さらには配給部品輸送特有の輸送効率の悪さ[注釈 1]などによって次第にトラックなど自動車輸送に切り替えられたことにより使用機会は激減[1]しており、JR旅客各社では2021(令和3)年をもって鉄道車両としての配給車は消滅した。現在ではJR貨物において有蓋車無蓋車による代用輸送(車両記号の変更はなし)がされるのみとなっている。

国鉄時代には、現存する電車貨車(ただし現存するのは上記の代用車のみ)の他、客車である荷物車を転用した車両も存在した。また、一部車両は、工場や基地への従業員輸送用として使われたこともあった。

電車タイプは現存している国鉄101系電車から改造されたクモル145形も含め、旅客電車から改造されたものが多く、またほとんどの車両において、運転室のすぐ後ろには屋根のある部屋があるが、車両後部の屋根は取り払われて無蓋貨車のようなスタイルになっている。客車タイプは古くなった旅客車・荷物車・郵便荷物車などから改造され、屋根は取り払わず、中央部に1 - 2か所の物資搬入用の扉を設けたものが多かった。

私鉄では牽引車兼用として京浜急行電鉄近畿日本鉄道に現存しており、事業用に使用されている。

配給車の形式一覧

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電車

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国鉄クル144形電車

客車

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脚注

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注釈

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  1. ^ 貨物輸送としては輸送量が小さく輸送距離も短いにもかかわらず専用の車輛を用意する必要があるなど、コストが高くなりやすい。実際にダイヤに余裕のある北海道旅客鉄道ですら配給車は保有していない

出典

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関連項目

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