那珂 太郎(なか たろう、1922年1月23日 - 2014年6月1日[1])は、日本の詩人日本芸術院会員。「歴程」同人。

経歴

編集

福岡市麹屋町の呉服商・酒井家の五男として生まれる。生後半年ほどで実家近くの同業者・福田家の養子となる。旧制福岡中学(後の福岡県立福岡高等学校)、旧制福岡高等学校文科乙類を経て、東京帝国大学文学部国文科卒。海軍予備学生として土浦海軍航空隊に入隊、海軍兵学校国語科教官を務める。戦後は教員として、東京都立第十女子新制高等学校(1950年に東京都立豊島高等学校に改称)、東京都立新宿高等学校玉川大学等で教える。 なお、第十女子高校時代の教え子の中に、のちに詩人となった石川逸子吉原幸子がいた。

1950年、最初の詩集「Etudes」を刊行、『歴程』同人となる。1965年、詩集『音楽』で室生犀星詩人賞、翌年読売文学賞を受賞、注目される。1985年、『空我山房日乗 其他』で芸術選奨文部大臣賞、1991年、『幽明過客抄』で現代詩人賞、1995年、『鎮魂歌』で藤村記念歴程賞受賞、1994年、日本芸術院賞恩賜賞受賞、同年、芸術院会員。1995年秋、勲三等瑞宝章受章[2]

2014年6月1日午前1時7分、肺炎のため東京都内の病院で死去。92歳没。9月16日に如水会館にて、高橋順子司会で偲ぶ会が行われた。墓所は新宿区の観音庵。

著作

編集
  • 『Etudes』書肆ユリイカ, 1950 福田正次郎名義
  • 『音楽』思潮社, 1966
  • 『那珂太郎詩集』思潮社現代詩文庫, 1968
  • 『はかた』青土社, 1975
  • 萩原朔太郎 その他』小沢書店, 1975
  • 『鬱の音楽 随筆集』小沢書店, 1977
  • 『詩のことば』小沢書店, 1983
  • 『萩原朔太郎詩私解』小沢書店, 1977、新版1985
  • 『空我山房日乗 其他 那珂太郎詩集』青土社, 1985
  • 『はかた幻像 随筆集』小沢書店, 1986
  • 『幽明過客抄』思潮社, 1990
  • 『時の庭』小沢書店, 1992
  • 『鎮魂歌』思潮社, 1995
  • 『続・那珂太郎詩集』思潮社現代詩文庫, 1996
  • 『木洩れ日抄 隨想集』小沢書店 1998
  • 『那珂太郎詩集』芸林書房, 2002
  • 『始皇帝 現代能』思潮社, 2003
  • 『俳句と人生 那珂太郎対談集』東京四季出版, 2005
  • 『宙・有・その音』花神社, 2014
  • 『那珂太郎 はかた随筆集』福岡市文学館選書, 2015
  • 『空寂 那珂太郎句集』思潮社, 2021

編著

編集

作詞

編集

参考サイト

編集

脚注

編集
  1. ^ 詩人の那珂太郎さん死去 朝日新聞 2014年6月1日[リンク切れ]
  2. ^ 「95年秋の叙勲 勲三等」『読売新聞』1995年11月3日朝刊