遠藤雅司
遠藤 雅司(えんどう まさし、1980年[1]1月24日 - )は、日本の歴史料理研究家[1]。会社員を務めながら、世界各国の歴史料理を再現するイベント「音食紀行」(おんしょくきこう)を2013年より展開[2]。著作活動や、レストランとのコラボレーション、テレビ番組への料理提供にも携わる[1]。
人物
編集国際基督教大学教養学部人文科学科音楽専攻卒[1]。卒業論文は「J.ダウランドの音楽と生涯」。趣味はクラシックギター、バロックギター、リュート、チェンバロの演奏。
音食紀行
編集世界各地で過去に食されてきた料理を「歴史料理」としてその再現を試み、音楽と食事を通じた「時代旅行」の疑似体験を提供する。主宰者の遠藤が週末を中心に一人で企画と運営を行う[3]。「歴史料理研究家」として当時の史料や料理書[4]に記された食材や調理法を元に料理を再現し、同時に音楽演奏やトークショー[5]などを組み合わせ複合文化イベントとしている。遠藤は「歴史料理」について「『歴メシ』は当時の文献に出ているものだけしか使用しない」「文献にあるものの中で、多少アレンジしながら今の時代でも食べられるレシピ」と規定している[6]。
2013年5月に「世界の料理を食べる会」として音食紀行のプロジェクトが開始され、2014年からは「歴史料理」をイベントの中核に設定し、活動を続けている。2017年7月に発売した同プロジェクト初の商業出版『歴メシ!世界の歴史料理をおいしく食べる』が重版される人気となり[7]、11月には東京のセルビア共和国大使館でもイベントが開催された[8]。2018年3月には2冊目の書籍『英雄たちの食卓』も販売された。
また、他のイベントや文化講座、同人誌即売会などへの参加も行い、イベントに合わせて制作した同人誌の一部はオンライン販売を行っている。
年譜
編集※以下は「音食紀行」公式サイトより作成し、外部情報源を適宜追加。
- 2013年 5月25日、遠藤により『音食紀行』プロジェクト開始。第1回は「世界料理会 2013 地中海ツアー」。同年内は2回開催。
- 2014年 3月21日、第4回「レオナルド・ダ・ヴィンチの音楽と料理」で「歴史料理」のコンセプトが固まる。同年内は2回開催。
- 2015年 約1年の休止を経て同年3月に再開、同年内は6回開催。
- 2016年 同年内は18回開催[9]。
- 2017年
- 2月25日、福岡で「メソポタミア料理会」。東京以外での初開催。同年内は45回開催。
- 7月24日、初の著書『歴メシ!世界の歴史料理をおいしく食べる』を発売。スマートフォンゲーム「Fate/Grand Order」(FGO)ユーザーの支持を受け、想定外の人気となって重版される[7]。
- 8月13日、「コミックマーケット92」で同人誌即売会に初参加。
- 8月17日、東京・銀座のレストラン「日々輝」でリチャード2世が残させたレシピを元にした中世イングランド料理の提供を開始[10]。
- 9月12日、日本テレビ系「NEWS ZERO」に出演。以後、テレビ各局で紹介。
- 11月13日、「セルビアにおける古代ローマ文化を五感で楽しむ夕食会」に参加。東京のセルビア共和国大使館で開催[11]。
- 2018年
- 2019年
- Fate/Grand Order 英霊食聞録(作画:十駒マコト『TYPE-MOONコミックエース』(KADOKAWA)にて2019年12月20日より連載)の料理監修。[15]
- 2023年
- 1月、『歴メシ』が『À Table!〜歴史のレシピを作ってたべる〜』のタイトルでテレビドラマ化[16]。
書籍
編集「遠藤雅司(音食紀行)」という名義を主に用いる。
著書
編集- 『歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる』柏書房、2017年、ISBN 978-4760148783
- 『英雄たちの食卓』宝島社、2018年、ISBN 978-4800281326
- 『宮廷楽長サリエーリのお菓子な食卓: 時空を超えて味わうオペラ飯』春秋社、2019年11月、ISBN 978-4393485255
- 『古代メソポタミア飯: ギルガメシュ叙事詩と最古のレシピ』大和書房、2020年12月、ISBN 978-4479393566
- 『食で読むヨーロッパ史2500年』山川出版社、2021年8月、ISBN 978-4634151918
- 『歴メシ! 決定版――歴史料理をおいしく食べる』晶文社、2022年12月、ISBN 978-4794973429
- 『食卓の世界史』筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉、2023年11月、ISBN 978-4-480-68465-3
- 『食で読む東方見聞録』山川出版社、2024年8月、ISBN 978-4-634-15242-7
監修
編集- 『Fate/Grand Order 英霊食聞録』[15](作画:十駒マコト『TYPE-MOONコミックエース』(KADOKAWA)にて2019年12月20日より連載)の料理監修。第1巻: 2021年10月 ISBN 978-4041111925
- 『人類4000年のレシピ バビロニアのごちそう・アステカの主食・華麗な宮廷料理──食の歴史をたどる65皿』 マックスミラー、アンボークワイン著、神奈川夏子訳(日経ナショナル ジオグラフィック)2024年12月 ISBN 978-4-863-13614-4
外部リンク
編集脚注
編集- ^ a b c d “歴メシ! 決定版 | 晶文社”. www.shobunsha.co.jp (2022年12月20日). 2023年10月30日閲覧。
- ^ “レシピ本「歴メシ!」を重版に導いたのは「FGO」だった”. ITmedia ビジネスオンライン. 2023年10月30日閲覧。
- ^ “山崎春奈「古代ローマの宴から新撰組の食卓まで 数千年の時を超え『当時の食事』を再現する人がいる」、2017年2月10日”. バズフィード. 2018年5月29日閲覧。
- ^ 前記「バズフィード」が取材した2017年2月の古代ローマ料理会では、『アピキウスの料理帖』を参照しながらレシピを制作した。
- ^ 前記「バズフィード」が取材した前記の古代ローマ料理会では、古代ローマ宗教学が専門で帝京科学大学准教授の小堀馨子がトークの講師を担当した。
- ^ “「メシ通」(中屋麻依子)、「古代メソポタミアで食べられていた料理をガチで作ってみた【歴メシ】」、2017年11月15日”. リクルート、Hot Pepper. 2018年5月29日閲覧。
- ^ a b 青柳美帆子 「著者も担当編集者も“想定外”:レシピ本「歴メシ!」を重版に導いたのは「FGO」だった」、ITmedia、2017年8月10日。 柏書房では、書店の料理本や歴史本のコーナーに置かれることを想定していたが、実際は漫画・ゲーム・アニメコーナーにも置かれ、初版4500部に次いで1週間後の重版3000部決定につながった。同書の8章のうち4章がFGOに登場するギルガメシュ、ユリウス・カエサル、レオナルド・ダ・ヴィンチ、マリー・アントワネットを扱っていた事は本の制作時には意識していなかったと、同社担当編集者の竹田純が述べている。
- ^ 駐日セルビア大使館「「セルビアにおける古代ローマ文化を五感で楽しむ会」開催のお知らせ」。主催者は「セルビア日本音楽交流推進の会」。
- ^ 単独主催のみ。同年以降、他イベントへの参加や共催も開始(以後、カウントせず)。
- ^ 期間限定で提供。その後、第2弾として同店で古代ローマ料理を提供。
- ^ 駐日セルビア大使館「「セルビアにおける古代ローマ文化を五感で楽しむ会」開催のお知らせ」。主催者は「セルビア日本音楽交流推進の会」。
- ^ 飛行機の座席に見立てた椅子に着席しての外国へのバーチャル航空旅行と「機内食」を提供しているレストラン。
- ^ “VRを利用した旅行の疑似体験型エンターテインメント施設にて タイムトラベル便・フィンランド便が5月より就航開始!(2018年4月5日付)”. FIRST AIRLINES(プレスリリース). 2018年5月29日閲覧。
- ^ “池袋の航空・海外旅行疑似体験施設に「タイムトラベル便」と「フィンランド便」、2018年4月12日”. 池袋経済新聞. 2018年5月29日閲覧。
- ^ a b 『衛宮さんちの今日のごはん』の料理監修を務めている只野まことが「十駒マコト」名義で執筆。歴史上の料理を作り、サーヴァントたちと一緒に食していく内容の「歴史料理学習マンガ」
- ^ Inc, Natasha. “市川実日子と中島歩が歴史メシ作る夫婦に、遠藤雅司のレシピ本をドラマ化(コメントあり)”. 映画ナタリー. 2023年1月14日閲覧。