オカルト英語: occult)は、秘学・神秘(的なこと)・超自然的なものをさす用語[1]

隠秘学思想家エリファス・レヴィ

概説

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ラテン語: occulere過去分詞 occulta(隠されたもの)を語源とする。で見たり、触れて感じたりすることのできないことを意味する。そのような知識の探求とそれによって得られた知識体系は「オカルティズム」と呼ばれている。ただし、何をもって「オカルト」とするのかについては、時代や論者の立場等により見解が異なる。

オカルティズムはフランス人魔術師エリファス・レヴィが能動的な魔術体系を提唱した時に使用した語である[2]。対して「オカルト」という形容詞が英語圏で一般に使用されるようになったのは、英国の神智学協会会員のアルフレッド・パーシー・シネット英語版が1881年に出版した神智学書『オカルトの世界英語版』(The Occult World)からとされる[2]。オカルティズムが比較的限定的に用いられたのに比べて、オカルトは広く用いられた[2]

日本では、このような知識についての記事が学習研究社の児童用雑誌に掲載され好評であったため、そこから派生した同社の雑誌『ムー』により、人々に広く知られるところとなった。『ムー』はオウム真理教信者の中に愛読者が多かったことで知られ、宗教学者の大田俊寛オウム真理教も『ムー』が始めた現代オカルトブームから発生したと語る[3]

学術研究

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オカルティズムは学術研究の領域として長らく無視されており、歴史家はほとんど扱ってこなかったが、近年この状況は是正されつつあり、イギリス、ヨーロッパ(ロシア含む)、アメリカの運動への関心が高まっている[4]。イギリスの研究としては、次のようなものがある[4]

  • Brandon, Ruth, 『The Spiritualists: The Passion for the Occult in the Nineteenth and Twentieth Centuries(心霊主義者たち:19世紀および20世紀のオカルトへの情熱)』 (ニューヨーク、1983年)
  • Burfield, Diana, 「Theosophy and Feminism: Some Explorations in Nineteenth Century Biography神智学フェミニズム:19世紀の伝記におけるいくつかの探究)」Holden, Pat 編『Women's Religious Experience(女性の宗教的経験)』収録 (ロンドン、1983年)
  • Oppenheim, Janet, 『The Other World: Spiritualism and Psychical Research in England(ここではない世界:1850年から1914年のイングランドにおける心霊主義と心霊研究)』, 1850–1914年 (ケンブリッジ、1985年)
  • Barrow, Logie, 『Independent Spirits: Spiritualism and English Plebeians, 1850–1910(独立の精神:心霊主義とイギリス庶民、1850-1910年)』(ロンドン、1986年)
  • Owen, Alex, The Darkened Room: Women, Power and Spiritualism in Late Victorian England(薄暗い部屋:ヴィクトリア朝後期のイギリスの女性、権力、心霊主義) (ロンドン、1989年。フィラデルフィア、1990年)
  • Dixon, Joy, 『Gender, Politics, and Culture in the New Age: Theosophy in England, 1880–1935(ニューエイジのジェンダー、政治、文化:イギリスの神智学、1880-1935年)』 (ニュージャージー州立大学ラトガース校、1993年)[4]

脚注

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  1. ^ 國廣哲彌ほか編「occult」『小学館プログレッシブ英和中辞典』(第4版)小学館、2003年。ISBN 4-09-510204-7http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/ej3/58438/m0u/occult/2012年3月28日閲覧 
  2. ^ a b c 吉永進一 執筆 「オカルト」『現代宗教事典』 井上順孝 編、弘文堂、2005年、pp.66-67.
  3. ^ 大田俊寛「オウム真理教事件の真の犯人は「思想」だった」 SYNODOS
  4. ^ a b c Owen 2014.

参考文献

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関連文献

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関連項目

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外部リンク

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