豆腐百珍
1782年に出版された料理本
『豆腐百珍』(とうふひゃくちん)は、天明2年(1782年)5月に出版された料理本[1]。100種の豆腐料理の調理方法を解説している[1]。
豆腐百珍 | ||
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『豆腐百珍』「絶品」の項 | ||
発行日 | 天明2年(1782年)5月 | |
ジャンル | 料理本 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
次作 | 『豆腐百珍続篇』・『豆腐百珍餘録』・『とうふ百珍2011』 | |
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醒狂道人何必醇(せいきょうどうじん かひつじゅん)の号で著されているが、料理人の著作ではなく文人が趣味で記したものとされている[1]。その正体は大坂で活躍した篆刻家の曽谷学川だと考える説もある。版元は大坂の春星堂藤原善七郎[1](藤屋善七)。
概要
編集豆腐百珍では、豆腐料理を以下の6段階に分類・評価している。
- 尋常品:どこの家庭でも常に料理するもの。木の芽田楽、飛竜頭など26品。
- 通品:調理法が容易かつ一般に知られているもの。料理法は書くまでもないとして、品名だけが列挙されている。やっこ豆腐、焼き豆腐など10品。
- 佳品:風味が尋常品にやや優れ、見た目の形のきれいな料理の類。なじみ豆腐、今出川豆腐など20品。
- 奇品:ひときわ変わったもので、人の意表をついた料理。蜆もどき、玲瓏豆腐など19品。
- 妙品:少し奇品に優るもの。形、味ともに備わったもの。光悦豆腐、阿漕豆腐など18品。
- 絶品:さらに妙品に優るもの。ただ珍しさ、盛りつけのきれいさにとらわれることなく、ひたすら豆腐の持ち味を知り得るもの。湯やっこ、鞍馬豆腐など7品。
国立国会図書館に所蔵され、同・図書館「近代デジタルライブラリー」では、1889年大坂で発行された、近代仮名遣い「豆腐百珍」という書物のデジタルスキャン画像を閲覧可能で。豆腐名の上に四角く囲んだ一、二、と番号を付けて百まで続くところなどは、元祖「豆腐百珍」と同じレイアウトだが、著者は淮南狂道人とあり、前述のような「豆腐格付け」はされていない。内容も、例えば元祖「豆腐百珍」では「叩き豆腐」の56番が「しき味噌豆腐」とあるなど差異が多い。そのため、元祖「豆腐百珍」出版から100年後の豆腐百珍を改めて紹介したものか、もしくは題名をヒット本にあやかったものと推測される。
現代語訳
編集- 『豆腐百珍 原本現代訳』福田浩訳、教育社新書、1988年。ISBN 978-4315506846。
- 新版『現代語訳 豆腐百珍』中公文庫、2024年。解説松井今朝子。ISBN 978-4122075061
百珍物
編集この本が好評を博したため、翌年には『豆腐百珍続篇』、明治に入って『豆腐百珍餘録』などの続編が出版された[1]。またこの本がきっかけとなって江戸や大坂では大根・鯛・甘藷・卵など「百珍物」と呼ばれる追随書が次々と出版され流行を巻き起こした[1]。
現代版の豆腐百珍
編集日本最大の豆腐メーカーである相模屋食料が、現代版の豆腐百珍「とうふ百珍2011」を公開した。和食以外にも、中華やイタリアンの有名料理人が参加している。
参考図書
編集- 福田浩 解説、杉本伸子 解説、松藤庄平 撮影『豆腐百珍』新潮社〈とんぼの本〉、新版2008年。ISBN 410-602167-6。旧版1998年
- 水田紀久『日本篆刻史論考』青裳堂書店〈日本書誌学体系43〉、1985年。
- 仲田雅博『新・からだ思いの「豆腐百珍」-豆腐料理100+α』淡交社、2004年11月。ISBN 4473031993。 - 『豆腐百珍』を現代風にアレンジし、自作できるようレシピブック化した本。
脚注
編集関連項目
編集- 野菜百珍 - 林春隆(文人 料理研究家)