谷間の百合』(たにまのゆり、仏語 Le Lys dans la vallée)はオノレ・ド・バルザックによる長編小説[1]。彼の「人間喜劇」では「風俗研究」の「田園生活風景」に分類されている。舞台はアンドル川の谷間。

谷間の百合
Le Lys dans la vallée
エドゥアール・トゥードゥーズによる挿絵
著者 オノレ・ド・バルザック
発行日 1836年
発行元 ウェルデ出版
フランスの旗 フランス
言語 フランス語
ウィキポータル 文学
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1835年11月号・12月号パリ評論に冒頭部分から二回連載されたが中断し、翌年に完成版として出版された。

あらすじ

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復古王政初期を時代背景に、語り手である青年貴族フェリックスと薄幸のモルソフ伯爵夫人との悲恋を描く。

家族に疎まれて育った末っ子であるフェリックスは舞踏会でアンリエットに一目惚れする。アンリエットはプラトニックな関係を望み母性的愛情を持って接し、彼に処世術を教えパリへ送り出す。フェリックスはパリでダッドレー夫人(アラベル)と出会い、恋愛関係になる。アンリエットはダッドレー夫人への嫉妬心で死んでしまう。

この小説にはモデルがいてアンリエットはベルニー夫人(fr:Laure de Berny) [2] アラベルはヴィスコンティ夫人(fr:Frances-Sarah Guidoboni-Visconti)[3] と言われている。

登場人物

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名はアンリエット。ルノンクール家の出身。クロシュグールドの館の主。ジャックという息子とマドレーヌという娘がいる[4]
アンリエットへ思いを寄せる。兄と姉がいる。
名はアラベル。フェリックスの愛人。イギリス人。
  • モルソーフ伯爵
アンリエットの夫。亡命貴族。癇癪持ちでトリクトラクを好む。
フェリックスの現在の恋人。終盤に登場。

出典・脚注

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  1. ^ バルザックはスタンダールなどに比べてはるかに描写が多い。金原瑞人は「小説は、“圧縮”されていない情報である」(『サリンジャーに、マティーニを教わった』潮出版社 2015年)の中でフランスの作家・評論家アンドレ・モーロワが「この作品の風景描写を読み飛ばす読者は、バルザックのよさがわかっていない」という内容のことを書いているという。
  2. ^ Albert Keim and Louis Lumet (1914年). “Honoré de Balzac”. Frederick A. Stokes Company(Archive.org). 2019年9月17日閲覧。
  3. ^ Prométhée ou la Vie de Balzac, étude historique et biographique André Maurois, 1965, p. 324-326.
  4. ^ Anatole Cerfberr and Jules François Christophe. “Repertory of the Comedie Humaine, entries for 'MORTSAUF (Comte de)' and 'MORTSAUF (Comtesse de)'”. Project Gutenberg. 2019年9月17日閲覧。