虫垂癌
虫垂にできる癌腫
虫垂癌(ちゅうすいがん、英語: Appendix cancerまたはappendiceal cancer)とは、虫垂にできる癌腫である。ICD-10ではC48.2、C78.6に分類される。日本人の発症率は、年間 0.12人/100万人 程度[1] と推定され稀な疾病である[2]。全ての大腸がんの0.5%から1.4%を占めるとする報告がある[3]。
臨床
編集虫垂癌は自覚症状が少なく[4]、大腸内視鏡検査での発見率は30%程度との報告[5] がある様に手術前確定診断が難しいため[6] 別の疾患の検査や手術に伴い発見されることも多い。
盲腸低分化腺癌と表記されることもあるが、分類上は同じ種類の癌である。虫垂は大腸の一部分であることから、大腸がんの一種とも言える。CEAやCA 19-9などの腫瘍マーカーの上昇を認めない事もある[2]。がん細胞が腹膜に広がる腹膜播種[7] を起こしやすく、虫垂粘液嚢腫[8] と腹膜偽粘液腫を引き起こし易い。また、潰瘍性大腸炎の合併症として発症することがある[4][8]。
腹腔内臓器全てと肺への遠隔転移がある[9]。
分類
編集症状
編集治療法
編集発見されているときにはすでに腹膜やリンパ節に転移していることが多い[5] ことから、外科手術により虫垂および転移箇所を除去した上で化学療法を行う[6]。しかし、他のガンとは異なり虫垂癌固有の標準術式は確立されていない[6]。
盲腸部切除術後に確定診断に至った場合には、追加切除を積極的に実施する[2]。
脚注
編集出典
編集- ^ McCusker ME, Cote TR, Clegg LX, et al : Primary malignant neoplasmsof the appendix : a population-based study from the surveillance, epidemiology and end-results program, 1973-1998. Cancer 2002 ; 94 : 3307-3312, doi:10.1002/cncr.10589
- ^ a b c d 安藤晴光、磯谷正敏、原田徹 ほか、「若年者早期虫垂癌の1例」『日本臨床外科学会雑誌』 2009年 70巻 9号 p.2721-2725, doi:10.3919/jjsa.70.2721
- ^ 川上和彦, 馬場正三, 荻原裕之, 中村真一, 喜納勇「絨毛状発育を内視鏡的に認めた虫垂絨毛癌の1例」『胃と腸』第25巻、1990年、1227-1230頁、NAID 50003022111。 ( 要購読契約)
- ^ a b c 畑泰司、大植雅之、池田公正 ほか、「潰瘍性大腸炎に合併した虫垂癌の多発肝転移の1例」『日本消化器内視鏡学会雑誌』 2008年 50巻 8号 p.1718-1722, doi:10.11280/gee1973b.50.1718
- ^ a b c d e 長谷川久美、植竹宏之、深山泰永 ほか、「原発性虫垂癌の2例」『日本臨床外科医学会雑誌』 1996年 57巻 7号 p.1663-1667, doi:10.3919/ringe1963.57.1663
- ^ a b c 川芳徳, 梅谷直亨, 田村徳康、「原発性虫垂癌10例の検討」『日本大腸肛門病学会雑誌』 2015年 68巻 6号 p.403-408, doi:10.3862/jcoloproctology.68.403
- ^ 用語集 腹膜播種(ふくまくはしゅ) 国立がん研究センター がん情報サービス
- ^ a b 赤丸祐介、弓場健義、山崎芳郎 ほか、「潰瘍性大腸炎の長期経過中に発症した盲腸癌と虫垂粘液嚢胞腺癌との衝突癌の1例」『日本消化器外科学会雑誌』 2007年 40巻 2号 p.221-226, doi:10.5833/jjgs.40.221
- ^ a b 桐山正人, 佐原博之, 黒阪慶幸 ほか、「肺転移再発をきたした虫垂原発粘液嚢胞腺癌の1例」『日本消化器外科学会雑誌』 1995年 28巻 5号 p. 1114-1118, doi:10.5833/jjgs.28.1114
- ^ 小高明雄, 金丸洋, 高田伸 ほか、「術前診断しえた虫垂粘液嚢胞腺癌の1例」『日本消化器外科学会雑誌』 1993年 26巻 9号 p.2362-2366, doi:10.5833/jjgs.26.2362