薬医門
門の一種
歴史
編集鎌倉時代末期または室町時代初期に初めて造られるようになる[1][2]。当初は武家屋敷や公家屋敷に用いられていたが、やがて城郭や寺社にも使われるようになった[1]。
天文17年(1548年)の『運歩色葉集』においては、この門が医師の家の門として登場する[1]。
構造
編集2本の本柱の後方に2本の控柱を設けることで、荷重の分散や構造上の安定を得ている[2]。一般的には両開き戸を有する[2]。
屋根は切妻破風造であることが多いが、入母屋造のこともある[2]。屋根が唐破風の場合は唐薬医門と呼ばれる[2]。格式としては棟門、唐門、上土門より低く、平門、冠木門より高い[1][2]。
主な薬医門
編集重要文化財
編集- 瑞巌寺御成門 - 宮城県宮城郡松島町。
- 東京大学赤門 - 東京都文京区。
- 坂野家住宅表門 - 茨城県常総市。
- 天恩寺山門 - 愛知県岡崎市。室町後期であり、現存する薬医門としては最も古い。
- 有川家住宅薬医門 - 滋賀県彦根市。
- 御香宮神社表門 - 京都府京都市。
- 三上家住宅表門 - 京都府宮津市。
- 松山城二ノ門 - 愛媛県松山市。
都道府県指定文化財
編集市町村区指定文化財
編集- 相原家薬医門 - 東京都練馬区。練馬区指定文化財。
- 命徳寺薬医門 - 神奈川県秦野市。秦野市指定文化財。
- 空印寺薬医門 - 福井県小浜市。小浜市指定文化財。
- 林昌寺山門 - 岐阜県飛騨市。飛騨市指定文化財。
- 明倫館正門 - 京都府舞鶴市。舞鶴市指定文化財。
- 丹波国分寺山門 - 京都府亀岡市。亀岡市指定文化財。
登録有形文化財
編集脚注
編集参考文献
編集- 建築資料研究社設計構造課『神社仏閣図集 第3集』建築資料研究社、1992年
- 『建築大辞典 第2版』彰国社、1993年
- 前久夫『寺社建築の歴史図典』東京美術、2002年
- 高橋昌巳『伝統木造建築事典』井上書院、2018年