菱川 師永(ひしかわ もろなが、生没年不詳)とは、江戸時代浮世絵師

来歴

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江戸図鑑綱目 乾』(元禄2年〈1689年〉刊行)の「浮世絵師」の項に「橘町 菱川作之丞師永」とあり、これにより元禄のころ活動した絵師と知られる。元禄3年の『江戸惣鹿子名所大全』には、「村枩町(村松町)二丁目 同(菱川)作之丞」とある[1]。この作之丞師永は、菱川師宣の次男で父師宣と同居し絵を描いていたとされているが、『鋸南町史』の編纂に関わり菱川家の系譜を調査した川崎芳郎は、師永こと作之丞は師宣の娘「ヲイヌ」の婿であり、沖之丞(菱川師喜)を師宣の次男としている。作品はボストン美術館所蔵の「桜の枝を持つ官女図」(紙本着色)の1点が知られ、「菱川師永圖」の落款に「師永」の白文長方印を捺す。

参考文献

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  • 楢崎宗重監修 『肉筆浮世絵第二巻 師宣』 集英社、1982年 ※「菱川家系譜」(川崎芳郎、141頁)
  • アン・ニシムラ・モース、辻惟雄編 『ボストン美術館日本美術調査図録 第2次調査』(解説編) 講談社、2003年
  • 国際浮世絵学会編 『浮世絵大事典』 東京堂出版、2008年 ※417頁