茅陽一
茅 陽一(かや よういち、1934年5月18日 - )は、日本の環境工学者。東京大学名誉教授。専門はエネルギー環境システム工学。日本における地球温暖化問題の第一人者[1]。工学博士[1]。
茅 陽一 かや よういち | |
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生誕 |
1934年5月18日(90歳) 日本 |
研究分野 | エネルギー環境システム工学 |
研究機関 |
東京大学 慶應義塾大学 地球環境産業技術研究機構 |
出身校 | 東京大学工学部 |
主な業績 | 地球温暖化対策で活動 |
プロジェクト:人物伝 |
地球環境産業技術研究機構理事長。元ローマクラブ本部会員[2]。IPCC国内連絡会座長[3]。
経歴
編集北海道札幌市生まれ[1]。物理学者・茅誠司の長男。天文学者・木村栄の孫。化学者・茅幸二の兄。
麻布中学校・高等学校を経て、1957年東京大学工学部電気工学科卒業[1]。東大紛争では学生委員を務めたこともある。1962年東京大学大学院博士課程修了[1]。
東京大学講師[1]、東京大学助教授[1]を経て、1978年東京大学工学部電気工学科教授[1]。1993年から1994年まで電気学会会長[4]。1995年に定年退官し東京大学名誉教授[1]。
同年より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授[1]。1998年より地球環境産業技術研究機構副理事長兼研究所長[1]。2011年(公財)地球環境産業技術研究機構理事長。通産省の総合資源エネルギー調査会会長などを歴任し、日本のエネルギー政策に貢献。1996年、原子力委員会によって設置された原子力政策円卓会議のモデレーターに就任[5]。2002年に「フォーラム・エネルギーを考える」の代表に就任し[6]、2007年には「『原子力立国・ニッポン』を世界から見る」と題したシンポジウムを開催した[7]。地球を考える会のメンバーであり[8]、地球を考える会の分科会であるエネルギー・原子力政策懇談会(旧称・原子力ルネッサンス懇談会)[9]のメンバーも務める[10]。また、二酸化炭素回収・貯留技術 (CCS) にも力を注いでいる。
業績
編集地球温暖化対策で活動し茅恒等式を提唱、二酸化炭素を出さない原子力発電の重要性を強調している[11][12][13]。大気中の温室効果ガスを一定に保つためには核融合や宇宙太陽光発電の研究を今から取り組む必要があると指摘している[14]。核燃料サイクル政策については、再処理はコストに見合わないというレポートがマサチューセッツ工科大学やハーバード大学によって報告され、アメリカの核不拡散政策とも絡んだ問題があることに対して、新しい戦略が必要との認識を示している[15]。環境とエネルギーの関係について効率性を重要視しており、分散型電源の実用化を目指している。
著書・共編著
編集監訳
編集- ドネラ・メドウズほか『限界を超えて 生きるための選択』ダイヤモンド社 1992、ISBN 9784478870273
脚注・出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k 日本経済新聞出版社 茅陽一
- ^ No.35 地球温暖化問題とこれからのエネルギー利用, “視点・有識者に聞く 31”, PVC News(塩化ビニル環境対策協議会), (2000-12) 2011年6月12日閲覧。
- ^ GEF IPCC関連情報 IPCC国内連絡会 メンバー一覧, “IPCC関連情報”, 財団法人 地球・人間環境フォーラム, (2010年9月現在) 2011年6月12日閲覧。
- ^ 「歴代会長」電気学会
- ^ 第II部資料編 2.原子力委員会の決定等(2)原子力政策円卓会議関連資料, “平成8年版 原子力白書”, 原子力委員会, (1996-12) 2011年6月1日閲覧。
- ^ 沿革, “ETTについて”, フォーラム・エネルギーを考える 2011年6月1日閲覧。
- ^ “グリーンピース創設者のムーア氏「原子力は安全産業」”. 東奥日報. (2007年1月24日) 2011年6月1日閲覧。
- ^ 地球を考える会 メンバー紹介, “地球を考える会”, 特定非営利活動法人 ネットジャーナリスト協会 2011年6月12日閲覧。
- ^ 「エネルギー・原子力政策懇談会」への名称変更に伴う「今後の展開についての考え」, “エネルギー・原子力政策懇談会”, 特定非営利活動法人 ネットジャーナリスト協会 2011年6月12日閲覧。
- ^ 懇談会メンバー, “エネルギー・原子力政策懇談会”, 特定非営利活動法人 ネットジャーナリスト協会 2011年6月12日閲覧。
- ^ 別冊宝島編集部 編『地球環境読本 あるいは地球の病いについてあなたが間違って信じていること (別冊宝島 101)』宝島社、1989年10月、86頁。ISBN 4796691014。「今年一月に東京で開かれた第三回太平洋エネルギー協力会議で、温室効果への対策としてエネルギー効率の改善と省エネルギーを唱えた米国の報告書のまとめに対し、東大工学部の茅陽一教授や東京電力の加納時男原子力開発本部副部長が「炭酸ガスの発生を伴わない原発の重要性」を強調して介入したことに、それは端的に示されている。」
- ^ 省エネだけでは限界 原子力含めた総合戦略を, “インタビュー 地球環境産業技術研究機構(RITE) 茅陽一氏”, 日経BP/ECOマネジメント, (2008-01-24) 2011年6月1日閲覧。
- ^ 茅陽一, 「エネルギー確保のため原発は必要だ」, “今後の電力確保と電源問題を考える”, 財界 (財界研究所) 2011年4月19日号: p. 34
- ^ 宇宙太陽光発電や核融合 夢の技術の実現が課題に, “インタビュー 地球環境産業技術研究機構(RITE) 茅陽一氏”, 日経BP/ECOマネジメント, (2008-01-31) 2011年6月1日閲覧。
- ^ 産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会 第3回エネルギー環境合同会議 議事録, , 経済産業省: p. 32, (2004-04) 2011年6月1日閲覧, "それから、重要な問題としては、寺島さんのおっしゃった核燃料サイクル問題です。これは随分議論がされてきておりますけれども、再処理が高いか安いかという問題は日本でも、御承知のように、随分やられてきております。ただ、安いか高いかということだけではなくて、現実に中間貯蔵の場所がなくなってきている、またMOXの製造がまだ行われていない、さらにはプルサーマルが行き詰まっている。これは最近、打開の動きが出ましたが、そして、もんじゅの訴訟が負けたといったいろんなファクターを考えてみますと、今までの流れをもう一度推進しようというだけで答えが出るとはとても思えない。その意味で、少し新しいアイデア、考え方を入れるべきではないかと私も思っております。"
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