芝山鉄道
芝山鉄道株式会社(しばやまてつどう)は、千葉県の成田国際空港付近に路線を有する第三セクター方式の鉄道会社である。
芝山千代田駅(兼本社建屋) | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場 |
略称 | SR、芝鉄 |
本社所在地 |
日本 〒289-1601 千葉県山武郡芝山町香山新田148番地1 |
設立 | 1981年(昭和56年)5月1日 |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 7040001061353 |
事業内容 | 第一種鉄道事業 他 |
代表者 | 代表取締役社長 岡本 𠮷男 |
資本金 |
1億円 (2018年3月31日現在[1]) |
売上高 |
2億5522万1000円 (2018年3月期[1]) |
営業利益 |
△2億4196万4000円 (2018年3月期[1]) |
純利益 |
△6098万円 (2018年3月期[1]) |
純資産 |
12億8767万9000円 (2018年3月31日現在[1]) |
総資産 |
14億239万4000円 (2018年3月31日現在[1]) |
従業員数 |
16人 (2018年3月31日現在[1]) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
成田国際空港 68.40% 千葉県 14.59% 日本航空 3.73% 京成電鉄 3.46% みずほ銀行 1.48% (2019年3月31日現在[2]) |
外部リンク | https://www.sibatetu.co.jp/ |
成田国際空港株式会社の連結子会社であり、千葉県、京成電鉄、日本航空、芝山町、成田市なども出資している。本社は千葉県山武郡芝山町の芝山千代田駅構内にある。
歴史
編集芝山鉄道は、成田空港が建設されることによって東西方向の交通が寸断され不便を被ることになる空港東側地域の住民や企業への補償として、国が当時の京成本線の(旧)成田空港駅(現在の京成東成田線の東成田駅)以遠を第三セクター方式で延伸する形で建設を約束した鉄道である。
1981年(昭和56年)5月1日に会社が設立され[3]、1988年(昭和63年)6月24日に「芝鉄成田空港駅」(仮称、 当時の旧成田空港駅、現在の東成田駅に隣接して開業する予定だった新駅)-「整備場前駅」(仮称、現在の芝山千代田駅)間 2.0 kmの事業免許を取得した[4][3]。
当初は小型電車で線内折り返し運転を計画していたが、のちに地元からの要望を容れて通常車両で(旧)成田空港駅を介して京成成田駅まで片乗り入れ直通運転することとなった。そこで、1990年(平成2年)4月13日に京成成田駅への乗り入れを運輸省(現・国土交通省)が認可し[5]、同年12月25日に工事施工が認可された[6]。
この間に成田新幹線計画が消滅したことを受けて、京成電鉄はすでに構築されていた同線の施設の一部を活用して空港ターミナルに直接乗り入れることになり、1991年(平成3年)3月21日に第1ターミナル真下に現在の成田空港駅が開業、こちらが京成本線となり、それまでの(旧)成田空港駅は新たに京成東成田線の東成田駅に改称された[7][8]。
着工は遅れ[9]、会社は1992年(平成4年)12月6日に開業した[10]成田空港第2旅客ターミナルビル内で海外旅行者向け売店などの運営に進出した[11]。
1993年(平成5年)9月20日から12回にわたって開催された隅谷調査団主宰の成田空港問題円卓会議で今後の成田空港の整備を「共生懇談会」設置などの地元住民によるチェックなどの民主的手続きで進めていくことが約束されて、1994年(平成6年)10月に国と県の他空港反対派の元熱田派などを含めて合意に達した[12]。この合意を受けて、芝山鉄道の延伸検討委員会が1995年(平成7年)1月31日に始まり[13]、1996年(平成8年)4月1日には延伸経路について3案に絞り込んだ[14]。
そして、1996年(平成8年)12月27日には、京成電鉄との相互直通運転に運転計画の変更が認可され、1998年(平成10年)1月22日に着工[15]。 しかし計画ルートに空港反対派の「一坪共有地」が含まれており、そこの元の地主が「一坪共有地」の維持を主張していたことから[16]、地権者が全国841に及んでいたことで同意の取得が難航し[17]、逆に芝山鉄道や[17]芝山の住民団体は用地取得に応じるように地権者に求めるなど双方が手紙による地権者説得を争ったが[18]、1999年(平成11年)12月8日に芝山町長が運輸省に空港反対派の「一坪共有地」を避ける路線への変更を要望するに至った[19]。これを受けて、2000年(平成12年)3月に未買収地を半径160mのカーブで迂回する路線変更を決定し[20]、同年6月20日にルートの一部変更とこれにともなう 0.2 km の路線延長が認可された[21]。2001年(平成13年)4月26日にはそれまで仮称だった「整備場前駅」の正式駅名が芝山千代田駅に決定し[22]、2002年(平成14年)10月27日に東成田駅 - 芝山千代田駅間が開業した[23][3]。
なお1996年(平成8年)の段階では、現在の芝山千代田駅より先の「千代田駅(仮称)」までの0.7km区間も計画されていた[24]。
建設にあたり、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律(成田財特法)による補助金のかさ上げの適用を受けている[25]。
年表
編集- 1981年(昭和56年)5月1日 - 会社設立[3]。
- 1988年(昭和63年)6月24日 - 芝鉄成田空港駅(仮称、現・東成田駅隣接)- 整備場前駅(仮称、現・芝山千代田駅)間 2.0 kmの事業免許を取得[4][3]。
- 1990年(平成2年)
- 1991年(平成3年)3月21日 - 成田空港駅が開業し、(旧)成田空港駅が東成田駅に改称[7][8]。
- 1992年(平成4年)12月6日 - 成田空港第二旅客ターミナルビルが開業し[10]、海外旅行者向け売店などの運営に進出[11]。
- 1995年(平成7年)1月31日 - 芝山鉄道の第1回延伸検討委員会を開催[13]。
- 1998年(平成10年)1月22日 - 着工[26]。
- 2000年(平成12年)
- 2001年(平成13年)4月26日 - 仮称・整備場前駅の正式駅名が芝山千代田駅に決定[22]。
- 2002年(平成14年)10月27日 - 開業時の上限運賃が認可される[27]。東成田駅 - 芝山千代田駅間が開業[23][3]。
路線
編集旅客運輸を行う普通鉄道に限れば、自社で線路を保有し運送を行う第一種鉄道事業者としては日本一保有する路線が短い鉄道事業者であり、芝山鉄道では「日本一短い鉄道」という広報を行っている。
ただし、鋼索鉄道を含めた場合は鞍馬山鋼索鉄道0.2km(207 m[28])を保有する宗教法人鞍馬寺が保有路線日本最短となる。普通鉄道に限っても、貨物運輸のみ行う事業者を含めた場合は市橋線2.0 km(営業キロ1.3 km)のみを保有する西濃鉄道[29]が、列車を運行せず線路の保有のみを行う第三種鉄道事業者を含めた場合は南海和歌山港線の一部(2.0 km)を保有する和歌山県[30]がそれぞれ最短となる。
線内の運転業務は全て京成電鉄に委託しているため、自社配属の乗務員を有していない。
将来的には、芝山町中心部を経由して九十九里海岸(蓮沼海浜公園)方面への延伸も検討されており、それまでの代替処置として芝山鉄道延伸連絡協議会(芝山町・山武市・横芝光町で構成)による空港シャトルバスが「横芝屋形海岸」まで運行されている。
在籍車両
編集運用は京成電鉄の車両と共通であるが、芝山鉄道の公式ウェブサイト上に運行予定が掲載されている。
現有車両
編集過去の車両
編集運賃
編集大人普通旅客運賃:全線220円(小児110円)(2024年3月16日改定[35])。
直通先の京成電鉄などとは異なり、交通系ICカード乗車券は一切使用できない。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g 鉄道統計年報平成29年度版 - 国土交通省
- ^ 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』令和元年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会
- ^ a b c d e f 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』平成18年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会、p.94
- ^ a b “芝山鉄道に免許”. 千葉日報 (千葉日報社). (1988年6月25日)
- ^ a b “京成成田駅乗り入れ 「芝山鉄道」運輸省が認可”. 千葉日報 (千葉日報社). (1990年4月14日)
- ^ a b “芝山鉄道の工事認可 93年4月末開通目指す”. 千葉日報 (千葉日報社). (1990年12月26日)
- ^ a b “都心と空直結 成田空港地下駅が開業”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (1991年3月19日)
- ^ a b “待望の成田高速鉄道が開業 空港と直結、都心へ1時間 新アクセス門出祝う”. 千葉日報 (千葉日報社). (1991年3月20日)
- ^ “芝山鉄道どうなる 未開通のまま13年余 計画の見直し論も 成田空港増設絡み”. 千葉日報 (千葉日報社). (1994年7月26日)
- ^ a b “「立派」と「心配」のオープン きょう成田第二ターミナルビル”. 千葉日報 (千葉日報社). (1992年12月6日)
- ^ a b “芝山鉄道が新規事業 空港2ビル開業で”. 読売新聞 (読売新聞社). (1992年12月23日)
- ^ “元熱田派、調停受け入れ 話し合いの場は共生懇に”. 千葉日報 (千葉日報社). (1994年10月12日)
- ^ a b “芝山鉄道 延伸検討委が初会合 現行計画3年めどに 沿線住民らと緊密に連携”. 千葉日報 (千葉日報社). (1995年2月1日)
- ^ “芝山鉄道延伸 3ルートから選択 東側・西側・中央区域 一年以内に決定へ”. 千葉日報 (千葉日報社). (1996年4月12日)
- ^ 『鉄道ピクトリアル』第48巻第4号、電気車研究会、1998年4月、110頁。
- ^ “一坪共有地維持求める 芝山鉄道ルート上 元の地主が手紙”. 千葉日報 (千葉日報社). (1999年2月12日)
- ^ a b “共有地解消求め手紙郵送 芝山鉄道建設で 芝山町が全国841地権者に”. 千葉日報 (千葉日報社). (1999年2月6日)
- ^ “一坪共有地の解消呼び掛け 芝山の住民団体が文書郵送”. 千葉日報 (千葉日報社). (1999年2月23日)
- ^ “一坪共有地避け建設を 芝山鉄道ルート変更など要望 町長ら運輸省に”. 千葉日報 (千葉日報社). (1999年12月9日)
- ^ a b “「一坪」避け東に30メートル 芝山鉄道 う回ルート決定”. 千葉日報 (千葉日報社). (2000年3月30日)
- ^ a b “う回ルート建設認可 芝山鉄道 2002年秋開業へ”. 千葉日報 (千葉日報社). (2000年6月21日)
- ^ a b “芝山千代田に新駅名決まる 来秋開通の芝山鉄道”. 千葉日報 (千葉日報社). (2001年4月28日)
- ^ a b “芝山鉄道きょう開業 空港を抜け都心と直結 地元待望、式典で祝う アート展”. 千葉日報 (千葉日報社). (2002年10月27日)
- ^ 『ちばの鉄道一世紀』(白土貞夫 1996, p. 311)
- ^ “成田国際空港周辺地域整備計画” (PDF) (2014年9月). 2017年3月6日閲覧。
- ^ “芝山鉄道が本格着工 地域活性化に期待”. 千葉日報 (千葉日報社). (1998年1月23日)
- ^ “芝山鉄道の上限運賃認可 国交省関東運輸局”. 千葉日報 (千葉日報社). (2002年9月7日)
- ^ 「鉄道風景&名所800」『鉄道ピクトリアル』第58巻第2号、鉄道図書刊行会、2008年2月、23-111頁、ISSN 00404047、NAID 40015748278。
- ^ “【公式】西濃鉄道株式会社”. 2023年5月12日閲覧。
- ^ 意外? 日本一短い鉄道は「和歌山県」だった 南海和歌山港線の不思議 - 乗りものニュース、2018年3月5日
- ^ 所属車両を変更します - 芝山鉄道ホームページお知らせ 2013年3月28日
- ^ “千葉県の芝山鉄道3500形を使用、成田空港35周年ラッピング電車を運行開始”. マイナビニュース (2013年5月13日). 2014年11月5日閲覧。
- ^ 『芝山鉄道所属車両に「芝鉄カラー」が復活!』(プレスリリース)2022年4月15日 。2022年4月20日閲覧。
- ^ 日本鉄道運転協会「運転協会誌」2003年1月号ニュース 芝山鉄道「芝山から都心へ芝山鉄道開業」記事。
- ^ 『鉄道旅客運賃の改定について』(PDF)(プレスリリース)芝山鉄道、2023年12月13日 。2024年3月16日閲覧。
参考文献
編集- 小川裕夫『封印された鉄道史』(第1刷)彩図社、2010年6月18日。ISBN 978-4883927425。
外部リンク
編集- 芝山鉄道
- 芝山鉄道【公式】 (@sibatetu_info) - X(旧Twitter)
- 芝山町役場
- 成田国際空港株式会社 - 地域共生・環境