色丹島沖地震
色丹島沖地震(しこたんとうおきじしん)とは、色丹島南東沖を震源域とするM7.8前後(Mw8.2前後)の固有地震である。平均発生間隔は約72年[1]で、2012年の地震調査研究推進本部による長期評価では、30年以内の地震発生確率は50%程度[2]。
概要
編集歴史記録に残るマグニチュード 7以上の地震としては、1893年 M - 7.7 と、1969年 M - 7.8 が知られている。また、東隣の択捉島沖に近い領域では、1975年6月10日22時47分 に、M - 7.0 が発生している。何れも津波の発生を伴っている。
以下の発震時刻は全てUTC+9。
1881年
編集1881年10月25日21時22分に北緯43度18分 東経147度18分 / 北緯43.3度 東経147.3度でM 7.0の地震が発生し、根室で陶磁器が被害を受けた他、国後島泊村では板蔵の倒壊が発生した[3]。
1893年色丹島沖地震
編集1893年6月4日(明治26年)に発生。マグニチュード 7.7。根室・厚岸・色丹島では強震で、択捉島では岩石の崩壊があった。色丹島で2〜3m、択捉島で1.5mの津波を観測した。
1969年色丹島沖地震
編集色丹島沖地震 | |
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地震の震央の位置を示した地図 | |
本震 | |
発生日 | 1969年(昭和44年)8月12日 |
発生時刻 | 午前6時27分36.4秒(JST) |
震央 |
日本 北海道 色丹島南東沖 北緯43度22.6分 東経147度54.3分(北緯43度22.6分 東経147度54.3分 / 北緯43.3767度 東経147.9050度) |
震源の深さ | 38 km |
規模 | マグニチュード(M)7.8 |
最大震度 | 震度4:北海道 広尾町 釧路市 根室市 |
津波 | 花咲港:1.29m |
地震の種類 | 海溝型地震 |
被害 | |
被害地域 | 北海道 北方領土 |
出典:特に注記がない場合は気象庁による。 | |
プロジェクト:地球科学 プロジェクト:災害 |
1969年(昭和44年)8月12日6時27分36.4秒に発生。震源は北海道東方沖(色丹島南東沖)の北緯43度22.3分 東経147度54.3分 / 北緯43.3717度 東経147.9050度、北緯43度22.3分 東経147度54.3分 / 北緯43.3717度 東経147.9050度深さ38kmで、規模はMjma 7.8, Mw 8.0[4]。
津波
編集初動の動きが引き波で始まる津波が発生し、根室市花咲港で1m29cm、釧路港で72cmなどを観測した。津波により北海道東部で国鉄護岸の前傾(厚岸-門静間)、浜中町びわせ湾で養殖わかめの筏破損などのごく軽い被害を生じた[2]。また、津波地震であったとされている。
震度
編集震度は以下の通り。震度観測地点や震度階級は観測当時のもの。震源により近い北見や札幌などで震度2や1を観測したのに対し、震源からより離れた東北地方の太平洋側で震度3を観測するなど、異常震域の傾向を示した。
震度 | 都道府県 | 観測所 |
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震度4 | 北海道 | 広尾・釧路・根室 |
震度3 | 北海道 | 浦河・帯広・本別 |
青森県 | 青森・八戸・田名部 | |
岩手県 | 盛岡・雫石・一関 | |
震度2 | 北海道 | 函館・倶知安・網走・北見・室蘭・苫小牧・門別・上士幌 |
岩手県 | 宮古・大船渡・花巻・湯田 | |
宮城県 | 築館・石巻 | |
福島県 | 福島・郡山 | |
茨城県 | 柿岡 | |
震度1 | 北海道 | 札幌・森・鷹泊 |
宮城県 | 仙台 | |
秋田県 | 秋田 | |
山形県 | 山形 | |
福島県 | 白河・小名浜 | |
栃木県 | 日光・宇都宮 | |
埼玉県 | 熊谷 | |
東京都 | 東京 |
前震・余震
編集本震の約1週間前の8月6日頃から小規模な地震活動が発生しており、本震の約1分前にはMw 6.2の前震が発生した。余震活動は活発で、最大イベントは本震から約3日後に発生したMw 7.1。
1975年色丹島沖地震
編集1975年(昭和50年)6月10日22時47分に発生。震源は北海道東方沖(色丹島南東沖)の北緯42度54.3分 東経147度57.5分 / 北緯42.9050度 東経147.9583度、深さはごく浅く、規模はMjma 7.0 (Mw 7.5 , Mt 7.9)。北海道東部で最大震度1を観測した。色丹島で3.5-4.0m、国後島で2-3m、花咲港で1.8mの津波を観測。 1969年の地震の余震域内を震源として発生した地震で、表面波マグニチュードと比べて津波マグニチュードが大きい津波地震であった。
出典
編集- 色丹島沖 地震調査研究推進本部
- 羽鳥徳太郎:北海道東部・南千島の津波活動(1893~1978年) 羽鳥徳太郎 東京大学地震研究所彙報. 第54冊第3号, 1980.3.31, pp.543-557, hdl:2261/12742
- 広田知保:1968年1月29日色丹島沖地震の余震活動 : とくに本震直後の余震について 北海道大学地球物理学研究報告 21巻 P.33-43, hdl:2115/13952
脚注
編集- ^ “色丹島沖”. 地震調査研究推進本部. 2012年7月18日閲覧。
- ^ a b “海溝型地震の長期評価の概要”. 地震調査研究推進本部. 2012年7月18日閲覧。
- ^ 宇佐美籠夫ほか『日本被害地震総覧599-2012』東京大学出版会、2013年、208-209頁
- ^ “震度データベース検索”. 気象庁. 2015年7月8日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 羽鳥徳太郎、「1969年8月北海道東方沖地震による津波」 東京大学地震研究所彙報 48(3), 399-412, 1970-08, hdl:2261/12522