総実体
数論において、代数体 K が総実(そうじつ、英: totally real)であるとは、K の複素数体への各埋め込みに対し、その像が実数体に含まれることをいう。同値な条件は、すべての根が実であるような整数多項式のある1つの根によって、K が Q 上生成されることである。あるいは、K を Q 上 R とテンソルした代数が R のコピーの直積になることである。
例えば、Q 上次数が 2 の二次体 K は、正あるいは負のどちらの数の平方根が Q に添加されたかに応じて、実数体の部分体(このとき総実)あるいは虚数を含む体となる。三次体の場合には、Q 上既約な三次の整数多項式 P は少なくとも1つの実根を持つ。P が1つの実根と2つの虚根を持つならば、その実根を添加することによって定義される Q の三次拡大は、実数体の部分体であるにもかかわらず、総実ではない。
総実体は代数的整数論において重要で特別な役割を果たす。Q のアーベル拡大は総実であるか、あるいは総実な部分体を含みこの部分体上2次拡大である。
関連項目
編集参考文献
編集- Hida, Haruzo (1993), Elementary theory of L-functions and Eisenstein series, London Mathematical Society Student Texts, 26, Cambridge University Press, ISBN 978-0-521-43569-7