綱渡りの男 (絵本)

モーディカイ・ガースティンの絵本

綱渡りの男』 (つなわたりのおとこ; The Man Who Walked Between the Towers) は、アメリカの作家モーディカイ・ガースティン英語版の文と絵による、児童文学絵本。2003年に出版されたこの絵本は、フランス人フィリップ・プティの偉業を描いたもので、彼は1974年8月にニューヨークのワールドトレードセンターのツインタワービルの屋上の間で綱渡りをした。ガースティンはこの絵で2004年コールデコット賞を受賞した[1]。この本は映画化され、バレエにもなっている。

『綱渡りの男』
The Man Who Walked Between the Towers
著者モーディカイ・ガースティン英語版
モーディカイ・ガースティン
カバー
デザイン
モーディカイ・ガースティン
アメリカ合衆国
ジャンル絵本
出版社Roaring Brook Press and Millbrook Press
出版日2003年9月5日
ISBN0-7613-1791-0
OCLC52215062
791.3/4/092 B 21
LC分類GV551 .G47 2003

あらすじ

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物語はフランスの大道芸人から綱渡り芸人に転じたフィリップ・プティの、「世紀の大当たり」と彼が呼ぶ挑戦を追っている。ツインタワービルの間を綱渡りしようというアイデアが浮かんだ時、プティは妄想に憑りつかれた。熟考を重ね慎重に計画が立てられ、ついに彼は1974年夏の早朝、夢の一撃を実現させた。評判のツインタワーの間を綱渡りする前に、彼はフランスのパリにいた時にノートルダム寺院の間を綱渡りした。

ツインタワーはまだ工事中だったので、プティと友人は工事作業員に変装し、他の作業員に紛れ込んで南タワーに忍び込んだ。彼らは約200kgの鋼鉄ケーブルをエレベーターで100階まで運び、夜が来るまで待ち、屋上まで180段の階段を登った。真夜中にあと2人の友人が助けに来た。

彼らは釣り糸を矢に取り付け、北タワーから40メートルほど離れたフィリップに向けて射った。しかしながら、風のために的を外れ、矢は突起物の上に落ちた。フィリップはタワーを突起まで這い降りて、矢を手にするのに成功した。この釣り糸に強力なロープをつなげ、仲間がそれを引き戻し、2センチ弱の幅のケーブルに結び付けた。ケーブルはとても重たかったので、タワーの間に張って固定するのに3時間かかった。

1974年8月7日夜明けまでに、彼らはツインタワーの間の綱を締めた。フィリップは黒のシャツとタイツに着替え (この時のために特別に用意したものだった)、彼は8.5メートルのバランス棒を手に取り、綱の上を歩き始めた。「ぼくは一人で、全く自由だ」と彼は感じた、と著者モーディカイ・ガースティンは書いている。2つのタワーの間を誰かが歩いているのを見つけた目撃者は、すぐに警察に通報した。警官たちは大急ぎでタワーの屋上に駆け付け、フィリップに「逮捕するぞ!」と叫んだ。約1時間の間、フィリップは綱の上を歩き、踊り、飛んだり跳ねたり、綱の上を行ったり来たりした。横になって休むこともあった。彼は完全に満足すると、タワーの方へやってきて、手首を手錠に差し出した。警官たちは彼を裁判所へ連れて行くと、裁判官は彼に、公園で街の子どもたちのために綱渡りするよう言い渡した。彼は喜んでこれをやり、綱渡りの最中に子どもが綱を引っ張ったので、彼は落ちたが自分でつかまった。

翻案

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同書は2005年、ウェストンウッズスタジオ英語版マイケル・スポーン英語版監督により短篇アニメーションに映画化され[2]ジェイク・ジレンホールがナレーションを担当した。この映画は2005年のハートランド映画祭英語版で短編部門の最優秀観客賞を受賞し[3]、2006年にはオタワ国際アニメーションフェスティバルで最優秀児童向けアニメ短篇賞に輝いた。2008年のアカデミー賞を受賞したイギリスのドキュメンタリー映画『マン・オン・ワイヤー』のDVDに特典として収録されている。

同書はまたニュージャージ州グラスボロのローワン大学で、同名の2幕バレエとして上演された。それはポール・ターナーが構想、振付、演出を担当し、2008年12月に初演されたが、非常に好評だった[4]。ダンスが主体で、特に綱渡りの場面では人形も使われた。

ザ・ウォーク』は、ロバート・ゼメキス監督の伝記ドラマ映画で、ジョセフ・ゴードン=レヴィットがフィリップ・プティを演じ、2015年9月にトライスター・プロダクションズ英語版から公開された。

評価

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『綱渡りの男』は発売後、ガースティンの文と絵が、非常に力強く心のこもった批評を得た。カーカスレビュー誌英語版は、「全ての世代の読者がこの物語、冒険、ユーモア、そして類なきビルへのオマージュと忘れがたき男を、何度も繰り返し読む」と評した。パブリッシャーズ・ウィークリー誌は「ガースティンのドラマチックな画は、どの読者も息を止める視点を持っている。ほんとに素晴らしい」と書いた。スクール・ライブラリー・ジャーナル誌英語版は「気品のある風格と神話的雰囲気で、このユニークで高揚させる本は、実物よりも大きな人物のポートレートとなり、タワーとそれに関わった人々の記念碑である」と書いた。

日本語訳

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2005年8月に小峰書店から川本三郎の訳で『綱渡りの男』が刊行された[5][6]

関連項目

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脚注

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  1. ^ American Library Association: "2004, Mordicai Gerstein", Caldecott Medal Winners, 1938 - Present], American Library Association, URL accessed 27 May 2009.
  2. ^ "The Man Who Walked Between the Towers". Retrieved 2006-09-18.
  3. ^ "Heartland Film Festival Concludes Another Record Breaking Year". 2005. Retrieved 2006-09-18.
  4. ^ 'Towers' an all-around dance department hit". The Whit Online. 11 December 2008. Retrieved 2006-09-18.
  5. ^ 綱渡りの男”. 子どもの本の小峰書店. 2024年9月19日閲覧。
  6. ^ 綱渡りの男 (For you絵本コレクション「Y.A.」) | NDLサーチ | 国立国会図書館”. 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ). 2024年9月20日閲覧。