第八十四号哨戒特務艇
第八十四号哨戒特務艇[注釈 2](だいはちじゅうよんごうしょうかいとくむてい)は、日本海軍の特務艇(哨戒特務艇)。第一号型哨戒特務艇の36番艇[注釈 3]。太平洋戦争の終戦時に残存し、戦後は所属と艇名を変えながら一貫して掃海に従事した。
第八十四号哨戒特務艇 | |
---|---|
海上保安庁掃海船 哨特第八四号 MS-19 (1949年) | |
基本情報 | |
建造所 |
船体:米子造船所 兵装艤装:舞鶴海軍工廠 |
運用者 |
大日本帝国海軍 第二復員省/復員庁 運輸省 海上保安庁 保安庁警備隊 海上自衛隊 |
艦種 |
特務艇(1944年11月) 掃海艦(1945年12月) 掃海船(1948年5月) 掃海艇(1954年7月)[注釈 1] 支援船(1961年3月) |
級名 |
第一号型哨戒特務艇(1944年11月) うきしま型掃海船(1951年12月) うきしま型掃海艇(1954年7月) |
建造費 | 1,350,000円(予算成立時の価格) |
艦歴 | |
計画 | マル戦計画 |
竣工 | 1945年6月7日 |
除籍 |
1945年11月30日(日本海軍) 1948年1月1日(復員庁) 1952年8月1日(海上保安庁) 1963年3月31日(海上自衛隊) |
改名 |
第八十四号哨戒特務艇(1944年11月) 哨特第八十四号(1945年12月) MS-19(1948年5月) 哨特第八四号(1948年8月) つるしま(1951年12月) 掃海雑船24号(1961年3月) 掃海船24号(1963年1月) |
要目(哨戒特務艇・計画時) | |
基準排水量 | 238トン |
水線長 | 28.50m |
水線幅 | 6.14m |
吃水 | 2.35m |
機関 | 400型中速ディーゼル1基、1軸 |
出力 | 400bhp |
速力 | 9.0ノット |
燃料 | 重油26トン |
航続距離 | 8ノットで4,000カイリ |
乗員 | 34名 |
兵装 |
25mm機銃 連装1基、単装2基 12センチ噴進砲2門 爆雷12個、魚雷落射機2基 |
搭載艇 | 短艇1隻 |
レーダー | 13号電探1基 |
ソナー | 三式水中探信儀三型1基 |
艇歴
編集マル戦計画の特務艇、第2121号艦型の84番艇、仮称艦名第2204号艦として計画。1944年11月5日、第八十四号哨戒特務艇と命名されて第一号型哨戒特務艇の33番艇に定められ、本籍を舞鶴鎮守府と仮定。1945年4月30日、船体概成により株式会社米子造船所から舞鶴海軍工廠へ引き渡し。5月3日、艤装員事務所を舞鶴海軍工廠本艇内に設置し事務を開始[1]。6月7日竣工し、本籍を舞鶴鎮守府に定められ、舞鶴鎮守府新潟港湾警備隊に編入。
終戦時残存。11月30日、海軍省の廃止に伴い除籍。
1945年12月1日、第二復員省の開庁に伴い、舞鶴地方復員局所管の掃海艦に定められ、同局掃海部新潟支部所属と定められる。また、同日から艦名を哨特第八十四号としている。
1946年6月15日、復員庁の開庁に伴い、所属を新潟掃海部に改められる。7月20日、新潟掃海部が廃止され、所属を舞鶴掃海部に改められる。12月25日、舞鶴掃海部が廃止され、所属を下関掃海部に改められる。
1948年1月1日、復員庁が廃止され、運輸省に移管。5月1日、海上保安庁に編入され掃海船MS-19となる。8月20日、船名を哨特第八四号 MS-19に定められる。朝鮮戦争の際、本船は日本特別掃海隊第3掃海隊に配され、1950年11月18日から元山沖の掃海に従事。11月24日、第二次第1掃海隊に編入され、引き続き12月4日まで元山沖の掃海に従事した。1951年12月1日、船名をつるしま MS-19に改正。
1952年8月1日、保安庁警備隊に移管され、第二幕僚監部横須賀航路啓開隊第1掃海隊に編入。1953年9月16日、横須賀地方総監部横須賀基地警防隊第1掃海隊に編入。1954年1月15日、大湊地方総監部函館基地隊第2掃海隊に編入。
1954年7月1日、保安庁警備隊は海上自衛隊に改組。掃海艇となる[注釈 1]。大湊地方総監部函館基地隊第2掃海隊に編入。1957年9月1日、艇番号をMSI-685に改正。1958年9月9日、舞鶴地方総監部舞鶴基地警防隊第1掃海隊に編入。1962年3月31日、支援船に編入され船名を掃海雑船24号 YAM-24に改正。1963年1月1日、船種呼称を掃海船に改正。同年3月31日、海上自衛隊から除籍された。
脚注
編集- 注釈
- ^ a b 世界の艦船『海上自衛隊全艦艇史』p. 42による。世界の艦船『日本海軍護衛艦艇史』p. 113では、「昭和27年8月1日保安庁警備隊に移管、掃海艇に分類」としている。
- ^ 本来の艇名表記は第八十四號哨戒特務艇(1945年12月20日以降は哨特第八十四號)。
- ^ 本艇が特務艇類別等級別表に登載された1944年11月5日時点で、第27号哨戒特務艇、第33号哨戒特務艇、第34号哨戒特務艇が同表未登載のため、1944年11月5日時点で法令上は33番艇、これら3隻を含めると通算で36番艇となる。
- 脚注
- ^ 昭和20年5月19日付 秘海軍公報 第5016号。
参考文献
編集- 海軍省
- 昭和19年11月5日付 達第363号、内令第1234号、内令第1236号。
- 昭和20年6月7日付 内令第515号、内令第516号。
- 昭和20年5月19日付 秘海軍公報 第5016号。
- 第二復員省、復員庁
- 昭和20年12月1日付 内令第5号、内令第7号。
- 昭和21年6月15日付 復二第5号。
- 昭和21年7月20日付 復二第101号。
- 昭和21年12月25日付 復二第494号。
- 運輸省、海上保安庁
- 昭和23年8月20日付 運輸省告示第230号。
- 昭和26年12月24日付 海上保安庁告示第31号。
- 保安庁警備隊、海上自衛隊
- 世界の艦船 No. 507 増刊第45集 『日本海軍護衛艦艇史』、海人社、1996年。
- 世界の艦船 No. 613 増刊第62集 『海上保安庁全船艇史』、海人社、2003年。
- 世界の艦船 No. 630 増刊第66集 『海上自衛隊全艦艇史』、海人社、2004年。
- 防衛研修所戦史室 戦史叢書 第88巻 『海軍軍戦備(2) -開戦以後-』、朝雲新聞社、1975年。
- 丸スペシャル No. 49 日本海軍艦艇シリーズ 『駆潜艇・哨戒艇』、潮書房、1981年。