第八十五号哨戒特務艇[注釈 2](だいはちじゅうごごうしょうかいとくむてい)は、日本海軍の未成特務艇(哨戒特務艇)。第一号型哨戒特務艇の37番艇[注釈 3]太平洋戦争の終戦時は未成で、戦後漁船となった。

第八十五号哨戒特務艇
1948年、改造完成した漁船松丸 (元第八十五号哨戒特務艇)
1948年、改造完成した漁船松丸
(元第八十五号哨戒特務艇)
基本情報
建造所 米子造船所
運用者  大日本帝国海軍
復員庁
艦種 特務艇(1944年11月)
特別輸送艦(1947年1月)
漁船(1947年11月)
級名 第一号型哨戒特務艇
建造費 1,350,000円(予算成立時の価格)
艦歴
計画 マル戦計画
起工 1944年9月25日
竣工 1948年頃(漁船)
最期 1945年8月17日船体工程93%で工事中止[注釈 1]
除籍 1947年4月15日(復員庁)
その後 1947年11月22日漁船改造許可
改名 第八十五号哨戒特務艇(1944年11月)
哨特第八十五号(1947年1月)
松丸(1948年)
要目(哨戒特務艇・計画時)
基準排水量 238トン
水線長 28.50m
水線幅 6.14m
吃水 2.35m
機関 400型中速ディーゼル1基、1軸
出力 400bhp
速力 9.0ノット
燃料 重油26トン
航続距離 8ノットで4,000カイリ
乗員 34名
兵装 25mm機銃 連装1基、単装2基
12センチ噴進砲2門
爆雷12個、魚雷落射機2基
搭載艇 短艇1隻
レーダー 13号電探1基
ソナー 三式水中探信儀三型1基
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艇歴

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マル戦計画の特務艇、第2121号艦型の85番艇、仮称艦名第2205号艦として計画。1944年9月25日、株式会社米子造船所で起工。11月5日、第八十五号哨戒特務艇と命名されて第一号型哨戒特務艇の34番艇に定められ、本籍を舞鶴鎮守府と仮定。

終戦時未成。8月17日、工事中止が発令され船体工程93%で工事中止[注釈 1]。戦後、船体は船台上に放置されていたが築地へ回航され、次いで横須賀、さらに長浦へと回航される。

1947年1月11日、横須賀地方復員局所管の特別輸送艦に定められ、艦名を哨特第八十五号と改称し、特別保管艦(特)に指定される。2月1日、行動不能艦艇(特)に定められる。4月15日、特別輸送艦の定めを解かれた。11月22日、在東京アメリカ極東海軍司令部から、本船の漁船への改造許可が出された。1948年、漁船松丸として完成した。

脚注

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注釈
  1. ^ a b 進捗率は福井静夫『昭和軍艦概史III』 p. 66によるが、同ページには「ごく大体のもの」と注意書きが添えられている。
  2. ^ 本来の艇名表記は第八十五號哨戒特務艇(1947年1月11日から4月15日までの間は哨特第八十五號)。
  3. ^ 本艇が特務艇類別等級別表に登載された1944年11月5日時点で、第27号哨戒特務艇第33号哨戒特務艇第34号哨戒特務艇が同表未登載のため、1944年11月5日時点で法令上は34番艇、これら3隻を含めると通算で37番艇となる。
脚注

参考文献

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  • 海軍省復員庁
    • 昭和19年11月5日付 達第363号、内令第1234号、内令第1236号。
    • 昭和22年1月11日付 復二第21号。
    • 昭和22年2月1日付 復員庁第二復員局総務部 二復総第49号。
    • 昭和22年2月19日付 横須賀地方復員局管船部 横管修第753号。
    • 昭和22年4月15日付 復二第284号。
  • 在東京アメリカ極東海軍司令部
    • 1947年11月22日付 残存舊日本海軍行動不能艦艇(第二復員局保管)ニ關スル件。
      • (a) 解撤スベキ艦船ノリスト。
      • (b) 民需用トシテ内務省ヘ引渡スベキ艦艇ノリスト。
  • 世界の艦船 No. 507 増刊第45集 『日本海軍護衛艦艇史』、海人社、1996年。
  • 福井静夫 『昭和軍艦概史III 終戦と帝国艦艇 -わが海軍の終焉と艦艇の帰趨-』、出版共同社、1961年。
  • 福井静夫 『写真 日本海軍全艦艇史』、ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1
  • 防衛研修所戦史室 戦史叢書 第88巻 『海軍軍戦備(2) -開戦以後-』、朝雲新聞社、1975年。
  • 丸スペシャル No. 49 日本海軍艦艇シリーズ 『駆潜艇・哨戒艇』、潮書房、1981年。