神鉄食彩館
神鉄食彩館(しんてつしょくさいかん)は日本のスーパーマーケット。神戸電鉄グループ(神鉄グループ)の流通会社株式会社神鉄エンタープライズ(しんてつエンタープライズ、英: Shintetsu Enterprise Co.,Ltd.)が運営している。同社は食品スーパーマーケット事業、駐車場業、資材販売業を行う。CGCグループ加盟[6]。
![]() 神鉄エンタープライズ本社 | |
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
![]() 〒652-0803 兵庫県神戸市兵庫区大開通1-1-1 神鉄ビル5階 |
設立 | 1973年(昭和48年)5月4日[1][2][3] |
業種 | 小売業 |
法人番号 | 1140001013234 |
事業内容 | 食料品・衣料・雑貨・書籍類等の販売業、酒類・米穀の販売業、煙草・切手類・塩・計量器の販売業、飲食店の経営、飲食料品の製造加工販売業、駐車場の経営、電線・セメント・鋼材・石油製品・塗料等建築用各種資材の販売業、精密・家庭用工業用電気、工作、動力、運輸運搬、土木化学、事務用品等各種機械器具の販売業 |
代表者 | 代表取締役社長 野澤史朗 |
資本金 | 6,000万円 |
純利益 |
2,800万円 (2024年3月期)[4] |
総資産 |
5億1,400万円 (2024年3月期)[4] |
従業員数 | 308名 |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 | 神戸電鉄株式会社 |
外部リンク | 神鉄食彩館~神鉄エンタープライズ~生鮮スーパー |
概要・歴史
編集神鉄一番街本店を開業
編集1973年(昭和48年)5月、神戸電気鉄道(現:神戸電鉄)が主体となり、阪急電鉄(現:阪急阪神ホールディングス)、阪急百貨店(現:エイチ・ツー・オー リテイリング)の3社共同出資企業として設立したのが始まりであり[7]、当時の神戸電気鉄道の株式保有率は33.3%[8]、設立時より神鉄グループに加盟した[9][10]。
1975年(昭和50年)7月、神戸都市部に立地する神鉄ビルの地下2階〜地上3階の計5フロアに「神鉄一番街本店」を出店した[11]のを皮切りに、兵庫県南部エリアにおいて「神鉄一番街」ブランドおよび「ミニショップ」ブランドで食料品や日用品等を扱う店舗を順次展開した[2]。いずれの店舗も名目上は神戸電気鉄道(1988年以降は神戸電鉄)の直営で、当社に経営委託させている形を採っていた。
沿線での多店化
編集レストランフロアや書籍フロアなどを設け、ターミナル店舗としての色合いが強かった本店とは異なり、食料品をメインとした小型店を順次出店するなど積極策を採り、1988年(昭和63年)には6番目の神鉄一番街である谷上店を出店させるまでに成長した[7]ほか、レストランや結婚式場を経営していた株式会社神鉄産業の営業権を譲受して、神鉄グループ内でも主要企業のひとつとなった。また、サンテレビジョン(近畿地方と中四国地方をカバーする民間放送局)の21時台のニュース番組の提供を開始した。
新ブランド「食彩館」への転換
編集1997年(平成9年)に新開地店でスタートを切った「食彩館」ブランドを、2000年代より他店にも波及させることとなった。2002年(平成14年)3月に神鉄一番街北鈴店を全面改装し[12]、神鉄食彩館北鈴店へ転換させたのを皮切りに順次転換を開始し、全店舗での業態転換を完了させた[12]。これによりおよそ30年間使用した「神鉄一番街」ブランドは消滅した。
2000年代以降の多店化
編集2003年(平成15年)4月、郊外大型店舗として西鈴神鉄ビル内に神鉄一番街西鈴店(現:神鉄食彩館西鈴店および神鉄西鈴専門店街)を出店させた[12]のを手始めに、2000年代以降はさらなる多店舗化を図っている。
2005年(平成17年)10月には神戸市北区に岡場店を出店[12]、2008年(平成20年)10月には明石市内に新業態店舗「KITCHEN STATION」明石西店を出店させた[12]ほか、2010年(平成22年)6月には鈴蘭台北神鉄ビル内に小型店「食彩館ぷち」を出店[12]、さらに2013年(平成25年)6月には神戸市須磨区に落合店を出店させるなど急速に店舗拡大を行なっている[12]。
2012年(平成24年)9月、「神鉄食彩館会員カード」を導入してポイント制度を導入したほか、「朝市」などの各種イベントを多彩に開催するなど積極的な経営策を採って、近年では地域に密着したスーパーマーケットとして売上は好調となっている。イメージキャラクター「しんちゃん」のお買い物バッグの販売や、モバイルメッセージングアプリLINEを活用してお買い物情報やチラシを送信するサービスなどを行なっているほか、2018年(平成30年)より電子マネー機能を搭載した「しんちゃんカード」を導入している。
2009年(平成21年)以降は神戸電鉄の100%子会社化され、2014年(平成26年)4月1日からは神戸電鉄から食品スーパー事業を完全移管された。
現在の店舗一覧
編集新開地店
編集神鉄一番街→神鉄一番街本店→食彩館→神鉄食彩館新開地店
編集(運営:神鉄エンタープライズ→神戸電鉄→神鉄エンタープライズ、1975年7月4日 -1995年1月16日、1997年9月5日 - )神戸市兵庫区、神鉄ビル内
神戸電鉄、創立50周年を記念してターミナルビルの建設を企画し、1973年(昭和48年)5月より地下2階・地上11階からなる高層ビル「神鉄ビル」の建設に着手。このうち地下2階・地下1階と地上1階〜7階の9フロアに本格的なデパート形態のターミナルストアを入居させることを決定し、1975年(昭和50年)7月4日にオープンしたのが「神鉄一番街」である[11]。後述する支店が開業するまでは「神鉄一番街」といえば当店を指し、小型店の開業後は「神鉄一番街本店」と称していた[8]。延床面積9,358.78 m2、高さ43.25 m2の当店舗は、兵庫区新開地エリアでは当時トップの大型商業店であった[11]。
店内構成はデパート形態を意識して、地下2階を食料品売場、地下1階を贈答品・銘菓・菓子・和洋酒売場とし、地上階には化粧品・ファッション・雑貨・日用品・実用品・書籍・レコード・煙草・ヤングギフト・眼鏡・おもちゃ売場を設けていた。このほか、1階に「神鉄住宅営業所」「神鉄観光旅行営業所」、2階に「喫茶神鉄モエット」「文化ギャラリー」、3階に「神鉄ファミリーレストラン」、5階に「お座敷しんてつ」、7階に「神鉄総合結婚式場」が入居しており、5階・6階には宝塚歌劇団の公演にも使用する宴会場・催会場が存在した[11]。また11階の屋上を解放することもあり、夏季には屋上ビヤガーデンも開催していた。
1982年度(昭和57年度)の年商は、同じ都心西部エリアであった三越神戸支店の85億円に対して19億円と劣勢であった。
1995年(平成7年)1月、阪神・淡路大震災によって、本店が入居していた神鉄ビルが激しく被災し、長期間の休業が余儀なくされた[7]。 旗艦店を失った同年4月、復旧のためのプロジェクトチームを発足させ[7]、神戸電鉄開発部(現:不動産事業本部)を主体として議論を重ねるとともに、店舗調査やデータ収集など行い[7]、同年6月20日の取締役会で「復旧計画」を発表し、地下2階に新業態型生鮮ストア「食彩館」を出店させることに決定[7]。1996年(平成8年)5月28日より出店計画を始動させた[7]。
1997年(平成9年)9月5日、およそ3年弱にわたる休業を経て、新ブランド店舗「食彩館(現:神鉄食彩館新開地店)」を開業させた[7]。この新ブランドは、神鉄一番街とは異なり「スーパーマーケット」を名乗り、オープン当日は新開地駅と神鉄ビルをむすぶ地下通路において、神戸電鉄一本松康雄社長によるテープカットが行われるなど大々的に開業式典が行われた[7]。フロア面積を9フロア→1フロアに大幅縮小したためか、従来の「本店」という呼称はほとんど使用しなくなった。
北鈴店
編集神鉄一番街北鈴店→神鉄食彩館北鈴店
編集(運営:神戸電鉄→神鉄エンタープライズ、1981年10月12日 - )神戸市北区、北鈴神鉄駅ビル内
1970年(昭和45年)より神戸電鉄が開発・販売を開始した北鈴蘭台住宅地では、第1次・第2次住宅地の計990戸を分譲後、神鉄エンタープライズを開発業者に加えて第3次住宅地1,025戸の販売を行うことになった。これにあわせて建設した北鈴神鉄駅ビルの核店舗として出店が計画され、1981年(昭和56年)10月12日に開業したものである。2002年(平成14年)3月に神鉄食彩館ブランドに転換した。キリン堂薬局が2012年(平成24年)7月27日より店舗内の一角に出店していたが、現在は北鈴神鉄駅前ビル1階に移転している。
谷上店
編集神鉄一番街谷上店→神鉄食彩館谷上店
編集(運営:神戸電鉄→神鉄エンタープライズ、1988年7月8日 - )神戸市北区、神戸電鉄谷上ドーム街内
1988年(昭和63年)7月8日に神戸電鉄谷上駅高架下商業ゾーン「谷上ドーム街」の核店舗として開業した。同年4月に開通したグループ会社の北神急行電鉄と、神戸電鉄・神鉄住宅販売が分譲する神戸北町住宅地、箕谷東住宅地(パークヒル神戸)方面への神鉄バスの乗換客の利用を想定しての開設であった。かつては神鉄グループの書店チェーン「かもめ書房谷上店」が入居していたが、食品売場拡張にともなって閉店した。
西鈴店
編集阪急共栄ストア西鈴店→阪急ファミリーストア西鈴店→神鉄一番街西鈴店→神鉄食彩館西鈴店
編集(運営:阪急共栄物産→阪急ファミリーストア→神戸電鉄→神鉄エンタープライズ、1971年11月25日 - )神戸市北区、西鈴神鉄ビル内
1971年(昭和46年)11月25日に開業した西鈴神鉄ビル内に「阪急ボウル」とともに阪急共栄物産が核店舗として出店。阪急共栄ストア西鈴店と称し、のちに阪急ファミリーストアに転換。2003年(平成15年)4月7日より神戸電鉄に運営を交代し、同日より神鉄一番街西鈴店に改称した。同年中にリニューアルを行い1階の食料品売場を神鉄食彩館ブランドに転換、2階は神鉄専門店街に転換した。
岡場店
編集落合店
編集過去の店舗
編集ここでは「神鉄食彩館」ブランドでの過去の店舗のみ記載する。神鉄一番街をはじめとする過去のストアブランドでも神戸市北区を中心に出店していた。
神鉄食彩館西口店
編集KITCHEN STATION 明石西店
編集神鉄食彩館ぷち
編集不動産事業
編集住宅地開発などの不動産業を行っていた。神戸電鉄グループで不動産事業を行っていた企業は神戸電鉄、有馬興業、神鉄住宅販売など多数存在したが、神鉄エンタープライズも「北鈴蘭台第3次住宅地」などの開発に参画していた。1987年(昭和62年)より住宅フェアを開催した北鈴蘭台第3次住宅は、神戸電鉄、鴻池組、興人との共同開発であった。
モエット
編集洋食店・ベーカリーの「モエット」を兵庫県南部に展開していた。
「モエット」を参照
うどんそば処「有馬」
編集立ち食いそば店の「有馬」「しんてつそば」を展開していた。
「有馬 (飲食店)」を参照
銘菓の販売
編集神戸銘菓を販売する「すずらん」を営業していた。
資材販売業
編集建設用各種資材および各種機械器具の販売を行っている。
駐車場業
編集北鈴神鉄駅ビルで駐車場の経営を行っている。
脚注
編集- ^ 神戸電気鉄道社史編纂委員会 1976, p. 63.
- ^ a b 神戸電気鉄道社史編纂委員会 1976, p. 142.
- ^ “流通事業の子会社への事業譲渡に関するお知らせ” (PDF). 神戸電鉄. p. 2 (2014年2月27日). 2024年8月24日閲覧。
- ^ a b “株式会社神鉄エンタープライズ 第52期決算公告”. 官報決算データベース. 会社活動総合研究所. 2024年8月24日閲覧。
- ^ 2021年10月4〜5日チラシ
- ^ CGCフェア開催実績もあり[5]
- ^ a b c d e f g h i 神戸電気鉄道社史編纂委員会 1987, p. [要ページ番号].
- ^ a b 神戸電鉄 1998, p. [要ページ番号].
- ^ 神戸電気鉄道社史編纂委員会 1976, pp. 63–65, §傍系会社の拡充とビル経営の推進.
- ^ 神戸電気鉄道社史編纂委員会 1976, pp. 135–142, §傍系会社.
- ^ a b c d 神戸電気鉄道社史編纂委員会 1976, pp. 71–72, §当社のシンボル「神鉄ビル」.
- ^ a b c d e f g “1999~2003”. 会社案内/年譜. 神戸電鉄. 2023年8月12日閲覧。
参考文献
編集- 神戸電気鉄道株式会社社史編纂委員会 編『神戸電鉄50年のあゆみ』神戸電気鉄道、1976年。 NCID BN02647471。全国書誌番号:70013843。
- 神戸電気鉄道株式会社社史編纂委員会 編『神戸電鉄六十年史 : 写真と数字で綴る神鉄の歩み』神戸電気鉄道、1987年。 NCID BN02627372。全国書誌番号:88034684。
- 神戸電鉄株式会社 編『最近10年の歩み : 神戸電鉄70周年記念誌』神戸電鉄、1998年。 NCID BA37639117。全国書誌番号:99102632。