神戸電気鉄道デヤ750形電車
神戸電気鉄道デヤ750形電車(こうべでんきてつどうデヤ750がたでんしゃ)は、神戸電気鉄道(現・神戸電鉄)1971年に導入した事業用直流電車(電動貨車)である。
神戸電気鉄道デヤ750形電車 | |
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デヤ750形 | |
基本情報 | |
運用者 | 神戸電気鉄道→神戸電鉄 |
製造所 | 川崎重工業 |
製造年 | 1971年 |
製造数 | 2両 |
廃車 | 2013年3月26日[1] |
主要諸元 | |
編成 | 2両編成 |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 | 直流1500 V |
荷重 | 13.8 t |
全長 | 18,140 mm |
台車 | KW-33 |
主電動機 | MB-146-A |
主電動機出力 | 93 kW |
駆動方式 | 吊り掛け駆動方式 |
歯車比 | 63:20 |
制御方式 | 抵抗制御 |
制御装置 | HB形 総括非自動 |
制動装置 | SME |
概要
編集保線作業の効率化を目的に、レール・枕木の資材を輸送する無蓋電動貨車として1971年(昭和46年)に川崎重工業で製造された[2]。同年に廃車となったデ101形(デ106・デ108)の機器類を流用の上、車体を新造した吊り掛け駆動車である。751(有馬寄)と752(神戸寄)の2両で固定編成を組む[3]。
車体
編集運転室部分は切妻構成の前面3枚窓を採用した[3]。運転台の後部には作業員室が設けられ、座席が配置されている。車体後部の積載部分には25 mレール・枕木等の資材の搭載が可能で、積み下ろし用として油圧式のクレーンが各車に1機ずつ設置されている。また、夜間作業効率化のための作業灯が各車に搭載されている。
クレーンの操作中は運転台に作業灯が点灯し、車両が起動しないようになるほか、走行中にクレーンが定位置からずれた場合には自動で非常ブレーキが作動する[3][4]。
電装品
編集主電動機はデ101形の廃車発生品であるMB-146-A形 (93 kW) を4個搭載する。800系と同様の出力向上工事は行われていない[2]。
制御装置はHB形(間接非自動制御・三菱電機製)で、1両で4個の主電動機を制御する1C4M方式を採用している。制動装置はSME形非常直通式空気ブレーキを装備する。空気圧縮機(CP)はギヤ直結式で駆動するDH25形(760min・三菱電機製)を、補助電源装置となる電動発電機(MG)はMG-303-Sを各1台搭載している。
2両は半永久連結器で連結され、電気的には単独ユニットであるが、CPは751に、MGとパンタグラフは752に分散搭載する[2]。
パンタグラフは752の運転室上に設けられ[3]、神戸電鉄標準の東洋電機製造製PT-4209が装備されている。登場当初はED2001形電気機関車と同様に三菱電機製のS-710-Cを搭載していたが、後に交換が実施された。
台車も同様にデ101形の廃車発生品となる日本車輌製造製D-16形を装着していたが、1981年には新造品となる川崎重工業製のKW-33形に交換されている[3][4]。
運用
編集800系の引退後は本線走行が可能な唯一の吊掛式電車となっていたが、保線用モーターカーの導入に伴って休車扱いとなり、2013年3月26日付で廃車となった[1][5]。これにより、神戸電鉄から事業用車が消滅した。
脚注
編集参考文献
編集- 神鉄編集委員会、小川金治『日本の私鉄』 23 神戸電鉄、保育社〈カラーブックス 595〉、1983年。ISBN 9784586505951。全国書誌番号:83019261。
- 企画 飯島巌、解説 藤井信夫、写真 諸河久『神戸電気鉄道』ネコ・パブリッシング〈私鉄の車輌19 復刻版〉、2002年7月。ISBN 978-4873663029。全国書誌番号:20289980。
- 米倉裕一郎「私鉄車両めぐり〔168〕 神戸電鉄」『鉄道ピクトリアル』2001年12月臨時増刊号(通巻第711号)、鉄道図書刊行会、2001年12月、177-199頁、全国書誌番号:00015757。